【医師が解説】便秘には3つのタイプ:原因、解消方法について|高崎市 乾小児科内科医院|アレルギー科・循環器内科(心臓血管内科)

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【医師が解説】便秘には3つのタイプ:原因、解消方法について

2020.07.03

【医師が解説】便秘には3つのタイプ:原因、解消方法について

 
 

トイレに行った後もすっきりしない、どうもお腹が張っている、便がたまっておなかが痛くなる……。便秘は若い女性だけでなく、中高年の方も多く悩まされています。

たかが便秘と思われがちですが、生活の質を下げるだけでなく、中には便秘をきっかけに重大な病気が見つかることもあり侮れません。

今回は便秘のタイプと原因、解消方法についてまとめていきたいと思います。

 

便秘とはなにか

便秘とはどのような状態を指すのでしょうか。厳密には「便秘」という言葉は、大腸と糞便の状態を表すもので病名ではありませんが、慣習的に病名としても使われています。

いくつかの学会から定義がされていますが、

日本内科学会では、
「3日以上排便がない状態、または毎日排便があっても残便感がある状態」 としています。

また、慢性便秘症診療ガイドライン2017では、
「本来体外へ排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」 としています。

排便の回数が少ないというだけでなく、不快感や残便感があるというところも含めて便秘とされています。

 

便秘は年齢とともになりやすくなる

【医師が解説】便秘には3つのタイプ:原因、解消方法について

便秘で悩む方は、60歳未満までは女性に多く見られますが、60歳以降になると、男女ともに増えてきて、80歳を過ぎると男女の差がほぼなくなります。

加齢とともに便秘が増加する理由としては、筋力低下や食欲の低下・薬の副作用や便意の感じにくさなどがあります。

 

便秘の3つのタイプ

便秘には原因によって大きく3つのタイプに分けられます。

 

1.大腸自体に問題があるタイプ

大腸に腫瘍や炎症などの異常があるタイプです。腹部X線検査や大腸内視鏡検査などで評価します。ただの便秘だと思っていたら大腸癌が見つかった、ということも珍しくありません。

 

2.排便の回数や量が少ないため便が腸の中に滞るタイプ

原則として、排便回数が週に3回未満の場合「排便回数が少ない」ということなります。原因にはホルモンや自己免疫などの病気の影響や向精神薬、抗コリン薬、オピオイド系薬(癌の時などに使う鎮痛薬)などの副作用があります。

 

3.量や回数は問題ないが便が快適に排出できず残便感があるタイプ

老化による筋力低下などから腹圧が十分にかけられなかったり、直腸の収縮する機能が低下してしまったり、便が硬くなったりすることで、スムーズに排便できなくなることが原因です。

 

便秘があると寿命が短い!?

便秘がある患者さんと便秘のない患者さんを平均15年間観察すると便秘のある患者さんの生存率は何と4分の3になるという海外の研究報告もあります。

【医師が解説】便秘には3つのタイプ:原因、解消方法について

便秘の方は高齢者が多く、排便時のいきみなどで心臓や脳血管などの発作を起こしやすいこと、各種疾患の発症に便秘が重要な役割をしていることなどが理由として考えられています。

血圧の薬物治療が非常に進み、多くの高血圧患者さんの血圧のコントロールが良好にできるようになってきていますが、便秘を放置しているとトイレでの排便時に心血管の発作を起こす恐れもあるのです。

便秘のコントロールは生活の質だけでなく、寿命までにも影響しているため非常に重要です。

 

便秘解消のために自分でできること

便秘解消のためのセルフケアとしては以下のものがあります。

 

1.1日3食を欠かさない。特に朝食は必ずとる

胃腸は、食べ物が入ってくることで活発に動きます。そのため、1日3食規則正しく摂ることは非常に重要です。

特に朝食後は、便が一気に直腸に送られる大蠕動(だいぜんどう)が起こりやすいため、朝食を抜かないことは重要です。

朝食を摂らない方は、摂っている方の2倍程度便秘になりやすい、という報告もあるほどです。

仮に朝食を摂らない場合、前日の夕食時に食べ物が入ってきて以降、翌日の昼食時まで食べ物が入ってこないので、胃腸は半日程度食事による刺激がないことになります。

食事が入ってこない時間が長いと腸の動かない時間が長いので、排便のタイミングを逃しやすくなります。

朝なかなかお腹が空かない場合には、リンゴ1個やバナナ1本、軽食などで構いません。
食事をして、1日3回胃腸を動かしてあげることが大切です。

一度胃腸が動き出すようになると、朝や昼にお腹が空くようになり、便秘になりにくくなります。

 

2.食物繊維を多く含む食品を積極的に食べる

食物繊維には便を軟らかくしたり便を太くしたりする作用があるので、緑黄色野菜、ゴボウ、果物、きのこ、海藻などを積極的にとりましょう。

ただし、便の通過が遅いタイプの便秘の場合は、おなかが張ってしまうことがあるので食物繊維のとりすぎに注意が必要です。

 

3.排便習慣をつくる

食後は意識してトイレに行きましょう。はじめは排便が得られなくても数分間トイレに行くようにすることで徐々に排便習慣を作っていきましょう。

また会社や学校などで便意を催した場合は、我慢せずトイレに行くようにします。

トイレを我慢し続けていると、体がその状態に慣れてしまい、便意がなくなることもあるので、そうなる前にトイレへ行くことが大切です。

排便時には、しゃがんだ姿勢が理想的です。洋式トイレの場合は、背骨と太ももの角度が約35度(ロダンの「考える人)のような姿勢)になるように前かがみになるのがポイントです。

 

© 2020 Inui pediatrics and internal medicine clinic

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