睡眠時無呼吸症候群と高血圧の「密」な関係|高崎市 乾小児科内科医院|アレルギー科・循環器内科(心臓血管内科)

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睡眠時無呼吸症候群と高血圧の「密」な関係

2020.11.06

睡眠時無呼吸症候群と高血圧の「密」な関係

 
 

寝ている間に呼吸が浅くなったり止まったりしてしまう睡眠時無呼吸症候群。睡眠の質が下がることで日中の眠気、だるさ、といった症状をきたすだけでなく、睡眠中に低酸素状態になることでいろいろな病気へ悪影響があることが知られています。

中でも高血圧は関連が高く、閉塞型睡眠時無呼吸症候群の方の約半数に高血圧が、高血圧の方のおよそ3人に1人は閉塞型睡眠時無呼吸症候群を合併しているといわれています。

今回は、睡眠時無呼吸症候群と高血圧の関係についてお話ししていきたいと思います。

 

睡眠時無呼吸症は心臓・血管・脳の病理のリスクを上げる

高血圧、心不全、不整脈、冠動脈疾患、脳梗塞などは、非常に高い頻度で睡眠時無呼吸症候群を合併していることが報告されています。

睡眠時無呼吸によって発生する高血圧は、生活習慣病を進行させて脳や心臓にもさまざまな悪さをしますが、睡眠時無呼吸自体も脳や心臓の病気を発症させます。

睡眠時無呼吸症候群と高血圧の「密」な関係

心臓や血管の病気と睡眠時無呼吸症候群の合併頻度をみると、高血圧の方の薬3人に1人が睡眠時無呼吸を合併していることがわかります。中でも3剤以上の降圧薬を必要とする薬剤抵抗性は5人のうち4人と大半の人に睡眠時無呼吸症を合併していることがわかります。

無呼吸が起こると、体は懸命に肺を膨らませて呼吸をします。胸郭が外に引っ張られて胸腔内の圧力が低くなるため、心臓に負担をかけます。

心臓のポンプ機能が低下したり、不整脈が発生したりして、それが続くと心臓肥大や大動脈の拡張などが起きやすくなるのです。

 

睡眠時無呼吸症候群に高血圧の合併が多い理由と特徴

血圧は、自律神経のはたらきによってコントロールされています。

自律神経には、主に日中に働いて適度な緊張状態にし、体を活性化させる「交感神経」と、主に夜間に働いて緊張を解き、リラックスさせて眠りに導く「副交感神経」の2種類があります。

両者は常にバランスをとりながら働いており、交感神経が優位になると心拍数が増えて血管は収縮し血圧が上がり、副交感神経が優位になると心拍数が減って血管は拡張し血圧が下がります。

睡眠中は副交感神経が優位のため、本来は血圧が下がった状態になります。

ところが、睡眠中に無呼吸が繰り返されると、そのたびに脳の覚醒が促されるために交感神経が興奮してしまいます。

心臓の血液排出量を増加させることとなり、血圧を上げてしまいます。このような状態は心臓の負担を大きくするだけでなく、圧力のかかる血管にもダメージを与えます。

また、睡眠中に何回も呼吸が停止することで、慢性的な酸素不足に陥ります。これは窒息と似た状態のため、心臓は心拍数を上げて全身に酸素を送ろうとします。その結果、血圧を上昇させることとなります。

こうして、寝ている間に二つの作用によって高血圧を引き起こしているのが、睡眠時無呼吸症候群です。

しかも、無呼吸から呼吸が再開するときは、急激に血圧が上昇します。これが「血圧サージ」で、誘因となって心筋梗塞や脳梗塞の発作を起こすことがあり、大変危険です。

そのため、睡眠時無呼吸症候群に伴う高血圧は本来であれば血圧が低くなる夜間に血圧が低下しない、夜間・早朝高血圧のタイプが多い(non-dipper)とされています。

さらに、3種類以上の降圧薬を使っても血圧が正常化しない「治療抵抗性高血圧」では約70%に睡眠時無呼吸症候群の合併があるとされています。

治療抵抗性高血圧も通常の高血圧と比べて、心筋梗塞や脳梗塞などのリスクが高く注意が必要です。

 

無呼吸の治療をすることで高血圧も改善する

睡眠時無呼吸症(SAS)は生活習慣と深く結びついた病気です。そのため、まずは生活習慣の改善を行うことが重要です。

減塩に加え、肥満がある場合には、ダイエットを行います。また、喫煙や就寝前の飲酒も控える必要があります。

これら生活習慣の改善に加え、重症の無呼吸症の方ではCPAPと呼ばれる、マスクを用いた治療を行います。

SASに対して、治療を行っていくことで、日中の眠気やだるさ、といったSASに伴う症状が改善するだけでなく、血圧のコントロールも改善します。

さらに心筋梗塞や脳梗塞のリスクも下がることがわかっています。1つの病気を治療することで、複数の病気の改善が期待できるのです。

 

最後に

24時間血圧を測定する器具もありますが、通常寝ている夜に血圧を測ることは難しく、早朝血圧で夜間血圧を代用します。

試しにご自宅で、朝起きてから1時間以内(排尿後・服薬前・朝食前)の血圧を測定してみてください。

もし夜の血圧が高ければ、病気が隠れているかもしれないと疑ってみましょう。その原因の1つに睡眠時無呼吸症候群があるのです。

ご家族に指摘されるいびきや呼吸停止だけでなく、なかなか落ち着かない高血圧や、夜間に発症した脳・心臓・大動脈疾患も、睡眠時無呼吸症候群を疑うきっかけになります。

まずは、睡眠時無呼吸症を疑い、医師に相談してみることが重要です。

 

© 2020 Inui pediatrics and internal medicine clinic

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