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血糖値が高いと言われたら|受診の目安と下げる方法

2026/09/19
「血糖値が高いと言われたら|受診の目安と下げる方法」というタイトルを示すアイキャッチ画像。健診結果を持つ患者に医師が血糖値とHbA1cの数値を説明しているイラスト

健康診断で「血糖値が高い」と指摘されても、自覚症状がないと、すぐに受診したほうがよいのか迷うかもしれません。

血糖値は食事や体調などの影響を受けるため、1回高かっただけで糖尿病と決まるわけではありません。ただし、糖尿病は初期には症状が出にくく、放置している間に少しずつ進行することがあります。まずは健診結果の「空腹時血糖」と「HbA1c」を確認し、数値に応じて再検査や受診につなげることが大切です。

この記事では、血糖値が高いと言われた方に向けて、糖尿病が疑われる数値、受診の目安、血糖値を改善するためにできることを、糖尿病専門医がわかりやすく解説します。

目次(タップすると開きます)

1. 血糖値が高いと言われたら、まず確認したいこと

健診で血糖値が高かったらどうするかを示すフローチャート。健診結果を確認し、強い症状(強い喉の渇き・頻尿・体重減少・吐き気・意識がぼんやり)があれば速やかに医療機関へ、なければ血糖値とHbA1cを確認して放置せず医療機関へ相談することを示す

健診結果を見るときは、血糖値だけでなく、採血したタイミングとHbA1cも確認します。

検査何を表す数値か糖尿病型と判定される値
空腹時血糖朝食前など、空腹時の血糖値126mg/dL以上
随時血糖食事時間にかかわらず測定した血糖値200mg/dL以上
75gOGTT 2時間値ブドウ糖を飲んだ2時間後の血糖値200mg/dL以上
HbA1c過去1~2か月の平均的な血糖状態6.5%以上

ここでいう「糖尿病型」は、検査結果の分類です。糖尿病の診断は、別の日の再検査や、血糖値とHbA1cの組み合わせ、症状の有無などを踏まえて行います。表の「糖尿病型」に該当する数値を指摘された場合は、自己判断で様子を見続けず、医療機関へ相談してください。

健診結果の数値別に、受診の目安をまとめると次のとおりです。

健診結果・症状対応の目安
吐き気・嘔吐、腹痛、息苦しさ、意識がぼんやりする予約日を待たず速やかに受診
空腹時血糖126mg/dL以上、随時血糖200mg/dL以上、HbA1c 6.5%以上放置せず、早めに医療機関へ相談
空腹時血糖110~125mg/dL、HbA1c 6.0~6.4%境界型が疑われるため、受診して詳しい検査を検討
空腹時血糖100~109mg/dL、HbA1c 5.6~5.9%生活習慣を見直し、定期的に再検査。肥満・高血圧・家族歴があれば相談

2. 血糖値とは?なぜ高くなるの?

血糖値とは、血液中に含まれるブドウ糖の濃度です。ブドウ糖は、ごはんやパン、麺類などに含まれる糖質が体内で分解されてでき、私たちが体を動かすための大切なエネルギー源になります。

食事をすると血糖値は一時的に上がります。すると膵臓からインスリンというホルモンが分泌され、ブドウ糖が筋肉などの細胞に取り込まれることで、血糖値は次第に下がります。

ところが、インスリンの分泌が不足したり、インスリンが効きにくくなったりすると、ブドウ糖をうまく処理できず、血糖値が高い状態が続きます。これが糖尿病の基本的な仕組みです。

血糖値の変化を示すグラフ。健常者と糖尿病患者さんで、朝食・昼食・夕食後の血糖値の上がり方が異なることを示す

血糖値は食事だけで決まるものではありません。体質や加齢、体重の増加、運動不足に加え、睡眠不足、ストレス、感染症、ステロイドなどの薬が影響することもあります。

糖尿病そのものの仕組みや種類については、糖尿病とは?原因・症状・診断・治療で詳しく解説しています。

3. 空腹時血糖が100mg/dLを超えたら糖尿病?

空腹時血糖110~125mg/dLは、糖尿病型には達していませんが、境界型が疑われる範囲です。糖尿病とは診断されなくても、将来糖尿病を発症する可能性が高い状態です。日本糖尿病学会では、この範囲やHbA1c 6.0~6.4%の場合、75gブドウ糖負荷試験を行うことが強く勧められています。

また、空腹時血糖100~109mg/dLは正常域に含まれますが、「正常高値」と呼ばれます。HbA1cが高めの場合や、肥満、高血圧、脂質異常症、糖尿病の家族歴などがある場合には、さらに詳しい検査が勧められることがあります。

健診では、空腹時血糖とHbA1cの結果が必ずしも同じ傾向になるとは限りません。空腹時血糖がそれほど高くなくてもHbA1cが高い方や、食後だけ血糖値が上がりやすい方もいます。どれか一つの数値だけで判断せず、検査結果全体を見ることが重要です。

必要に応じて、ブドウ糖を飲んだ後の血糖値を調べる75g経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT)を行うこともあります。

4. HbA1cは血糖値と何が違う?

血糖値は採血した時点の値であり、食事、運動、体調などによって変動します。これに対してHbA1cは、過去1~2か月の平均的な血糖状態を反映する指標です。

そのため、血糖値が一時的に高くてもHbA1cには大きく反映されないことがあります。反対に、採血当日の血糖値がそれほど高くなくても、普段から高血糖が続いていればHbA1cは高くなります。

糖尿病の診断に用いる「HbA1c 6.5%以上」と、糖尿病と診断された後の「治療目標」は別のものです。治療中は合併症予防の観点からHbA1c 7.0%未満が一つの目安になりますが、年齢、低血糖の危険性、罹病期間、合併症、ほかの病気などによって目標は変わります。

HbA1cについては、関連記事「HbA1cがなかなか下がらない…見直したい5つのポイント」でも詳しく解説しています。

5. こんな症状がある場合は早めに受診してください

血糖値がかなり高くなると、喉が異常に渇く、水分をたくさん飲む、尿の回数や量が増える、強いだるさがある、食べているのに体重が減るといった症状が現れることがあります。

さらに、吐き気や嘔吐、腹痛、息苦しさ、意識がぼんやりするといった症状がある場合は、著しい高血糖による緊急の治療が必要な可能性があります。健診後の予約日を待たず、速やかに医療機関へ相談してください。

糖尿病ではないと思っていた方でも、急激に血糖値が上がることがあります。特に症状を伴う場合は、「生活を改善してから再検査しよう」と自己判断で先延ばしにしないことが大切です。

6. 高血糖を放置すると何が問題なの?

高血糖が続くと、全身の血管や神経が少しずつ傷つきます。初期にはほとんど症状がなくても、長い期間をかけて糖尿病網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病神経障害などにつながることがあります。

また、糖尿病は動脈硬化を進め、心筋梗塞、脳梗塞、末梢動脈疾患などの危険性を高めます。血糖値だけでなく、血圧、LDLコレステロール、喫煙、体重などを一緒に管理することが重要です。

高血糖が続くと全身に影響することを示す図。目(糖尿病網膜症)・腎臓(糖尿病性腎症)・神経と足(糖尿病神経障害)・心臓(心筋梗塞)・脳(脳梗塞)・足の血管(末梢動脈疾患)の6つの合併症を示す

こうした合併症は、症状が出てからでは治療が難しくなる場合があります。まだ症状のない段階で異常に気づき、適切な治療を始めることが、将来の健康を守ることにつながります。

7. 血糖値を下げるにはどうしたらいい?

血糖値を改善する方法は、単に甘い物を禁止することではありません。食事、運動、体重、生活リズムなどを確認し、その方にとって続けやすい方法を選ぶことが大切です。

食事は「糖質の量」と全体のバランスを見直す

食後血糖に最も大きく影響する栄養素は糖質です。しかし、ごはんやパン、麺類などを完全に抜く必要はありません。まずは一度に食べる主食の量が多すぎないか、加糖飲料やお菓子を頻繁にとっていないかを振り返りましょう。野菜、きのこ、海藻、豆類など食物繊維を多く含む食品を取り入れ、主食だけに偏らない食事にすると、食後血糖の急上昇を抑えやすくなります。

果物は一律に禁止する食品ではありませんが、量が多ければ糖質の摂り過ぎになるため、ジュースではなく果物そのものを適量とりましょう。必要なエネルギー量は体重、年齢、身体活動量などによって異なるため、「1日何kcal」と一律に決めず個別に考えます。

運動は無理なく続けることが大切

ウォーキングなどの有酸素運動には、筋肉でブドウ糖を利用しやすくし、インスリンの効きを改善する効果があります。中等度の有酸素運動を週150分以上、週3回以上に分けて行い、運動しない日が2日以上続かないようにすることが勧められています。筋力トレーニングも筋力や筋肉量の維持に役立ち、連続しない日程で週2~3回が目安です。

運動習慣のない方が最初からこの量をこなす必要はありません。まずは食後に10分歩く、階段を使うなど、生活の中で動く時間を増やすところから始めて構いません。ただし、糖尿病網膜症や腎臓病、心臓病などがある方、インスリンや一部の糖尿病薬を使用している方は、運動による病状悪化や低血糖に注意が必要なため、新しく始める前に主治医へ相談してください。

薬が必要かどうかは数値だけでは決まりません

糖尿病と診断されても、全員が同じ薬を使うわけではありません。血糖値やHbA1cだけでなく、年齢、体重、インスリン分泌の状態、低血糖の危険性、心臓病、腎臓病などを考慮して治療を選びます。

食事や運動の見直しは治療の基本ですが、血糖値が高い場合や症状がある場合には、診断時から薬物療法やインスリン治療が必要になることもあります。「薬を使うのは生活改善に失敗したから」ということではありません。合併症を防ぐために、必要な治療を適切な時期に始めることが大切です。

糖尿病のお薬については、「糖尿病のお薬には何がある?―種類・特徴・使い分けについて」もあわせてご覧ください。

健診で血糖値が高いと言われたら今日からできる3つのこと。食事を見直す、食後に少し歩く、健診結果を放置しないことを示した図

8. まとめ

健診で血糖値が高いと言われたら、まず数値を確認し、放置しないことが大切です。糖尿病は初期には症状が出にくいため、「体調は悪くないから」と自己判断しないようにしましょう。

糖尿病型の数値がある場合や、血糖値・HbA1cが繰り返し高めになる場合は、医療機関で相談しましょう。食事や運動も、極端な制限を一時的に行うより、無理なく続けられる方法を選ぶほうが長期的な改善につながります。

参考文献

※本記事は一般的な医学情報の提供を目的としています。個別の診断や治療については、医療機関へご相談ください。


この記事の執筆・監修者

高崎市の乾小児科内科医院 院長 乾恵輔

乾 恵輔(いぬい けいすけ) 乾小児科内科医院 院長

【保有資格】

  • 日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医
  • 日本循環器学会認定 循環器専門医
  • 日本内科学会認定 総合内科専門医

院長よりメッセージ: 健診で血糖値が高いと言われても、それだけで慌てる必要はありません。ただし、放置してよいという意味でもありません。数値の意味を正しく理解し、必要な検査や治療につなげていきましょう。気になることがあれば、遠慮なくご相談ください。


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