気管支喘息とは?症状・検査・治療を医師が解説
夜や明け方に咳き込む、風邪は治ったのに咳だけ続く、息を吐くと「ゼーゼー」と音がする。こうした症状が繰り返し起こる場合、気管支喘息(喘息)が考えられます。
喘息は、症状がないときにも気道に炎症があり、刺激に敏感になっている病気です。この記事では成人の喘息について、症状、診断と検査、治療を説明します。お子さんの喘息については、別記事「子どもの喘息とは?症状・診断・治療を小児科医が解説」をご覧ください。
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気管支喘息とは
気管支は、肺へ空気を運ぶ通り道です。喘息ではその内側に慢性的な炎症があり、気管支の壁が腫れたり、周囲の筋肉が縮んだり、痰が増えたりして、空気が通りにくくなります。特に息を吐くときに、咳や息苦しさ、ゼーゼーという音が出やすくなります。
症状の強さは日によって変わり、何も感じない期間もあります。一方で、炎症を十分に抑えられず、悪化を繰り返すと、気道の狭さが残りやすくなることがあります。症状が軽い時期にも、治療や経過観察が必要かを確認する理由です。

大人の喘息でみられる症状
喘息では、咳、ゼーゼー・ヒューヒューという呼吸音(喘鳴)、息苦しさ、胸の苦しさなどが現れます。いくつかが同時に起こることも、咳だけが目立つこともあります。
特徴は、症状がずっと同じ強さで続くのではなく、良い日と悪い日があることです。夜間から明け方に悪くなる、風邪をひいた後に咳が長引く、運動や冷たい空気で咳き込む、といった経過が診断の手がかりになります。季節の変わり目や気象の変化で症状が増える方もいます。
咳が主な症状の場合は「咳喘息」も考えます。ただし、長引く咳にはほかの原因もあるため、経過を確認して判断します。
診断と検査
診察では、症状がいつ、どのくらいの頻度で起こるか、夜間や運動時に悪くなるか、喫煙歴やアレルギー性鼻炎の有無などを確認します。そのうえで、気道の狭さが時期によって変わることや、気管支を広げる薬による変化を、可能な範囲で検査します。
ゼーゼーという音だけで喘息とは診断できません。慢性閉塞性肺疾患(COPD)、心不全、感染症などでも、咳や息苦しさが起こります。検査が一度正常でも、症状のない時期には異常が現れないことがあり、必要に応じて時期を変えて調べます。
呼吸機能検査(スパイロメトリー)
大きく息を吸ってから勢いよく吐き、息の吐きにくさとその変化を調べます。最初の1秒間に吐けた空気の量が「1秒量」、十分に吐き出した空気の量に対する1秒量の割合が「1秒率」です。気管支を広げる薬を吸入する前後で比べると、気道の狭さが変化するかを確かめられます。
検査の結果は、症状やその日の状態と合わせて判断します。必要に応じて、朝夕のピークフロー(息を吐く勢い)を一定期間記録することもあります。
呼気NO検査
一定の速さで息を吐き、吐いた息に含まれる一酸化窒素(FeNO)を測ります。気道の炎症を調べる補助検査です。高ければ喘息を考える材料になりますが、数値だけでは確定できず、低くても喘息を否定できません。アレルギー性鼻炎、喫煙、治療中かどうかなども考慮します。
胸部X線検査など
胸部X線検査は、喘息そのものを確定する検査ではありません。症状や診察結果から、肺炎など別の病気を調べる必要がある場合に行います。血液検査などを追加するかも、患者さんごとに判断します。
治療の基本と、症状が出たときの対応
喘息治療の目標は、夜間の咳や息苦しさに悩まされず、普段の生活や運動を続けられる状態を保ち、悪化を防ぐことです。気道の炎症を抑える治療を基本に、症状が出たときの薬の使い方も決めます。治療は症状の頻度や過去の悪化などに合わせて調整します。

気道の炎症を抑える治療
治療の中心となるのは、吸入ステロイド薬(ICS)を含む薬です。炎症を抑えることで症状と悪化のリスクを減らします。状態に応じて、吸入ステロイド薬を単独で使ったり、気管支を広げる薬との配合剤を使ったりします。症状が続く場合には、吸入方法や薬を使えているかを確認したうえで、治療を見直します。
「ステロイド」と聞くと心配になるかもしれませんが、吸入薬は気道に直接届ける薬です。吸入後のうがいなど、薬に合った使い方を確認しましょう。自己判断で急にやめず、調子のよい状態が続いたら、薬を減らせるか主治医と相談します。
症状が出たときに使う薬
苦しいときに気管支を広げる吸入薬などを使います。普段使っている吸入薬の種類によって、定期吸入とは別の薬を使う場合と、指定された配合剤を追加で吸入する場合があります。悪くなったときにどの薬を何回使うか、あらかじめ処方時に確認しておきましょう。症状を和らげる薬を使う回数が増えたら、普段の治療が合っているか見直す目安になります。
症状が強く悪化したときは、診察で状態を評価し、吸入治療に加えて短期間の内服ステロイド薬などを使うことがあります。
治療しても症状が続くとき
まず、吸入器を正しく使えているか、薬を使い忘れていないか、鼻炎や喫煙・受動喫煙など悪化につながる要因がないかを確認します。それでも十分に改善しない場合は、診断や治療を再評価し、追加治療や専門的な診療を検討します。
日常生活で気をつけたいこと
風邪などの呼吸器感染、ダニやペットなどのアレルゲン、たばこの煙、冷気、運動など、症状のきっかけは人によって異なります。いつ症状が出たかを記録すると、自分の傾向をつかみやすくなります。運動を一律に避ける必要はありません。運動で症状が出る場合は治療を相談しましょう。運動時の咳や息苦しさを防ぐ工夫は、別記事「運動すると咳・息苦しさが出る?運動誘発喘息の症状と予防法」で詳しく説明しています。
喫煙している方は禁煙に取り組み、家庭内でも受動喫煙を避けましょう。ダニなどが症状に関係する場合は、寝具や寝室を中心に掃除と換気を続けます。何が症状のきっかけになっているか、診察で一緒に考えます。
よくある質問
ゼーゼーしなければ喘息ではありませんか?
いいえ。咳や胸苦しさが中心で、喘鳴が目立たないこともあります。一方で長引く咳には別の原因もあるため、経過を確認して判断します。
症状がなくなったら吸入薬をやめてもよいですか?
症状が落ち着いていても、炎症を抑える治療が効いている可能性があります。中止や減量は、これまでの悪化の回数なども踏まえて相談してください。
参考文献
- 日本アレルギー学会「喘息予防・管理ガイドライン2024」
- 日本アレルギー学会「アレルギーの手引き2026」第3章「成人の喘息」
- Global Initiative for Asthma (GINA). Summary Guide for Asthma Management and Prevention 2026.
※この記事は2026年9月時点の情報をもとに作成しています。
この記事の執筆・監修者

乾 恵輔(いぬい けいすけ) 乾小児科内科医院 院長
【保有資格】
- 日本内科学会認定 総合内科専門医
- 日本循環器学会認定 循環器専門医
- 日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医
院長よりメッセージ: 「咳が長引くだけ」と様子を見てしまう方も多いですが、夜間の咳や繰り返す喘鳴は喘息のサインのことがあります。気になる咳が続く場合は、一度ご相談ください。
【内科のご案内】
夜間の咳、繰り返す喘鳴、風邪の後の長引く咳などは、内科でご相談いただけます。受診時には、症状が出る時間帯、きっかけ、現在使っている吸入薬が分かるものをお持ちいただくと役立ちます。
受診をご希望の方は、WEB事前受付をご利用いただくとスムーズです。当日、症状について確認したいことがある場合は、お電話でもお問い合わせいただけます。



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