【糖尿病専門医が解説】尿検査で糖が出たら糖尿病?1+や2+の意味は?
健診などで尿検査をしたときに、「尿糖が陽性」「尿糖1+」「尿糖2+」などと指摘されることがあります。
その名の通り、尿に糖が出たらすべて糖尿病なのでしょうか?
また、尿検査でみられる1+や2+には、どんな意味があるのでしょうか?
まず結論からいうと、尿糖が陽性だからといって、必ずしも糖尿病とは限りません。
反対に、尿糖が陰性だからといって、糖尿病を完全に否定できるわけでもありません。
尿糖検査は糖尿病を見つける大切なきっかけになりますが、糖尿病かどうかは血糖値やHbA1cなどの検査を行って判断します。
今回は、尿糖が出る仕組みや、尿糖1+・2+などの意味について解説していきます。
尿糖はなぜ出る?
体内に入った飲食物は消化・吸収され、その栄養分は血液を介して全身へ運ばれます。
血液中のブドウ糖は「血糖」として、全身のエネルギー源として利用されます。
一方、腎臓には血液をろ過して、体内で不要になったものを尿として体外に排泄する働きがあります。
ブドウ糖もいったん腎臓でろ過されますが、体にとって大切なエネルギー源なので、その99%以上が尿細管で再吸収され、血液中に戻されます。
そのため、正常では尿中に出る糖はごくわずかです。

しかし、血液中のブドウ糖の濃度が高くなり、腎臓がブドウ糖を再吸収できる限界を超えると、再吸収しきれなかったブドウ糖が尿中にあふれ出し、尿糖が陽性になります。
再吸収の限界となる血糖値は160〜180mg/dLとされており、尿糖が陽性になるということは、血糖値がこれよりも高くなっている可能性があることを意味しています。
ただし、血糖値が高くなくても尿糖が陽性になる場合があります。
尿糖が陽性になる原因
尿糖が陽性になる原因として、まず考えるのは糖尿病や糖尿病予備群です。
ただし、それ以外にも腎性糖尿や薬の影響、妊娠などで尿糖が出ることがあります。
糖尿病、あるいは糖尿病予備群
血糖値が高くなり、腎臓でブドウ糖を再吸収できる限界を超えると、尿中に糖が出てきます。
そのため、健診などで尿糖が陽性になったことをきっかけに、糖尿病が見つかることがあります。
ただし、尿は水分摂取量などによって濃くなったり薄くなったりします。
そのため、尿糖が何+だったかだけから、実際の血糖値を正確に推定することはできません。
また、空腹時血糖やHbA1cがそれほど高くなくても、食後に血糖値が大きく上昇する「食後高血糖」によって尿糖が出ることもあります。
尿糖が陽性になった場合には、血糖値やHbA1cなどを測定して確認することが大切です。
腎性糖尿
尿糖が出ていても、糖尿病ではないことがあります。
その代表的なものが腎性糖尿です。
腎性糖尿では、腎臓の尿細管でブドウ糖を再吸収する働きに特徴があるため、血糖値が正常であるにもかかわらず尿糖が陽性になります。
尿糖は出ていますが、高血糖によって起きているわけではありません。
多くの場合、特別な治療は必要ありません。
健診などで以前から尿糖を指摘されているものの、血糖値やHbA1cは正常という場合には、腎性糖尿の可能性も考えます。
薬の影響
現在では、薬の影響による尿糖も珍しくありません。
糖尿病のほか、心不全や慢性腎臓病などの治療にも使用されているSGLT2阻害薬は、腎臓でブドウ糖が再吸収されるのを抑え、尿中への糖の排泄を増やす薬です。
そのため、SGLT2阻害薬を服用している方では、薬が作用した結果として尿糖が強く陽性になることがあります。
この場合には、尿糖が2+、3+だからといって、それだけで血糖値が非常に高いとは判断できません。
また、ステロイド薬など血糖値を上昇させる可能性のある薬によって、結果的に尿糖が陽性になることもあります。
その他の影響
妊娠中には尿糖が陽性になることがあります。
また、感染症などをきっかけに一時的に血糖値が上昇し、尿糖が出ることもあります。
このように、尿糖が陽性だからといって、それだけで糖尿病と判断することはできません。
尿糖の1+や2+の意味
尿糖の有無を調べる場合には、一般的に簡便な尿試験紙が使われます。
検査結果は、
(-)、(±)、(1+)、(2+)、(3+)、(4+)
などと表示されます。
基本的には、+の数が多いほど、尿中に含まれているブドウ糖の濃度が高いことを意味します。
ただし、ここで注意したいのは、尿糖の+の数は血糖値そのものを表しているわけではないということです。
さらに、「1+」「2+」などに相当する尿糖濃度は、使用する尿試験紙によっても異なります。
代表的な尿試験紙を比較すると、次のようになります。

| 尿試験紙 | ± | 1+ | 2+ | 3+ | 4+ |
|---|---|---|---|---|---|
| アークレイ オーションスティックス | 50 | 100 | 200 | 500 | 1000 |
| テルモ ウリエースKc | 50 | 100 | 500 | 2000 | ― |
| シーメンス エームス尿検査試験紙 | 100 | 250 | 500 | 1000 | ― |
表を見ると、同じ「2+」でも、アークレイでは200mg/dL、テルモやシーメンスでは500mg/dLと違いがあることが分かります。
つまり、「尿糖2+」という結果だけを見ても、尿中にどのくらいの糖が含まれているのかは、使用した試験紙によって異なります。
もちろん、これは血糖値が200mg/dLや500mg/dLという意味でもありません。
そのため、
「1+だから軽い糖尿病」
「2+だから糖尿病」
「尿糖が陰性だから糖尿病ではない」
といった判断はできません。
尿糖はあくまで、血糖値を詳しく調べるきっかけとなる検査と考えるとよいでしょう。
尿糖が陽性だったら何を調べる?
尿糖が陽性だった場合、糖尿病があるかどうかを確認するために重要なのは、血糖値とHbA1cです。
血糖値は採血した時点での血糖の状態を表します。
一方、HbA1cは過去1〜2か月程度の平均的な血糖状態を反映するため、その日の食事などによって変動しやすい血糖値と組み合わせることで、普段の血糖状態を評価することができます。
必要に応じて、空腹時血糖や75g経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT)などを行うこともあります。
つまり、尿糖は糖尿病に気づくきっかけとなる検査であり、実際に糖尿病かどうかを判断するためには血糖値やHbA1cなどを確認する必要があります。
こんな症状がある場合は早めに受診を
血糖値がかなり高くなると、尿中に排泄されるブドウ糖の量も増えてきます。
尿中のブドウ糖は水分を一緒に引きつけるため、尿量が多くなります。
その結果、のどが頻繁に渇くようになったり、水分をたくさん飲むようになったり、尿の回数や量が増えたりすることがあります。
夜中に何度もトイレに起きるようになることもあります。
さらに、糖をうまくエネルギーとして利用できない状態が続くと、ダイエットをしていないのに体重が減ってくることもあります。
特に、
- のどが異常に渇く
- 水分をたくさん飲むようになった
- 尿の回数や量が増えた
- 夜中に何度もトイレに起きる
- ダイエットをしていないのに体重が減ってきた
- 強いだるさがある
といった症状が短期間に出てきた場合には、血糖値がかなり高くなっている可能性があります。
このような症状があり、さらに尿糖を指摘された場合には、早めに医療機関を受診してください。
尿糖検査だけでは分からないこともあります
尿糖検査は簡単に行える便利な検査ですが、いくつか注意点があります。
まず、尿は水分摂取量などによって濃くなったり薄くなったりします。
また、ビタミンC(アスコルビン酸)を多量に摂取すると、使用する試験紙によっては尿糖が実際より低く判定されることがあります。
さらに、SGLT2阻害薬を服用している場合には、血糖値とは別に薬の作用によって尿糖が増えます。
このため、尿糖検査だけで糖尿病の有無や血糖値の高さを正確に判断することはできません。
まとめ
尿糖が陽性だったからといって、必ずしも糖尿病というわけではありません。腎性糖尿やSGLT2阻害薬の影響など、血糖値がそれほど高くなくても尿糖が出ることがあります。
また、尿糖の1+、2+という数字は血糖値そのものを表しているわけではありません。尿の濃さや使用する試験紙によっても結果は変わるため、尿糖だけで糖尿病かどうかを判断することはできません。
一方で、尿糖は糖尿病を見つけるきっかけになる大切な検査です。健診などで尿糖を指摘されたら、「糖尿病だ」と慌てる必要はありませんが、一度血糖値やHbA1cを確認しておくとよいでしょう。
特に、のどが異常に渇く、尿の量が増えた、ダイエットをしていないのに体重が減ってきた、といった症状がある場合には、血糖値がかなり高くなっていることがありますので、早めに医療機関を受診してください。
当院では、糖尿病専門医が健診で血糖値や尿糖の異常を指摘された方のご相談をお受けしています。血糖値やHbA1cなどを確認し、必要に応じて詳しい検査を行っています。
尿糖が1+、2+だったというだけでも構いません。気になる場合は一度ご相談ください。
健診で血糖値やHbA1cの異常もあわせて指摘された方は、健康診断で血糖値異常を指摘された方へ【高崎市】もご覧ください。
この記事の執筆・監修者

乾 恵輔(いぬい けいすけ) 乾小児科内科医院 院長
【保有資格】
- 日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医
- 日本内科学会認定 総合内科専門医
- 日本循環器学会認定 循環器専門医
院長よりメッセージ: 尿糖の指摘は、糖尿病の早期発見につながる大切なサインです。「たまたま甘いものを食べたからかな?」と自己判断せず、専門医のもとで正しい検査を受けることが、将来の健康を守る第一歩になります。当院では、糖尿病専門医としての知見を活かし、検査結果の正確な解釈から、生活習慣のアドバイスまで丁寧に行っています。ご家族皆様の健康相談も承っておりますので、どうぞ安心してお越しください。
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