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海外渡航前にA型肝炎ワクチンは必要?エイムゲンの接種回数・間隔・費用を解説

海外渡航前のA型肝炎ワクチンについて、パスポートとスーツケースを持つ渡航者と予防接種シールドのイラスト。汚染されやすい水・氷・生野菜・貝類のアイコンとともに、接種回数・間隔・費用を解説する記事であることを示している

海外旅行、海外出張、留学、海外赴任などを予定している方から、

「短期間の観光旅行や出張でも必要ですか?」
「出発まで1か月しかありませんが、間に合いますか?」

と相談されることがあります。

A型肝炎は、ウイルスに汚染された水や食べ物から感染する病気です。アジア、アフリカ、中南米などへの渡航では、観光、出張、留学、赴任などの目的や滞在期間を問わず感染する可能性があります。

この記事では、海外渡航前にA型肝炎ワクチンを検討したい方に向けて、日本で承認されている「エイムゲン」の接種対象、接種回数、出発まで時間がない場合の対応をわかりやすく解説します。

この記事のポイント

  • アジア、アフリカ、中南米などへの渡航では、A型肝炎ワクチンを検討します
  • エイムゲンは、通常2~4週間隔で2回接種し、初回から24週後に3回目を接種します
  • 出発まで1か月未満でも接種できる場合があるため、早めにご相談ください

A型肝炎とは?

A型肝炎は、A型肝炎ウイルスによって起こる急性肝炎です。

感染者の便に含まれるウイルスが、手指、水、氷、食品などを介して口に入ることで感染します。医学的には「糞口感染」と呼ばれる感染経路です。

たとえば、次のようなものが感染源になる可能性があります。

  • 衛生管理が十分でない水や、その水で作られた氷
  • 十分に加熱されていない魚介類
  • 現地の水で洗った生野菜や果物
  • 感染した調理者が扱った食品

「生ものを食べなければ大丈夫」とは限りません。飲み物の氷、サラダ、カットフルーツ、加熱後に手で盛り付けられた料理などから感染することもあります。

感染するとどのような症状が出る?

A型肝炎の感染経路を4段階で示す図。①汚染された水・氷・食品、②口からウイルスが入る、③潜伏期間2〜6週間、④発熱・だるさ・吐き気や黄疸などの症状という流れとともに、渡航中は元気でも帰国後に発症することがあると説明している

※画像をタップすると拡大できます

A型肝炎の潜伏期間はおよそ2~6週間です。感染してすぐに症状が出るわけではないため、渡航中は元気でも、帰国後に発症することがあります。

初めは発熱、強いだるさ、食欲不振、吐き気、嘔吐など、風邪や胃腸炎に似た症状が現れます。その後、皮膚や白目が黄色くなる黄疸、尿が濃くなる、便が白っぽくなるといった症状がみられることがあります。

多くは回復し、慢性肝炎になることはありません。しかし、成人は小児より症状が強くなりやすく、入院が必要になる場合があります。まれに肝機能が急速に悪化して重症化することもあります。

A型肝炎に対する特別な治療薬はなく、治療は安静や点滴などの対症療法が中心です。そのため、感染リスクのある地域へ渡航する場合は、ワクチンによる予防が大切です。

どのような渡航者に接種がすすめられる?

A型肝炎は、衛生環境や安全な水へのアクセスが十分でない地域で広くみられます。特に南アジア、東南アジア、アフリカ、中南米などへの渡航では接種を検討します。

なかでも、次のような方は感染機会が多くなる可能性があります。

  • 現地の飲食店、屋台、家庭などで食事をする
  • 出張、留学、赴任などで長く滞在する
  • 農村部や衛生環境の十分でない地域を訪れる
  • 複数の都市や国を周遊する
  • 友人や親族の家に滞在する
  • 慢性肝疾患などがあり、感染した場合の重症化が心配される

必要性は国名だけでなく、渡航目的、滞在地域、滞在期間、食事、活動内容、年齢、持病などによって変わります。同じ国でも旅程によって判断が異なるため、具体的な予定を医師に伝えて相談しましょう。

短期間の観光旅行や海外出張でも必要?

設備の整ったホテルに泊まる短期間の観光旅行や海外出張でも、感染リスクがゼロになるわけではありません。

A型肝炎は、汚染された水や食品のほか、感染した調理者の手指を介して広がることがあります。厨房の衛生状態を渡航者が判断することは難しく、予定外に現地の飲食店や屋台を利用する可能性もあります。

そのため、感染リスクのある国で現地の食事をとる方や、複数の場所を移動する方は、滞在期間が短くても接種を検討する価値があります。

A型肝炎ワクチン「エイムゲン」とは?

エイムゲンは、日本国内で承認されている不活化A型肝炎ワクチンです。感染力をなくしたウイルスを利用して免疫をつけるため、ワクチン接種によってA型肝炎を発症することはありません。

接種量は成人も小児も0.5mLで、筋肉内または皮下に接種します。医師が必要と判断した場合には、ほかのワクチンとの同時接種も可能です。

エイムゲンの接種回数と間隔

エイムゲンは、通常3回接種します。

回数接種時期
1回目初回
2回目1回目の2~4週間後
3回目1回目から24週後(約6か月後)

まず2回接種して渡航前の免疫をつけ、3回目を追加することで免疫を長く保ちます。

たとえば1月10日に1回目を接種した場合、2回目は1月24日~2月7日ごろ、3回目は6月下旬ごろが目安です。3回目は帰国後に接種することもできます。

接種間隔が予定より空いてしまった場合でも、必ずしも最初からやり直す必要はありません。過去の接種記録を確認して判断しますので、接種日がわかる書類や母子健康手帳をお持ちください。

A型肝炎ワクチン エイムゲンの接種スケジュール図。1回目接種の2〜4週間後に2回目、初回から24週後(約6か月後)に3回目を接種すること、出発まで時間がない場合は2週間後に2回目を接種する短縮スケジュールがあることを示している

※画像をタップすると拡大できます

出発まで時間がない場合はどうする?

エイムゲンには、免疫を急いでつける必要がある場合、2週間隔で2回接種する方法があります。

出発まで1か月あれば、日程によっては渡航前に2回接種できます。ただし、接種した当日から十分な免疫が得られるわけではありません。出発日、渡航先、年齢、持病、過去の接種歴を確認し、接種計画を立てます。

出発まで2週間を切っていても、今後の渡航予定や現地での感染対策を含めて相談できます。自己判断で諦めず、まずはお問い合わせください。

乾小児科内科医院では、出発日と渡航先に合わせて接種スケジュールをご提案します。出発まで時間がない方も、トラベル外来へご相談ください。

エイムゲンの副反応

接種後には、注射した部分の痛み、赤み、腫れ、かゆみ、硬さなどがみられることがあります。また、だるさ、頭痛、発熱、下痢、筋肉痛などが起こることもありますが、多くは一時的です。

接種当日は激しい運動を避け、接種部位を清潔に保ちましょう。入浴はできますが、接種部位を強くこすらないようにしてください。

高熱が続く、全身にじんましんが出る、息苦しい、意識がおかしいなどの症状がみられた場合は、速やかに医療機関へ連絡してください。

発熱中の方、過去のワクチンで強いアレルギー症状が出た方、心臓・腎臓・肝臓・血液などの病気がある方、免疫機能に関係する治療を受けている方、出血しやすい方、妊娠中または妊娠の可能性がある方は、接種前に医師へお伝えください。

持病や妊娠があるから一律に接種できないわけではありません。渡航先で感染するリスクと、接種の効果や副反応を比較して個別に判断します。

ワクチン接種後も食事と水には注意しましょう

ワクチンを接種しても、渡航中のすべての感染症や食中毒を防げるわけではありません。現地では次の点にも注意してください。

  • 未開封の市販ボトル水、または十分に沸騰させた水を選ぶ
  • 安全性が確認できない氷は避ける
  • 加熱した料理は熱いうちに食べる
  • 生または加熱不十分な魚介類、肉、卵を避ける
  • 生野菜や、自分で皮をむいていない果物に注意する
  • 食事前とトイレ後に手を洗う

ワクチンと現地での衛生対策を組み合わせることが大切です。

よくある質問

A型肝炎ワクチンは入国に必須ですか?

多くの国では、A型肝炎ワクチンの接種証明書は入国条件ではありません。ただし、「入国に必要ない」ことと「感染予防のために必要ない」ことは別です。渡航先、滞在期間、渡航目的に応じて検討します。

A型肝炎ワクチンとB型肝炎ワクチンは同じですか?

別のワクチンです。A型肝炎は主に汚染された水や食品から、B型肝炎は主に血液や体液から感染します。一方を接種しても、もう一方を予防することはできません。渡航内容によっては両方を接種します。

過去に接種したかわからない場合は?

A型肝炎ワクチンは日本の定期接種には含まれていません。まずは母子健康手帳や以前の接種記録をご確認ください。記録がない場合は、渡航までの日数や過去の居住歴などを踏まえて、接種または抗体検査を検討します。

子どもも接種できますか?

エイムゲンは小児にも使用されます。WHOは1歳以上の小児へのA型肝炎ワクチン接種を推奨しています。年齢、渡航先、旅程、体調などを確認して判断します。

ほかのワクチンと同じ日に接種できますか?

医師が必要と判断した場合、エイムゲンはほかのワクチンと同時に接種できます。出発までの期間が短く、複数のワクチンが必要な場合には、同時接種を組み合わせて計画することがあります。

接種後に抗体検査は必要ですか?

健康な方では通常必要ありません。免疫機能が低下しているなど、免疫がついたかどうかの確認がその後の判断に重要な場合は個別に検討します。

当院でのA型肝炎ワクチン接種について

乾小児科内科医院では、観光旅行、海外出張、留学、海外赴任、研修・実習、ボランティア、友人や親族を訪ねる渡航などを予定している方を対象に、トラベル外来でA型肝炎ワクチンの相談・接種を行っています。

当院で使用するのは、国内承認ワクチンのエイムゲンです。

接種料金:1回 17,600円(税込)

必要なワクチンは渡航先だけで一律に決まるものではありません。出発日、滞在期間、渡航目的、現地での活動、年齢、持病、これまでの接種歴を確認し、ほかの渡航ワクチンも含めて接種計画をご提案します。

受診時には、渡航先と滞在都市、出発日と帰国予定日、現地での活動内容がわかるものをご用意ください。母子健康手帳や予防接種記録、服用中の薬がわかるものもお持ちいただくと、より正確に判断できます。

エイムゲンは複数回の接種が必要です。渡航が決まったら、できるだけ早めにご予約ください。

まとめ

A型肝炎は、汚染された水や食品などから感染し、帰国後に発症することもある病気です。アジア、アフリカ、中南米などへの渡航では、観光、出張、留学、赴任などの目的や滞在期間にかかわらずワクチン接種を検討します。

国内承認ワクチンのエイムゲンは、通常2~4週間隔で2回接種し、初回から24週後に3回目を追加します。出発まで1か月未満でも組める日程があるため、渡航が決まったら早めにご相談ください。

乾小児科内科医院のトラベル外来では、渡航先と旅程に合わせて、A型肝炎ワクチンを含む必要な予防接種をご案内します。


この記事の執筆・監修者

高崎市の乾小児科内科医院 院長 乾恵輔

乾 恵輔(いぬい けいすけ) 乾小児科内科医院 院長

【保有資格】

  • 日本内科学会認定 総合内科専門医
  • 日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医
  • 日本循環器学会認定 循環器専門医
  • 日本渡航医学会所属

院長よりメッセージ: A型肝炎は国内では馴染みが薄い病気ですが、海外では今も広くみられる感染症です。渡航先や滞在スタイルに合わせて、他の渡航ワクチンとあわせた接種計画をご提案しますので、出発まで時間がない方もまずはご相談ください。


【トラベル外来・ワクチン接種のご案内】 

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参考資料

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。実際に必要な予防接種は、渡航先、滞在期間、活動内容、年齢、健康状態、過去の接種歴によって異なります。