夏に注意したい痛風発作。3つの要因と予防法は?
「特にひねった覚えもないのに、突然、足の親指の付け根が腫れて痛くなった」。そんな症状をきっかけに受診し、痛風が見つかる方は少なくありません。
痛風発作は一年を通して起こりますが、夏は汗による脱水に加え、ビールや甘い飲み物を飲む機会が増えやすい季節です。
予防のために意識したいのは、こまめに水分を補給すること、お酒を飲みすぎないこと、甘い飲み物を習慣的に大量に飲まないことの3つです。
この記事では、夏に注意したい3つの要因と、今日からできる予防のポイントを解説します。
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痛風発作とは?尿酸値との関係
痛風発作は、関節にたまった尿酸の結晶に体の免疫が反応し、強い炎症が起こるものです。足の親指の付け根に起こりやすく、突然の痛み、赤み、腫れが特徴です。足首や膝などに起こることもあります。
血液中の尿酸値が7.0mg/dLを超える状態を「高尿酸血症」といいます。尿酸値が高い状態が続くと、尿酸の結晶が関節などに徐々に蓄積します。ただし、尿酸値が高い方すべてが痛風発作を起こすわけではありません。
結晶がたまっていても、普段は症状がないことがあります。尿酸値の変動や関節への刺激などがきっかけとなり、発作が起こると考えられています。
痛風・高尿酸血症の症状や治療の全体像は、別記事「尿酸値が高いと痛風になる?痛風・高尿酸血症の症状と治療を解説」で詳しく説明しています。
暑い時期や夜間に注意したい理由
痛風発作の起こりやすい季節は地域や研究によって異なりますが、暑さと発作の起こりやすさとの関連が報告されています。
痛風のある方を調べた研究では、直前2日間の気温が高いときは、中程度の気温のときに比べて発作のリスクが約40%高かったと報告されています。夏は、特に脱水に気をつけたい時期です。
また、発作は夜中から明け方に起こりやすく、「寝る前には何ともなかったのに、明け方に足が痛くて目が覚めた」という経過もみられます。
夏に注意したい3つの要因
1.汗をかくことで脱水になりやすい
暑い日や運動中、サウナなどでは、汗とともに体の水分が失われます。十分に補給できず脱水になると、腎臓から尿酸を排泄しにくくなり、尿酸値が上がることがあります。
屋外でのスポーツや仕事だけでなく、暑い室内やサウナでも脱水に注意が必要です。
2.ビールなどの飲酒量が増えやすい
暑い日のビールや、運動後のお酒を楽しみにしている方も多いと思います。ただ、飲む量が増えると、尿酸値や痛風のリスクに影響します。
ビールにはプリン体が含まれています。さらに、アルコール自体にも、体内で尿酸が作られるのを促す働きがあります。そのため、プリン体ゼロのビールや、プリン体の少ない焼酎・ウイスキーであっても、飲みすぎには注意が必要です。
私も暑い時期のビールは大好きですが、飲む量には気をつけたいところです。
3.甘い飲み物を大量に飲みやすい
砂糖入りの炭酸飲料やジュースなどには、果糖や、果糖を含む砂糖が使われています。これらを摂りすぎると、尿酸値が上がることがあります。
男性を長期間追跡した研究では、砂糖入り清涼飲料を1日2杯以上飲む方は、月1杯未満の方に比べて、新たに痛風を発症するリスクが1.85倍でした。
この数字は、長期的に痛風を発症するリスクを調べたものです。甘い飲み物を大量に飲み続ける習慣には注意が必要です。
夏の痛風対策として今日からできること

水分補給は、水や無糖のお茶を基本にする
普段の水分補給には、水や無糖のお茶を選びましょう。喉が渇いてからまとめて飲むより、こまめに補給することが大切です。外出や運動の前後、入浴・サウナの前後など、飲むタイミングを意識すると忘れにくくなります。
ただし、暑い環境での運動や作業で大量に汗をかく場合は、水分に加えて塩分の補給も必要です。状況に応じてスポーツ飲料などを使うことはありますが、普段から喉の渇きをすべて甘い飲み物で補う習慣は避けましょう。
心臓や腎臓の病気などで水分量を指示されている方は、その指示に合わせてください。
お酒は飲む量を決め、汗をかいたあとはまず水分を補給する
お酒を飲むときは、先に量を決め、追加の一杯を重ねないようにしましょう。
運動やサウナのあとは、お酒より先に水分を補給して体を休めます。アルコールには利尿作用があり、お酒だけでは適切な水分補給になりません。また、水を一緒に飲んでも、アルコールの尿酸への影響がなくなるわけではないため、飲酒量そのものを控えることが大切です。
甘い飲み物を、いつもの飲み物にしない
冷蔵庫や職場に水・無糖のお茶を用意しておくと、飲み物を選びやすくなります。「毎日のジュースを無糖のお茶に替える」「大きなペットボトルの甘い飲み物を習慣的に飲まない」など、続けられる工夫から始めてみましょう。
食事と運動で気をつけたいポイント
プリン体だけでなく、食べる量と食事全体を見直す
痛風や高尿酸血症の食事対策では、食べすぎを避け、適正な体重を保つことが基本です。そのうえで、プリン体を多く含む食品を摂りすぎないようにします。
日本のガイドラインでは、プリン体の摂取量を1日400mg程度にすることが目安とされています。まずは、レバー・白子・干物などを頻繁に大量に食べていないか、主菜が肉や魚ばかりになっていないかを確認しましょう。
| プリン体の量(食品100gあたり) | 代表的な食品 |
|---|---|
| 極めて多い:300mg以上 | 鶏レバー、マイワシの干物、たらなどの白子、あんこうの肝(酒蒸し) |
| 多い:200〜300mg程度 | 豚・牛レバー、カツオ、マイワシ、マアジ・サンマの干物 |
| 極めて少ない:50mg以下 | 卵、乳製品、一般的な豆腐、米、多くの野菜 |
ガイドラインの食品分類をもとに、代表例を抜粋。実際の摂取量は、食品の種類・調理法・食べる量によって変わります。納豆も食事に取り入れられますが、一般的な豆腐よりプリン体が多く、ガイドラインの掲載値では小1パック40gあたり約46mgです。
献立の工夫として、ガイドラインでは、肉・魚を使った定食を2回、残りの1回は低プリン体の食材を使った食事にする例が示されています。例えば、昼に魚、夜に肉を食べる日は、朝食の主菜を卵や豆腐にするなど、食材を組み合わせてみましょう。
また、プリン体の一部はゆで汁や煮汁に溶け出します。ゆでて汁を捨てる調理は摂取量を減らす工夫になりますが、汁まで飲む場合は、溶け出した分も摂ることになります。
運動は、無理のない強度で続ける
ウォーキングや軽いサイクリングなどの有酸素運動は、体重管理や生活習慣の改善に役立ちます。まずは無理なく続けられる時間から始め、慣れてきたら1日の合計30分程度を目安に増やしていきましょう。
短時間の激しい運動では尿酸値が上がることがあるため、急に強度を上げたり、脱水したまま続けたりしないことが大切です。筋力トレーニングも、負荷を抑えて無理なく行いましょう。
暑い時期は涼しい時間帯や室内を選び、運動の前後や合間に水分を補給してください。発作で関節が痛む間は、その関節を無理に動かさないようにします。
発作を繰り返さないための治療と受診の目安
痛風の痛みが治まっても、関節にたまった尿酸の結晶がすぐになくなるわけではありません。発作を繰り返さないためには、夏の生活対策に加えて、尿酸値を継続して管理することが大切です。
痛風の治療では、尿酸値6.0mg/dL以下を目標に、必要に応じて尿酸を下げる薬を使います。すでに治療中の方は、痛みがなくなったからといって自己判断で薬をやめず、定期的な検査と治療を続けましょう。尿酸値をどこまで下げるかの考え方は、別記事「痛風の尿酸値はどこまで下げるべきか?尿酸結晶の減少速度から考える治療目標」で解説しています。
初めて足の親指の付け根が腫れて痛くなった方も、受診して原因を確認しましょう。症状だけで痛風と決めつけず、診察や検査で確かめることが大切です。
参考文献
- 日本痛風・核酸代謝学会 ガイドライン改訂委員会 編「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版」診断と治療社,2018
- 日本痛風・尿酸核酸学会 ガイドライン改訂委員会 編「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版[2022年追補版]」診断と治療社,2022
- Neogi T, et al. Relation of temperature and humidity to the risk of recurrent gout attacks. Am J Epidemiol. 2014;180(4):372–377.
- Choi HK, et al. Nocturnal risk of gout attacks. Arthritis Rheumatol. 2015;67(2):555–562.
- Choi HJ, et al. Seasonal Variations and Associated Factors of Gout Attacks: a Prospective Multicenter Study in Korea. J Korean Med Sci. 2020;35(20):e133.
- Choi HK, Curhan G. Soft drinks, fructose consumption, and the risk of gout in men: prospective cohort study. BMJ. 2008;336(7639):309–312.
- 厚生労働省「働く人の今すぐ使える熱中症ガイド」
この記事の執筆・監修者

乾 恵輔(いぬい けいすけ) 乾小児科内科医院 院長
【保有資格】
- 日本痛風・尿酸核酸学会 所属
- 日本循環器学会認定 循環器専門医
- 日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医
- 日本内科学会認定 総合内科専門医
院長よりメッセージ: 暑い時期は汗をかき、ビールや冷たい甘い飲み物も増えがちです。水分補給とお酒の量を少し意識するだけでも、発作の予防につながります。痛みが治まっても尿酸の結晶は残っているので、発作を繰り返す方は一度ご相談ください。
【痛風外来のご案内】
当院はクリニックで県内唯一の痛風・尿酸財団認定の痛風協力医療機関として痛風治療にあたっています。健診で尿酸値が高いと指摘された方、初めて痛風を疑う症状が出た方、発作を繰り返す方は、ご相談ください。尿酸値やこれまでの症状、持病に合わせて、生活習慣の見直しと治療を一緒に考えます。
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