血糖値を24時間測るCGMとは?リブレ・費用も解説
最終更新日:2026年9月9日
健康診断や診察で測る血糖値は、その時点の値です。
しかし、血糖値は1日の中でずっと同じではありません。食事をすると上がり、運動や薬の影響で下がり、睡眠中にも変化しています。朝の空腹時血糖はそれほど高くなくても食後だけ大きく上がっていたり、糖尿病治療中の方では寝ている間に低血糖が起きていたりすることもあります。
こうした1日のグルコース値の動きを継続して確認できるのがCGM(持続グルコースモニタリング)です。
腕などに小さなセンサーをつけ、スマートフォンなどでグルコース値の変化を確認できます。代表的な機器の一つが「FreeStyleリブレ2」です。
この記事では、CGMを使うと何が分かるのか、HbA1cとの違い、リブレとはどのような機器なのか、保険適用や費用まで分かりやすく解説します。
CGMとは?血糖を「点」ではなく「線」で見る
指先から血液を採って測る血糖測定では、測った瞬間の血糖値が分かります。
一方、CGMではセンサーを装着したまま生活し、グルコース値を継続して測定します。そのため、朝食後にどのくらい上がったか、夕方に下がりすぎていないか、夜中に低血糖が起きていないかといった1日の流れをグラフとして確認できます。
従来の血糖測定が「点」で見る方法なら、CGMは血糖の動きを「線」で見る方法と考えると分かりやすいでしょう。
なお、CGMが直接測っているのは血液中の血糖値そのものではありません。皮膚の下にある間質液中のグルコース濃度を測定しています。

CGMを使うと何が分かる?
CGMの大きなメリットは、診察室で1回採血しただけでは分からない血糖の変化を確認できることです。
食後にどのくらい上がっているか
空腹時血糖がそれほど高くなくても、食後だけ大きく上昇していることがあります。
CGMを使うと、朝食・昼食・夕食のあとにどの程度上がっているのか、どの時間帯に高くなりやすいのかが分かります。
夜間に血糖が下がっていないか
インスリン治療などを行っている方では、眠っている間に低血糖が起きていても本人が気づかないことがあります。
CGMでは夜間のグルコース値も記録されるため、夜間低血糖や気づきにくい低血糖を見つける手がかりになります。
食事や運動でどう変わるか
同じ人でも、食べるものや量、食後に体を動かしたかどうかによってグルコース値の動きは変わります。
「この食事では上がりやすかった」「食後に歩いた日は上がり方が穏やかだった」といった変化を自分のデータで確認できるため、生活習慣を見直すきっかけになります。
薬を変えた効果
糖尿病治療薬を開始したり、量を変更したりしたときにもCGMは役立ちます。
HbA1cが変化するまでには時間がかかりますが、CGMでは治療変更後のグルコース値の動きを比較的早い段階から確認できます。

HbA1cだけでは分からない血糖の動きがある
HbA1cは、過去1〜2か月程度の平均的な血糖状態を反映する、とても大切な検査です。
ただし、HbA1cだけでは「いつ高いのか」「いつ低いのか」までは分かりません。
例えば、同じHbA1c 7.0%でも、1日を通して比較的安定している人と、食後に大きく上がり、その後低くなる時間もある人では、1日の血糖パターンは大きく異なります。
CGMを組み合わせることで、HbA1cという「平均値」だけでは見えなかった血糖の動きを確認できるようになります。

FreeStyleリブレとは?CGMとの違い
「CGM」と「リブレ」は別のものだと思われることがありますが、FreeStyleリブレ2はCGMの一つです。
FreeStyleリブレ2は上腕にセンサーを装着して使用します。スマートフォンアプリを使うと、グルコース値の変化をリアルタイムで確認でき、高値や低値を知らせるアラート機能もあります。
日本ではリブレ2以外にも複数のCGMが使用されており、治療内容や生活スタイルに合わせて機器を選びます。
CGMはどんな人に役立つ?
CGMは、1日の血糖の動きを詳しく見ることが治療に役立つ方に向いています。
- インスリンを使っていて低血糖が心配
- 血糖値の変動が大きい
- HbA1cだけでは血糖の状態を十分に把握しにくい
- 食後にどのくらい上がっているか確認したい
- 薬を変更した後の効果を見たい
- 食事や運動でどのくらい変わるか知りたい
継続して使う場合もあれば、治療変更や生活習慣の見直しのために短期間使う場合もあります。
ただし、CGMが役立つ人と、保険診療でCGMを使える人は同じではありません。保険適用は原則インスリン製剤の自己注射を1日1回以上行っている方が対象となります。

CGMのデータはどう見る?
CGMでは、平均グルコース値だけでなく、1日のうちどのくらいの時間を目標範囲内で過ごしているかも確認します。
代表的な指標がTIR(Time in Range)です。
多くの糖尿病患者さんでは、70〜180mg/dLの範囲に入っていた時間の割合をTIRとして見ます。高すぎる時間や低すぎる時間も合わせて確認し、治療が安全にうまくいっているかを判断します。
CGMのグラフを完全に平らにすることが目標ではありません。高すぎる時間や低すぎる時間を減らしながら、無理なく安全に血糖管理を続けることが大切です。
CGMは痛い?お風呂や運動はできる?

CGMのセンサーは専用の器具を使って皮膚に装着します。
装着するときに針を使いますが、装着後に皮下に残るのは細いセンサーフィラメントです。採血用の針がずっと刺さっているわけではありません。
一度装着すれば、基本的には睡眠中もそのまま使用します。機器ごとに定められた条件の範囲内で、装着したままシャワーや入浴、運動ができる製品もあります。
防水性能や装着できる期間などは機種によって異なるため、実際に使用する機器の説明を確認してください。
CGMの数字と実際の血糖値が違うことがある
CGMを使ううえで知っておきたいのが、CGMに表示される値と、指先から採血して測った血糖値が完全には一致しないことがあるという点です。
CGMは血液そのものではなく、皮下の間質液中のグルコース濃度を測っています。そのため、食後や運動中など血糖が急に上がったり下がったりしているときには、指先で測る血糖値と差が出やすくなります。
CGMの数字と低血糖症状が合わない場合や、表示された値がいつもと明らかに違う場合には、必要に応じて指先から血糖値を測って確認します。
CGMの数字だけを絶対視しないことも、安全に使うためには大切です。
CGMの数字に振り回されないことも大切
CGMは便利ですが、センサー装着部がかぶれたり、運動や汗、衣服との接触などでセンサーが外れてしまったりすることがあります。
もう一つ注意したいのが、数字を気にしすぎてしまうことです。
食事をすればグルコース値はある程度上昇します。食後に上がること自体が異常というわけではありません。
「少しでも上がったら悪い」「グラフをできるだけ平らにしなければならない」と考える必要はありません。
CGMは数字を競うための機器ではなく、自分の血糖パターンを理解して、よりよい治療や生活につなげるための道具と考えるのがいいでしょう。
CGMは保険で使える?費用は?
CGMは、糖尿病があれば誰でも保険で使用できるわけではありません。
日本では現在、インスリンを1日1回以上自己注射している外来患者さんなど、一定の条件を満たす場合に保険診療でCGMを使用できます。
3割負担の方では、CGMに関する部分の自己負担は月3,000〜4,000円程度が一つの目安です。ただし、実際の窓口負担には診察料や検査料、薬剤費などが別にかかります。
保険の条件に当てはまらなくても使える場合がある
保険の条件に当てはまらない方でも、一定の条件を満たした医療機関では、自費を組み合わせてCGMを利用できる場合があります。
また製品によっては一般流通で購入できるものもあります。ただし、CGMの数値だけを見て糖尿病や「血糖スパイク」を自己診断することはできません。使用目的やデータの見方に迷う場合は、医療機関で相談してください。
例えば、食事や運動によるグルコース値の変化を確認したい場合、内服薬の効果を見たい場合、治療薬を変更した後の評価をしたい場合などに利用されることがあります。
費用や利用できる条件は医療機関によって異なるため、実際に使用を希望する場合は受診先で確認してください。
「血糖スパイクが気になるからCGMを使いたい」は?
「食後の血糖スパイクが気になるので、CGMを使ってみたい」という方もいると思います。
CGMを使えば、食後にグルコース値がどの程度上がっているかを見ることができます。
「血糖スパイク」は、一般に食後に血糖値が急上昇し、その後大きく下がるような血糖変動を指して使われる言葉です。ただし、明確な診断基準がある医学用語ではありません。
そのため、CGMのグラフだけを見て「血糖スパイクがある」「糖尿病だ」と判断することはできません。
糖尿病の診断は、空腹時血糖やHbA1cなどの採血結果を組み合わせて行います。
また、糖尿病ではない方でも食後にはグルコース値が上昇します。CGMの数値だけを見て自己判断するのではなく、健診で血糖異常を指摘された場合や糖尿病が心配な場合には、まず通常の検査を受けることをおすすめします。
CGMは「つけること」より「どう生かすか」が大切
CGMのメリットは、血糖値をたくさん測れることだけではありません。
大切なのは、「なぜ朝食後に上がっているのか」「寝ている間に低血糖が起きていないか」「食事や運動を変えるとどうなったか」「薬を変更して血糖パターンが改善したか」といったことを、CGMのデータと実際の生活や治療内容を照らし合わせて考えることです。
例えば当院ではこんなケースがありました。
食事内容に気を付けているつもりなのに、なかなかHbA1cが下がらなかったAさん。自費で一度リブレを使用したところ、普段食べていたおやつのブドウパンの後に、思っていた以上にグルコース値が上がっていることが分かりました。そこで間食を見直したところ、その後HbA1cも改善しました。Aさんからは「リブレをやってみなかったら分からなかった。やってみてよかった」と言われました。
これはあくまで1例ですが、CGMは装着すること自体が目的ではありません。得られたデータを、その後の治療にどう生かすかが最も大切です。
当院でも、CGMを使用する場合には単にグラフを見るだけではなく、食事、運動、薬の内容と合わせて評価し、今後の治療に役立てることを重視しています。
まとめ
CGMを使うと、これまで「点」でしか分からなかった血糖を、1日の「線」として見ることができます。
食後の上昇や夜間の低血糖、食事・運動・薬による変化など、HbA1cだけでは分からない情報を得られることが大きな特徴です。
一方で、CGMは誰にでも必要な機器ではなく、保険適用にも条件があります。
CGMが自分に合うのか、保険で使用できるのか気になる方は、糖尿病内科でご相談ください。
参考文献・参考資料
- 日本糖尿病学会「持続グルコースモニタリングデバイス適正使用指針(2026年4月1日改訂)」
- 日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」第22章 トピックス
- 利根淳仁「CGMを用いた血糖管理の展望」日本内科学会雑誌 2025;114(3):485-490.
- American Diabetes Association. Standards of Care in Diabetes—2026. Section 7. Diabetes Technology.
- Centers for Disease Control and Prevention. Continuous Glucose Monitors.
- 日本糖尿病学会「間歇スキャン式持続血糖測定器に係る選定療養の運用について」
この記事の執筆・監修者

乾 恵輔(いぬい けいすけ) 乾小児科内科医院 院長
【保有資格】
- 日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医
- 日本循環器学会認定 循環器専門医
- 日本内科学会認定 総合内科専門医
院長よりメッセージ: CGMは、ご自身の血糖の動きを「見える化」できる心強い道具です。HbA1cだけでは分からなかった変化に気づけることも多いので、興味のある方はお気軽にご相談ください。
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血糖値の変動が気になる方、CGM(リブレ)が自分に合うか知りたい方、インスリン治療中で低血糖が心配な方は、当院にご相談ください。糖尿病専門医が、食事・運動・お薬の内容とあわせて血糖パターンを一緒に確認します。
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