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【循環器専門医が解説】危険な不整脈とは?突然死・失神・脳梗塞につながるタイプ

2026/09/22
「危険な不整脈とは?突然死・失神・脳梗塞に注意」というタイトルを示すアイキャッチ画像。心臓と心電図を中心に、心停止・失神・脳梗塞の3つのリスクを表すアイコンと、心電図を確認する循環器医のイラスト

「不整脈があると言われたけれど、命に関わるものなのか心配」

「ときどき脈が飛ぶ。このまま放っておいて大丈夫?」

不整脈には、健康な人にもみられる心配の少ないものがある一方、突然死や失神、脳梗塞、心不全につながるものもあります。

ただし、脈が速いか遅いか、症状が強いかどうかだけで、不整脈の危険性は判断できません。不整脈の種類、伴っている症状、もともとの心臓病の有無などを組み合わせて評価することが大切です。

この記事では、どのような不整脈に注意が必要なのか、受診を考えたい症状や背景とともに、循環器専門医が分かりやすく解説します。

不整脈の症状・原因・検査・治療について全体像を知りたい方は、「【循環器専門医が解説】不整脈とは?症状・原因・検査・治療と受診の目安」をご覧ください。

目次(押すと目次が出ます)

1. 不整脈の危険度は何で決まる?

不整脈の危険度を判断する3つの要素(不整脈の種類、伴っている症状、心臓病などの背景)から総合的に危険度を評価することを示す図。心拍数だけでは判断できないことを補足

不整脈の危険度は、心拍数だけでは決まりません。主に次の3つを組み合わせて判断します。

不整脈の種類

期外収縮のように健康な人にもみられる不整脈がある一方、心室頻拍や心室細動、高度房室ブロックなど、緊急の治療が必要になる不整脈もあります。

伴っている症状

同じ不整脈でも、失神、胸痛、息苦しさ、冷や汗などを伴う場合は注意が必要です。症状は、不整脈によって心臓から十分な血液を送り出せていない可能性を判断する手がかりになります。

心臓病や全身の病気の有無

心筋梗塞、心不全、心筋症などがある方では、不整脈の危険度が高くなることがあります。また、電解質異常や甲状腺機能異常、服用している薬などが不整脈に影響する場合もあります。

つまり、「心拍数が○回だから危険」「症状が軽いから大丈夫」と単純には判断できないということです。

危険な不整脈がもたらす3つのリスク(心停止・突然死につながる心室頻拍・心室細動、失神・転倒につながる重い徐脈・極端な頻脈、脳梗塞・心不全につながる心房細動・長く続く頻脈)を示す図

2. 心停止・突然死につながる不整脈

心室頻拍

心室頻拍は、全身へ血液を送り出す「心室」から発生する速い不整脈です。

心拍が速すぎると、心臓に血液が十分にたまる前に次の収縮が起こり、全身へ送り出せる血液が減ってしまいます。動悸だけでなく、血圧低下、冷や汗、めまい、失神などを起こすことがあります。

短時間で自然に治まる場合もありますが、持続すると心室細動に移行することがあります。特に、心筋梗塞や心筋症、心不全などがある方では注意が必要です。

心室細動

心室細動は、心室が細かく震えるだけになり、全身へ血液を送り出せなくなる不整脈です。意識を失い、心停止に至るため、直ちに治療が必要です。

心室細動や心室頻拍は、心筋梗塞、心筋症、心機能の低下などを背景に起こることがあります。一方、心臓の形や動きに大きな異常がなくても、QT延長症候群やBrugada(ブルガダ)症候群など心臓の電気的な異常が原因になることもあります。

目の前で人が突然倒れて反応がない場合は、すぐに救急車を呼び、胸骨圧迫とAEDによる処置を行うことが救命につながります。手順は日本循環器学会の「コール&プッシュ」で確認できます。

3. 失神や転倒につながる不整脈

失神とは、一時的に脳への血流が低下し、突然意識を失って姿勢を保てなくなる状態です。

失神の原因には、血管迷走神経反射や起立性低血圧などもあり、すべての失神が不整脈によるものではありません。しかし、極端な徐脈や頻脈による「心原性失神」が隠れている場合があるため、原因を確認することが大切です。

重い徐脈性不整脈

危険なのは速い不整脈だけではありません。

高度房室ブロックや洞不全症候群などによって脈が極端に遅くなったり、洞停止などで心拍が長く途切れたりすると、脳へ十分な血液が届かず、めまいや失神を起こすことがあります。

症状を伴う重い徐脈性不整脈では、ペースメーカーによる治療が必要になることがあります。

心臓が原因の失神を疑うサイン

特に、次のような失神では心臓が原因となっている可能性を考えます。

  • 運動中に意識を失った
  • 横になっているときに突然意識を失った
  • 動悸や胸の痛みに続いて意識を失った
  • 前触れなく突然意識を失った
  • 心筋梗塞、心不全、心筋症などがある
  • 家族に若くして突然死した人がいる
  • 心電図異常を指摘されている
心臓が原因の失神を疑うサイン(運動中に起こった、横になっているときに起こった、前触れなく突然起こった、心臓病や突然死の家族歴がある)を示す図。症状が治まっていても早めの相談を促す

失神は転倒やけがにもつながります。一度でも原因不明の失神があった場合、特に上記に当てはまる方は、症状が治まっていても医療機関で原因を確認しましょう。

4. 脳梗塞・心不全につながる不整脈

心房細動

心房細動は、心房が細かく震え、脈が不規則になる不整脈です。通常は心室細動のように直ちに心停止を起こす不整脈ではありませんが、脳梗塞や心不全につながる可能性があるため、症状が軽くても放置しないことが大切です。

心房細動では心房の中に血液がよどみ、血栓ができやすくなります。その血栓が脳の血管に詰まると、脳梗塞を起こします。

脳梗塞の危険性は、年齢、高血圧、糖尿病、心不全、脳梗塞の既往などによって異なります。必要に応じて、脈の速さやリズムを調整する治療に加え、脳梗塞を防ぐ抗凝固薬を使用します。

心房細動は自覚症状がないまま見つかることもあります。健康診断で不整脈を指摘された場合、家庭用血圧計で「不規則脈」が繰り返し表示された場合、スマートウォッチで「心房細動の可能性」を通知された場合は、一度心電図で確認しましょう。

長く続く頻脈

脈が速い状態が長く続くと、心臓に負担がかかって収縮する力が低下し、心不全を起こすことがあります。これを頻脈誘発性心筋症と呼びます。

動悸が強くなくても、以前より息切れしやすい、足がむくむ、横になると息苦しいといった症状がある場合は、心不全を起こしていないか確認が必要です。

非常に多い心室性期外収縮

期外収縮は健康な人にもみられ、多くは治療を必要としません。ただし、心室性期外収縮が非常に多い状態が続くと、一部の方では心臓の収縮力が低下することがあります。

危険性は自覚症状の強さだけでは分かりません。通常の心電図に加え、ホルター心電図で1日を通した回数を調べ、心臓超音波検査で心機能を確認します。

5. このような症状や背景があれば一度相談を

失神や失神しそうな感覚、胸痛、息苦しさ、冷や汗を伴う不整脈は、心臓から十分な血液を送り出せていないサインかもしれません。安静にしても治まらない激しい動悸や、運動中に起こる動悸・胸痛・めまいにも注意が必要です。

一方、脈が一瞬飛ぶだけで、胸痛、息苦しさ、めまいなどを伴わない場合は、期外収縮など直ちに危険とは限らない不整脈であることも少なくありません。ただし、症状だけで不整脈の種類を確定することはできないため、繰り返す場合や以前より頻度が増えている場合は、心電図で確認しましょう。

不整脈そのものだけでなく、背景にある心臓病や家族歴も重要です。次に当てはまる方は、症状が軽くても一度相談してください。

  • 心筋梗塞や狭心症になったことがある
  • 心不全、心筋症、心臓弁膜症がある
  • 心臓の収縮力が低下していると言われている
  • 先天性心疾患や心臓手術の既往がある
  • 健康診断で心電図異常を指摘されている
  • 家族に若年突然死や遺伝性不整脈の人がいる
  • 利尿薬などを服用しており、電解質異常を指摘されたことがある
  • 不整脈に影響する可能性のある薬を服用している

薬が原因と思っても、自己判断で中止しないでください。処方薬だけでなく、市販薬やサプリメントも含め、服用しているものを医師へ伝えましょう。

6. 不整脈の危険度を調べる検査

危険度を調べるときは、「不整脈の種類」と「背景に心臓病がないか」の両方を確認します。

心電図

不整脈の種類、脈の速さ、心臓の電気信号の異常を確認します。ただし、通常の心電図は短時間の記録なので、発作が出ていないと異常が記録されないことがあります。

ホルター心電図・長時間心電図

日常生活中の心電図を長時間記録し、症状があるときの心電図や、不整脈の回数を確認します。症状の頻度に応じて、24時間や数日間の検査を選びます。

当院では、従来の24時間記録タイプのホルター心電図と併せて、最長7日間記録できるホルター心電図「Liz」を導入しています。詳しくは「24時間では見つからない不整脈も。7日間ホルター心電図『Liz』を導入しました」をご覧ください。

心臓超音波検査

心臓の動きや大きさ、弁の状態などを確認し、不整脈の背景となっている心不全、心筋症、弁膜症などがないかを調べます。同じ不整脈でも、心機能が低下している場合は危険度や治療方針が変わる場合があります。

血液検査

電解質、甲状腺機能、貧血、腎機能など、不整脈の原因や治療に関係する異常がないか確認します。

失神の頻度が低く、通常の検査で原因が分からない場合には、より長期間記録できる心電計や、専門病院での詳しい検査を検討することもあります。

検査方法全般については、「不整脈とは?症状・原因・検査・治療と受診の目安」もあわせてご覧ください。

7. まとめ

不整脈の危険度は、単に脈が速いか遅いかだけでは判断できません。

心室頻拍や心室細動は心停止や突然死、高度房室ブロックなどの重い徐脈は失神、心房細動は脳梗塞や心不全につながることがあります。また、長く続く頻脈や非常に多い心室性期外収縮によって、心臓の収縮力が低下する場合もあります。

一方で、不整脈の多くは直ちに命へ関わるものではありません。重要なのは、不整脈の種類だけでなく、伴っている症状、心臓病の有無、家族歴などを含めて判断することです。特に、失神したことがある方、運動中に症状が出る方、心臓病を指摘されている方は、症状が治まっていても一度ご相談ください。

参考資料

※本記事は一般的な医学情報の提供を目的としています。個別の診断や治療については、医療機関へご相談ください。


この記事の執筆・監修者

高崎市の乾小児科内科医院 院長 乾恵輔

乾 恵輔(いぬい けいすけ) 乾小児科内科医院 院長

【保有資格】

  • 日本循環器学会認定 循環器専門医
  • 日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医
  • 日本内科学会認定 総合内科専門医

院長よりメッセージ: 不整脈には心配の少ないものも多い一方、失神や脳梗塞、心不全につながるものもあります。危険性は心拍数だけでは判断できません。症状を繰り返す方や、心臓病を指摘されている方は、一人で判断せずご相談ください。


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