CPAPの保険適用基準が2026年6月から変更|簡易検査30・精密検査15が新たな目安に
睡眠時無呼吸症候群の代表的な治療であるCPAP(シーパップ)は、これまで検査の数値が基準にわずかに届かず、保険診療で始められないことがありました。
2026年6月の診療報酬改定により、CPAPを保険診療で始める際のAHI(無呼吸低呼吸指数)の基準が引き下げられました。簡易検査では40以上から30以上へ、精密検査(PSG)では20以上から15以上へ変更されています。
この記事では、新しくなったCPAPの保険適用基準と、当院で受けられる検査の流れをわかりやすく解説します。
2026年6月からCPAPの基準はどう変わった?
CPAPを保険診療で導入する際のAHIの目安は、次のように変更されました。
| 検査方法 | 2026年5月まで | 2026年6月以降 |
|---|---|---|
| 簡易検査 | AHI 40以上 | AHI 30以上 |
| 精密検査(PSG) | AHI 20以上 | AHI 15以上 |
これまで簡易検査では、1時間あたり40回以上の無呼吸・低呼吸がなければ、その結果から直接CPAPを始めることができませんでした。現在は基準が30以上に引き下げられ、保険診療でCPAPを始められる方の範囲が広がっています。
また、精密検査(PSG)の基準も20以上から15以上へ引き下げられました。簡易検査では30未満だった方でも、症状などから睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合には、精密検査を受けることでCPAPの対象になる可能性があります。
なお、これらはあくまでAHIの目安です。実際の保険適用は、眠気などの症状や日常生活への支障、検査所見を含めて判断します。
過去の検査で「CPAPの基準に届かない」と言われた方も、当時の検査結果や現在の症状を確認したうえで、あらためて治療について相談できる場合があります。

AHIとは?
AHIは「無呼吸低呼吸指数」のことで、睡眠1時間あたりに無呼吸または低呼吸が何回起きたかを示す数値です。数値が高いほど、睡眠中に呼吸が繰り返し妨げられていることを意味します。
成人では一般に、次のように重症度を分類します。
| AHI | 重症度 |
|---|---|
| 5未満 | 正常範囲 |
| 5以上15未満 | 軽症 |
| 15以上30未満 | 中等症 |
| 30以上 | 重症 |
小児では成人と異なる基準で評価するため、お子さんの検査結果については個別にご説明します。
CPAPはどのような治療?
CPAPは、睡眠中に鼻や口にマスクを装着し、機械から空気を送り込むことで気道がふさがるのを防ぐ治療です。中等症から重症の閉塞性睡眠時無呼吸症候群に対する標準的な治療として広く行われています。
適切に使用することで、無呼吸やいびきが減り、日中の眠気、起床時のだるさ、集中力の低下などが改善することがあります。
CPAPは、睡眠時無呼吸症候群そのものを完全に治す治療ではありません。装着している間に気道を保つ治療であるため、効果を維持するには継続して使用することが大切です。治療中は使用時間や無呼吸の状態を確認し、マスクの種類や空気圧などを調整します。
簡易検査と精密検査の違い
まずは自宅で簡易検査
睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合は、多くの方が自宅で行う簡易検査から始めます。
小型の機器を指や鼻などに装着し、普段と同じように1〜2晩眠っていただきます。主に呼吸の状態、血液中の酸素濃度、脈拍などを記録します。痛みはなく、入院の必要もありません。
簡易検査でAHIが30以上となり、日中の強い眠気など日常生活に影響する症状がある場合は、CPAPを保険診療で始められる可能性があります。
必要に応じて精密検査(PSG)へ
簡易検査でAHIが30未満でも、睡眠時無呼吸症候群が否定されたわけではありません。症状が強い方や、無呼吸が疑われるのに簡易検査の数値が高くなかった方には、精密検査(PSG)をご案内することがあります。
精密検査では、呼吸や酸素濃度に加えて、脳波などから睡眠の深さや睡眠が途中で分断されていないかを詳しく調べます。当院では、ご自宅で受けられる精密検査をご案内しています。入院での検査をご希望の場合や、病状から入院検査が適している場合は、連携医療機関へご紹介します。
精密検査では、AHIの基準が15以上に引き下げられたことで、これまでより早い段階からCPAPを検討できるようになりました。AHIが15以上30未満の場合は、症状や睡眠の状態も合わせて治療方針を決めます。
こんな症状がある方は検査をご検討ください
睡眠時無呼吸症候群は、眠っている間に起こるため、自分では気づきにくい病気です。次のような症状や特徴がある方は、一度検査を受けることをおすすめします。
- 家族や同居人から、いびきや呼吸の停止を指摘された
- 十分に寝ているはずなのに、日中に強い眠気がある
- 朝起きたときに頭痛や口の渇きがある
- 夜中に何度も目が覚める
- 肥満傾向がある
- 高血圧の治療をしているが、血圧がなかなか下がらない
肥満ではない方でも、あごの形や扁桃の大きさ、加齢などによって睡眠時無呼吸症候群になることがあります。「太っていないから大丈夫」とは限りません。
また、運転中や仕事中に眠ってしまいそうになるほど強い眠気がある場合は、事故につながる危険があります。運転を控え、早めに医療機関へご相談ください。
睡眠時無呼吸症候群の症状やなりやすい人については、「睡眠時無呼吸症候群を疑う症状は?なりやすい人・検査の目安を医師が解説」でも詳しく解説しています。
当院での検査の流れ
- 外来を受診し、いびきや眠気などの症状を確認します
- 検査機器を宅配便でご自宅またはご希望の場所へ発送します
- 自宅で1〜2晩検査し、終了後に検査センターへ郵送で返却します
- 検査センターで解析後、外来で結果をご説明します
- 結果と症状に応じて、CPAP、精密検査、マウスピースなどをご相談します
検査機器が検査センターに到着してから3〜5日程度で検査結果報告書が当院に届きます。その後、外来で結果と今後の治療方針をご説明します。

CPAP以外の治療を選ぶこともあります
睡眠時無呼吸症候群の治療は、CPAPだけではありません。無呼吸の重症度、原因、体格、年齢、生活への影響などによって適した治療が異なります。
軽症から中等症では、歯科で作製するマウスピースが適していることがあります。扁桃肥大や鼻・のどの構造に問題がある場合は、耳鼻咽喉科での治療をご提案することもあります。肥満が関係している方では、減量も重要な治療のひとつです。
検査結果をもとに、それぞれの患者さんに合った治療方法をご提案します。
まとめ
2026年6月から、CPAPを保険診療で始める際のAHIの基準は、簡易検査で40以上から30以上へ、精密検査で20以上から15以上へ引き下げられました。
これまで「基準に少し届かない」と言われた方でも、現在はCPAP治療を検討できる可能性があります。実際の治療は、検査結果と症状を確認したうえで判断します。
いびきや睡眠中の呼吸停止を指摘された方、十分に寝ても眠気や疲れが残る方は、一度ご相談ください。簡易検査はご自宅で受けられます。
参考資料
この記事の執筆・監修者

乾 恵輔(いぬい けいすけ) 乾小児科内科医院 院長
【保有資格】
- 日本循環器学会認定 循環器専門医
- 日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医
- 日本内科学会認定 総合内科専門医
院長よりメッセージ: 当院では、睡眠時無呼吸症候群の検査とCPAP治療を行っています。睡眠時無呼吸症候群は自覚しにくく、「たかがいびき」と思っている方の中にも治療が必要な方がいます。今回の基準変更で、より多くの方が治療を検討できるようになりました。気になる症状がある方は、お気軽にご相談ください。
【睡眠時無呼吸症候群(SAS)外来のご案内】
いびきや呼吸停止を指摘された方、過去の検査でCPAPの基準に届かないと言われた方は、当院にご相談ください。自宅でできる簡易検査から、必要に応じた精密検査(PSG)まで対応しています。
受診をご希望の方は、WEB初診予約をご利用いただくとスムーズです。受診について事前に確認したいことがある場合は、お電話でもお問い合わせいただけます。



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