子どもの喘息とは?症状・診断・治療を小児科医が解説
「風邪をひくたびにゼーゼーする」「夜になると咳が止まらない」。お子さんの呼吸が気になると、喘息ではないかと心配になると思います。ただ、子ども、特に乳幼児は、風邪などでもゼーゼーしやすく、一度の症状だけで喘息と決めることはできません。
風邪のたびにゼーゼーする、夜間の咳を繰り返すといった場合は、小児科で経過をご相談ください。診察では症状を繰り返す様子や、症状のないときの状態を確認し、年齢に合った方法で診断と治療を進めます。
この記事では、乳幼児から中高生までのお子さんについて、保護者の方が知っておきたい症状や治療の基本を説明します。大人の喘息については、別記事「気管支喘息とは?症状・検査・治療を医師が解説」をご覧ください。
目次(押すと目次が出ます)
子どもの喘息とは
喘息は、空気の通り道である気管支に炎症が起こり、刺激に敏感になっている状態です。風邪、ほこり、冷たい空気、運動などをきっかけに気管支が狭くなると、咳やゼーゼーという音、息苦しさが現れます。調子のよい日には、見た目だけでは分からないこともあります。
治療の目標は、夜に咳で起きず、園や学校での生活や遊び、運動を楽しめること、そして症状の悪化を減らすことです。症状の頻度や年齢に合わせた治療で、普段どおりに過ごせる状態を目指します。
どんな症状が出る?
子どもの喘息でよくみられるのは、息を吐くときの「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という音(喘鳴)、繰り返す咳、息苦しさです。夜や明け方に咳き込む、運動するとゼーゼーする、風邪の後に咳が長引く、といった経過も手がかりになります。小さなお子さんでは、咳き込んで吐いてしまうこともあります。
ただし、咳だけ、ゼーゼーだけで喘息と決まるわけではありません。診察では「いつから」「何回くらい」「風邪のない日にも出るか」「夜中に起きるか」を詳しく伺います。症状があるときの呼吸の様子を短い動画に残しておくと、診察時の参考になる場合があります。
風邪のゼーゼーとどう見分ける?
乳幼児は気道が細く、風邪などの感染をきっかけにゼーゼーしても、成長につれて症状がなくなることがあります。一方、ゼーゼーを繰り返す、風邪が治っても咳が続く、風邪をひいていないときにも運動や冷気で症状が出る場合には、喘息を考えます。

乳幼児では、大人のように息を強く吐く呼吸機能検査を行うのが難しいため、症状の経過、診察所見、気管支を広げる薬への反応などを合わせて判断します。必要に応じて一定期間治療し、その後の変化を確認することもあります。治療への反応だけを見て終わりにせず、経過を追って診断を見直すことが大切です。
鼻炎やアトピー性皮膚炎、家族の喘息なども参考になりますが、これらがあるだけで喘息と診断するわけではありません。
年齢によって異なる検査
呼吸機能検査
息を大きく吸って勢いよく吐く検査で、気道の狭さや、気管支を広げる薬による変化を調べます。説明に合わせて検査できる学童期のお子さんでは、診断や治療の評価に役立ちます。乳幼児では呼吸機能検査が難しく、症状の経過や診察を中心に判断します。
呼気NO検査など
吐いた息に含まれる一酸化窒素(FeNO)を測ると、気道の炎症を推測する手がかりになります。検査を行えるかどうかは年齢や協力できる程度によります。また、高い数値だけで喘息を確定したり、低い数値だけで否定したりはできません。必要に応じてアレルギーの検査や、ほかの病気を調べる検査を組み合わせます。
子どもの喘息の治療
治療には、症状が出たときに使う薬と、症状の繰り返しや悪化を防ぐための治療があります。薬の選び方や使い方は年齢によって異なり、同じ年齢でも症状の頻度やこれまでの悪化の程度に合わせて調整します。中高生では、成人に近い治療法を選ぶ場合もあります。

症状が出たとき
症状が出たときに使うよう処方された吸入薬を、説明された方法で使います。吸入後の症状の変化や、その後どのくらいの頻度で薬が必要になったかを、診察時に伝えてください。薬を使う日が増えたり、夜間の症状が続いたりするときは、治療を見直す手がかりになります。
繰り返す症状を抑えるとき
繰り返す症状や悪化を防ぐ治療では、気道の炎症を抑える吸入ステロイド薬が中心です。年齢や症状に応じて、ロイコトリエン受容体拮抗薬(飲み薬)や、ほかの薬との配合剤なども検討します。毎日使う薬か、症状が出たときに使う薬かは処方によって異なるため、それぞれの使い方を確認しましょう。
薬の種類だけでなく、お子さんが正しく吸える方法を選ぶことが大切です。年齢に応じて吸入補助具(スペーサー)などを使い、診察時に実際の吸入方法を確認します。症状が落ち着いた後の減量や中止も、経過をみながら相談して決めます。
家庭で気をつけたいこと
症状が出た日、夜間の咳、運動中の様子、症状が出たときの吸入回数を記録しておくと、治療が合っているか判断しやすくなります。園や学校で症状が出るお子さんは、薬の使い方や対応を保護者と学校で共有しておくと安心です。
治療中の喘息がどのくらい落ち着いているかを確認するため、喘息コントロールテスト(ACT)などの質問票を使うこともあります。日本小児アレルギー学会のJPGL2023 Web版には、4~11歳で本人と保護者が答えるC-ACT、12歳以上で本人が答えるACT、6歳未満で保護者が答えるBest ACT-Pなどが掲載されています。これらは喘息を診断する検査ではなく、治療の経過を確認する手がかりになります。
家庭内ではたばこの煙を避けましょう。ダニなどのアレルゲンが関係する場合は、寝具や寝室の掃除など、続けられる対策から取り組みます。鼻炎がある場合は、その治療も喘息の管理に役立ちます。
よくある質問
吸入薬は症状がない日も使いますか?
薬によって使い方が異なります。毎日続けるよう処方された薬は、症状がない日も使います。症状が出たときに使う薬は、指示された場面で使います。調子がよいからと自己判断で中止せず、使い方に迷ったら診察時に確認してください。
喘息があると運動を控えた方がよいですか?
治療の目標は、運動や遊びを含めて普段どおりに生活できることです。運動のたびに咳やゼーゼーが出る場合は、運動を一律にやめる前に、現在の治療で十分に症状を抑えられているか確認しましょう。運動前の準備や体育・部活動での対応は、別記事「運動すると咳・息苦しさが出る?運動誘発喘息の症状と予防法」で詳しく説明しています。
成長すると治りますか?
成長とともに症状が落ち着くお子さんはいます。一方で、大人になっても続く場合や、いったん落ち着いた後に再び症状が出る場合もあります。今の症状をきちんと管理しながら、成長に合わせて治療を見直します。
参考文献
- 日本小児アレルギー学会「小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2023」と補足資料・図表のWeb版
- 日本アレルギー学会「アレルギーの手引き2026」第2章「小児の喘息」
- Global Initiative for Asthma (GINA). Summary Guide for Asthma Management and Prevention 2026(主に6~11歳の節を参照)
- GINA. Global Strategy for Asthma Management and Prevention 2026(5歳以下の章を参照)
※この記事は2026年9月時点の情報をもとに作成しています。
この記事の監修者

乾 宏行(いぬい ひろゆき) 乾小児科内科医院 副院長
【保有資格】
- 日本小児科学会認定 小児科専門医
- 日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医
副院長よりメッセージ: お子さんの咳やゼーゼーは、風邪との見分けが難しく、保護者の方も判断に迷うことが多いと思います。繰り返す場合は、経過を一緒に確認しながら診断・治療を進めていきますので、気になることがあればご相談ください。
【小児科・アレルギー科のご案内】
お子さんの咳やゼーゼーが続く場合は、小児科・アレルギー科でご相談いただけます。咳が続く期間、夜間の様子、これまでに使った薬が分かるものをお持ちいただくと、診察の参考になります。
受診をご希望の方は、WEB事前受付をご利用いただくとスムーズです。当日、症状について確認したいことがある場合は、お電話でもお問い合わせいただけます。



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