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いびきがうるさい・息が止まるのは病気?睡眠時無呼吸症候群の受診目安と検査

2026/09/16
布団で大きないびきをかいて眠る男性のイラスト。いびきの音と無呼吸を表す吹き出し。睡眠時無呼吸症候群の受診目安と検査を紹介する記事

「いびきがうるさくて眠れない」「寝ている間に呼吸が止まっている」

家族やパートナーから、このように指摘されたことはありませんか。

いびきをかく人がすべて病気というわけではありません。しかし、毎晩のように大きないびきをかく、いびきの途中で呼吸が止まるといった場合は、睡眠時無呼吸症候群が隠れている可能性があります。

睡眠時無呼吸は、眠っている本人が気づきにくい病気です。「いつものいびき」と思っていたものが、日中の眠気や治りにくい高血圧の原因になっていることもあります。

この記事では、受診を考えたい症状、いびきが起こる仕組み、睡眠時無呼吸の検査と治療について解説します。

目次(押すと目次が出ます)

こんないびきや症状があれば受診を考えましょう

無呼吸を伴わない「単純ないびき」もあります。ただし、いびきの音だけで睡眠時無呼吸の有無を判断することはできません。

次のような症状がある場合は、一度検査を受けることをおすすめします。

  • ほぼ毎晩、大きないびきをかく
  • いびきの途中で呼吸が止まる
  • 呼吸が再開するときに、あえぐように大きく息をする
  • 十分に寝たはずなのに、日中に強い眠気がある
  • 朝起きても疲れが取れない、頭が痛い、口が渇いている
  • 夜中に何度も目が覚める、トイレに起きる
  • 高血圧の薬を飲んでいても、血圧がなかなか下がらない
大きないびきをかいて眠る男性と、隣で心配そうにしている家族のイラスト。呼吸が止まる・あえぐように息をする・日中に強い眠気という、睡眠時無呼吸症候群を疑う3つのサインを示した図

特に、家族から呼吸停止を指摘された方や、運転中・仕事中に眠ってしまいそうになるほど強い眠気がある方は、早めに医療機関へご相談ください。強い眠気がある間は、自動車の運転を控えましょう。

睡眠時無呼吸を疑う症状やなりやすい方については、「睡眠時無呼吸症候群を疑う症状は?なりやすい人・検査の目安を医師が解説」でも詳しく解説しています。

いびきはなぜ起こる?

鼻や口から入った空気は、のどの奥にある「上気道」を通って肺へ送られます。

眠ると、舌やのどの周囲の筋肉がゆるみます。さらに、あおむけになると舌がのどの奥へ下がり、空気の通り道が狭くなります。狭くなった部分を空気が通ると、その周囲の軟らかい組織が振動して、いびきが生じます。

正常な睡眠と睡眠時無呼吸の気道を左右で比較した断面イラスト。正常では気道が開いて空気がスムーズに通り、睡眠時無呼吸では舌がのどの奥へ下がって気道が狭くなる・ふさがる様子を示す

飲酒するといびきがひどくなることがあります。アルコールによってのどの筋肉がゆるみ、上気道が狭くなりやすいためです。鼻づまりによる口呼吸や、肥満による首・のど周囲への脂肪の蓄積も、いびきを悪化させます。

一方で、太っていない方でも睡眠時無呼吸になることがあります。あごが小さい、下あごが後ろにある、扁桃が大きいといった体の特徴によって、もともと上気道が狭い場合があるためです。

睡眠時無呼吸症候群とは

睡眠時無呼吸症候群は、眠っている間に呼吸が止まったり、浅くなったりする状態を繰り返す病気です。英語の頭文字からSAS(サス)とも呼ばれます。

成人のSASの多くは、舌やのどの周囲の組織によって上気道が狭くなる「閉塞性睡眠時無呼吸」です。

睡眠検査では、睡眠1時間あたりに無呼吸や低呼吸などが何回起きたかを示すAHI(無呼吸低呼吸指数)を用いて評価します。日中の眠気などの症状や、睡眠時無呼吸と関連する高血圧などの病気があり、閉塞性優位の無呼吸・低呼吸などが1時間に5回以上認められる場合、またはそれらがなくても1時間に15回以上認められる場合に、閉塞性睡眠時無呼吸と診断されます。

成人では、一般に次のように重症度を分類します。

AHI(1時間あたりの回数)重症度
5未満正常範囲
5以上15未満軽症
15以上30未満中等症
30以上重症

ただし、診断や治療方針はAHIの数字だけでなく、眠気などの症状、血液中の酸素の低下、持病、検査方法なども合わせて判断します。

睡眠時無呼吸は珍しい病気ではありません

日本呼吸器学会のガイドラインでは、中等症以上に相当する睡眠中の呼吸障害は、50歳代の男性では10〜20%程度、女性では10%弱にみられるとされています。強い眠気が現れない方もいるため、「昼間に眠くないから大丈夫」とは限りません。

睡眠時無呼吸が体に与える影響

無呼吸や低呼吸が繰り返されると、血液中の酸素が低下し、呼吸を再開するたびに睡眠が分断されます。本人が目覚めたと感じていなくても、脳や体は十分に休めません。

さらに、交感神経が繰り返し刺激され、血圧や心臓への負担が増えます。睡眠時無呼吸は、高血圧、心房細動、心不全、狭心症・心筋梗塞、脳卒中などの循環器疾患と深く関連しています。間欠的な低酸素や睡眠の分断は、インスリンの働きを低下させ、2型糖尿病とも関係します。

日中の眠気や集中力の低下によって、仕事上のミスや交通事故につながることもあります。いびきそのものよりも、その背景にある無呼吸を見逃さないことが重要です。

どのような検査をする?

睡眠時無呼吸が疑われる場合は、多くの方が自宅で行う簡易検査から始めます。必要に応じて、睡眠の状態を詳しく調べる精密検査へ進みます。

睡眠時無呼吸症候群の検査と治療の流れを4段階で示した図。①いびき・呼吸停止を相談、②自宅で簡易検査、③必要に応じて精密検査(PSG)、④結果に応じた治療(CPAP・マウスピース・生活習慣の改善など)

まずは自宅で簡易検査

簡易検査では、小型の機器を鼻や指などに装着して眠ります。主に、鼻の空気の流れ、呼吸の状態、血液中の酸素濃度、脈拍などを記録します。痛みはなく、普段と同じ自宅の環境で検査できます。

簡易検査では脳波を測定しないため、実際に眠っていた時間ではなく、機器を装着していた記録時間をもとに、AHIに相当するREI(呼吸イベント指数)を計算します。そのため、睡眠時無呼吸を実際より軽く見積もることがあります。

簡易検査の結果が軽くても、呼吸停止や強い眠気などが続く場合は、それだけで睡眠時無呼吸を否定することはできません。

必要に応じて精密検査

精密検査は、終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)と呼ばれます。呼吸や酸素濃度に加えて、脳波、眼球運動、筋肉の動きなどを記録し、実際の睡眠時間や睡眠の深さ、睡眠がどの程度分断されているかを詳しく評価します。

当院では、ご自宅で受けられる精密検査をご案内しています。入院での検査が適している場合は、連携医療機関へご紹介します。

睡眠時無呼吸症候群の治療

治療方法は、無呼吸の重症度、原因、体格、年齢、症状、持病などによって異なります。

CPAP療法

CPAP(シーパップ)は、睡眠中に鼻や口へマスクを装着し、機械から空気を送り込むことで上気道がふさがるのを防ぐ治療です。中等症から重症の閉塞性睡眠時無呼吸に対する標準的な治療です。

適切に使用すると、無呼吸やいびきが減り、日中の眠気、起床時のだるさ、集中力の低下などの改善が期待できます。

CPAPを保険診療で始める際の基準は、2026年6月に変更されています。詳しくは「CPAPの保険適用基準が2026年6月から変更|簡易検査30・精密検査15が新たな目安に」をご覧ください。

マウスピース

軽症から中等症の閉塞性睡眠時無呼吸では、下あごを少し前に出して上気道を広げるマウスピースが適していることがあります。睡眠時無呼吸の検査結果をもとに、連携する歯科で作製します。

生活習慣の改善や原因に応じた治療

肥満が関係している場合は、減量によって無呼吸が改善することがあります。あおむけで無呼吸が増える方には横向きで眠る体位療法、飲酒で悪化する方には就寝前の飲酒を控えることも有効です。

鼻づまり、扁桃肥大、あごやのどの構造が関係している場合は、耳鼻咽喉科や歯科と連携して治療を検討します。

子どものいびきにも注意が必要です

子どもが毎晩のようにいびきをかく、眠っている間に呼吸が止まる、苦しそうに呼吸するといった場合も、睡眠時無呼吸の可能性があります。

子どもでは、アデノイドや扁桃の肥大が主な原因となることがあります。寝起きが悪い、日中に落ち着きがない、集中できないといった形で現れることもあり、成人とは診断基準や治療方法が異なります。気になる症状がある場合は、小児科または耳鼻咽喉科へご相談ください。

いびきや呼吸停止を指摘されたらご相談ください

大きないびきが続く、いびきの途中で呼吸が止まる、日中の眠気や治りにくい高血圧がある場合は、睡眠時無呼吸が隠れている可能性があります。

当院では、自宅で行える簡易検査から、必要に応じた精密検査、CPAP治療、連携歯科でのマウスピース治療のご案内まで対応しています。ご家族からいびきや呼吸停止を指摘された方は、一度ご相談ください。

参考文献


この記事の執筆・監修者

高崎市の乾小児科内科医院 院長 乾恵輔

乾 恵輔(いぬい けいすけ) 乾小児科内科医院 院長

【保有資格】

  • 日本循環器学会認定 循環器専門医
  • 日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医
  • 日本内科学会認定 総合内科専門医

院長よりメッセージ: いびきや無呼吸は、ご本人よりもご家族が先に気づくことが多い症状です。睡眠時無呼吸は高血圧や心臓病とも関わりが深いので、指摘されたら一度検査を受けてみましょう。


【睡眠時無呼吸症候群(SAS)外来のご案内】 

いびきや呼吸停止をご家族に指摘された方、日中の眠気や治りにくい高血圧でお悩みの方は、当院のSAS外来へご相談ください。受診をご希望の方は、WEB事前受付をご利用いただくとスムーズです。診療内容について確認したいことがある場合は、お電話でもお問い合わせいただけます。

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