高尿酸血症・痛風ガイドライン2022年追補版|ユリス追加で何が変わった?
日本の「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン」は、2018年に第3版が発行され、2022年に追補版が追加されました。
「追補版では、何が変わったの?」
患者さんに関係する大きな変更点は、新しい尿酸排泄促進薬であるユリス(一般名:ドチヌラド)が加わり、尿酸を下げる薬の分類や説明が更新されたことです。
この記事では、第3版から追補版への変更点と、それによって痛風・高尿酸血症の治療がどう変わったのかを解説します。痛風・高尿酸血症そのものの特徴や治療の基本については、こちらの記事でまとめています。
この記事のポイント
・2022年追補版の主な変更点は、ユリス(ドチヌラド)の追加と尿酸排泄促進薬の分類の更新
・ユリスは「選択的尿酸再吸収阻害薬(SURI)」として新たに分類された
・ユリスの追加により、患者さんの状態に応じて選べる治療薬の選択肢が増えた
・尿酸値だけでなく、腎機能・肝機能・尿路結石の有無などを確認して薬を選ぶ
目次(押すと目次が出ます)
2022年追補版の変更点は?
結論からいうと、患者さんの治療に直接関係する主な変更点は次の2つです。
- ユリスが尿酸排泄促進薬に追加された
- 尿酸排泄促進薬が、選択性の違いによって詳しく分類された
改訂前後の違いを簡単にまとめると、次のようになります。
| 2018年の第3版 | 2022年追補版 | |
|---|---|---|
| ユリス(ドチヌラド) | 発売前のため記載なし | 選択的尿酸再吸収阻害薬として追加 |
| 尿酸排泄促進薬の説明 | 従来薬を中心に解説 | 選択的・非選択的という違いを含めて整理 |
なお、追補版が出たからといって、治療方針がすべて変わったわけではありません。今回の追補は、2018年以降に登場した新薬や新しい知見を、第3版へ追加するための更新です。

なぜ追補版が必要になったのか
ガイドライン第3版が発行されたのは2018年です。その後、2020年にユリスが発売されました。
当然ながら、2018年時点のガイドラインにはユリスの記載がありません。そこで、新しい薬を現在の治療の中でどのように位置づけるかを示すため、2022年追補版では薬物治療に関する説明が更新されました。
追補版の作成にあたっては、2020年に発表された米国リウマチ学会の痛風診療ガイドラインなど、国内外の新しい情報も検討されています。
まず知っておきたい、尿酸を下げる薬の2つのタイプ
今回の変更を理解するために、尿酸降下薬の基本的な分類を確認しておきましょう。
外来で主に使われる尿酸降下薬は、大きく2つに分けられます。
| 薬の種類 | 主な薬 | 働き |
|---|---|---|
| 尿酸生成抑制薬 | アロプリノール、フェブキソスタット、トピロキソスタット | 体内で尿酸が作られるのを抑える |
| 尿酸排泄促進薬 | ベンズブロマロン、ユリス(ドチヌラド)など | 腎臓から尿酸を排泄しやすくする |
これまでも、尿酸を「作りにくくする薬」と「尿へ出しやすくする薬」は使われていました。追補版で大きく更新されたのは、後者の尿酸排泄促進薬です。
最大の変更点は、ユリスの追加
腎臓では、血液からこし出された尿酸の一部が、尿細管から再び血液中へ戻されます。この再吸収に中心的な役割を持つのが、尿酸トランスポーターのURAT1です。
ユリスはURAT1を選択的に阻害し、尿酸が血液中へ戻るのを抑えます。その結果、尿酸が尿へ排泄されやすくなり、血液中の尿酸値が下がります。
このようにURAT1を選択的に阻害する薬は、選択的尿酸再吸収阻害薬(SURI)と呼ばれます。簡単にいうと、腎臓で尿酸を血液中へ戻す仕組みに狙いを絞って作用する薬です。2022年追補版では、ユリスがこの分類の薬として追加されました。
一方、従来から使われてきたベンズブロマロンやプロベネシドなどは、URAT1以外の尿酸トランスポーターにも作用するため、非選択的尿酸再吸収阻害薬に分類されます。
| 尿酸排泄促進薬の分類 | 主な薬 | 特徴 |
|---|---|---|
| 選択的尿酸再吸収阻害薬(SURI) | ユリス(ドチヌラド) | URAT1を選択的に阻害する |
| 非選択的尿酸再吸収阻害薬 | ベンズブロマロン、プロベネシドなど | URAT1以外のトランスポーターにも作用する |

ユリスの追加で、治療の選択肢はどう広がった?
ユリスが追加されたことで、尿酸排泄促進薬の選択肢が増えました。
高尿酸血症には、尿酸を体外へ十分に排泄できないタイプがあります。ユリスが加わったことで、このような患者さんを含め、状態に応じて尿酸排泄促進薬を選びやすくなりました。
一方で、新しい薬が追加されたからといって、全員がユリスへ変更するわけではありません。
薬を選ぶ際には、尿酸値だけでなく、腎機能、肝機能、尿路結石の有無、合併症、ほかに服用している薬、これまでの治療効果などを確認します。尿酸生成抑制薬が適している方もいれば、尿酸排泄促進薬が適している方もいます。
臨床上の変化は、「新薬が従来薬に置き換わった」というより、一人ひとりに合わせて選べる治療薬が増えたと考えるのが適切です。
ユリスを使うときの注意点
ユリスは新しい作用特性を持つ薬ですが、誰にでも同じように使えるわけではありません。
尿酸を尿へ排泄しやすくするため、尿路結石がある方では、原則としてほかの治療薬を検討します。腎機能が大きく低下している場合も、効果が得にくくなる可能性があるため、ほかの治療薬を含めて検討します。また、服用中は定期的に肝機能を確認します。
尿酸降下薬は少量から開始し、尿酸値や副作用を確認しながら調整するのが基本です。治療開始後に尿酸値が急に変化すると、一時的に痛風発作が起こることもあります。
すでに尿酸降下薬を服用している途中で発作が起きても、自己判断で中止したり、量を変えたりせず、処方した医師へ相談してください。
ユリスの効果、副作用、服用方法、フェブリクとの違いについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
まとめ
「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版」の2022年追補版では、ユリス(ドチヌラド)が選択的尿酸再吸収阻害薬として追加され、尿酸排泄促進薬の分類と説明が更新されました。
この改訂によって、従来の治療が否定されたわけではありません。患者さんの病型や腎機能、肝機能、尿路結石、併用薬などに応じて選べる治療薬が増えたことが、臨床上の大きな意味です。
尿酸値が高いと指摘された方、痛風発作を繰り返している方、現在の薬で尿酸値が十分に下がらない方はご相談ください。
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参考資料
- 日本痛風・尿酸核酸学会「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版[2022年追補版]」
- 日本痛風・尿酸核酸学会「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版」
- PMDA「ユリス錠(ドチヌラド)医療用医薬品情報」
※この記事は2026年9月時点の情報をもとに作成しています。
この記事の執筆・監修者

乾 恵輔(いぬい けいすけ) 乾小児科内科医院 院長
【保有資格】
- 日本内科学会認定 総合内科専門医
- 日本循環器学会認定 循環器専門医
- 日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医
院長よりメッセージ: 痛風・高尿酸血症の薬は年々選択肢が増えており、今までの薬で効果が不十分だった方にも新しい選択肢があります。尿酸値や発作の頻度に応じて、一人ひとりに合った治療をご提案しています。
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