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高血圧の人は夏も減塩が必要?熱中症対策との両立を解説

2026/10/06
高血圧の人は夏も減塩が必要?熱中症対策との両立を解説、というタイトルのアイキャッチ画像。120/78mmHgを示す血圧計、水を飲む男性、水筒と塩の容器のイラストを配置している

「高血圧なので減塩したいけれど、夏は熱中症予防のために塩分をとった方がよいのでしょうか」

暑い時期になると、このように迷う方も多いと思います。

結論からお伝えすると、高血圧の方は夏でも減塩を続けることが基本です。普段の生活では食事から十分な塩分をとっていることが多く、汗をかいたからといって、毎回スポーツ飲料や塩あめを追加する必要はありません。

ただし、長時間の屋外作業や運動で大量に汗をかいたときは、水分とともに電解質の補給が必要になることがあります。

大切なのは、普段の生活と大量に汗をかく状況を分けて考えることです。

高血圧の方は夏でも1日6g未満が目標です

日本高血圧学会は、高血圧の方の食塩摂取量を1日6g未満にすることを勧めています。この目標は夏も基本的に変わりません。

一方、令和6年の国民健康・栄養調査では、20歳以上の食塩摂取量は平均9.6gでした。高血圧の方の目標である6g未満とは、まだ大きな差があります。

食塩は、料理に加える塩だけに含まれているわけではありません。しょうゆや味噌、漬物、干物、加工肉、インスタント食品、総菜などにも多く含まれています。ラーメンやうどんは、汁をすべて飲むと食塩摂取量が大きく増えます。

夏だからといって普段の食事を塩辛くすると、知らないうちに塩分をとりすぎてしまいます。まずは年間を通して、無理なく減塩を続けることが大切です。

夏は血圧が下がりやすい傾向があります

一般に、血圧は冬に高く、夏に低くなる傾向があります。

暑い環境では体の熱を逃がすために皮膚の血管が広がります。また、発汗によって体内の水分が減ることもあり、血圧が下がりやすくなります。特に高齢の方では、季節による血圧の変化が大きくなることがあります。

ただし、夏に血圧が下がったからといって、高血圧が治ったわけではありません。気温が下がると、再び血圧が上がる可能性があります。寒い季節の血圧の変化と対策、薬を見直す目安については、別記事「寒くなると血圧が上がる?冬の高血圧対策と薬を見直す目安」で解説しています。

夏も家庭血圧の測定を続け、季節による変化を把握することが大切です。家庭血圧の測り方については、「家庭血圧はなぜ必要?正しい測り方・測る時間・記録のコツ」もご覧ください。

夏に血圧が下がりすぎるときは薬の調整が必要なこともあります

暑くなってから家庭血圧が明らかに低くなったり、立ちくらみやふらつきが続いたりする場合は、脱水や降圧薬の影響が考えられます。利尿薬などを服用している方は、体内の水分が減ったときに血圧が下がりやすくなることがあります。

この場合も、塩分を増やしたり薬を中止したりして自己調整するのではなく、家庭血圧の記録を持って主治医に相談してください。血圧の推移や症状、持病、服用している薬を確認したうえで、必要に応じて薬の量や種類を調整します。

普段の生活では水や無糖のお茶による水分補給が基本です

冷房の効いた室内で過ごしているときや、短時間の外出、軽い運動で汗をかいた程度であれば、水や無糖のお茶(麦茶など)をこまめに飲むことが基本です。通常の食事をとれていれば、特別に塩分を追加する必要はほとんどありません。

のどが渇いてから一度にたくさん飲むのではなく、暑い日は早めに、少しずつ水分をとりましょう。

大量に汗をかくときは電解質の補給も考えます

長時間の屋外作業や激しい運動などで、汗が流れ続けたり、衣服がびっしょりぬれたりするほど発汗すると、水分だけでなくナトリウムなどの電解質も失われます。このような場合は、水分とともに電解質を含む飲料を補給することが役立ちます。

夏の水分・塩分補給は汗のかき方で変わることを示す図解。普段の生活・軽い発汗は水・無糖のお茶、長時間の屋外作業や激しい運動では水分+電解質、嘔吐・下痢など脱水が疑われる場合は経口補水液が選択肢になるという3つの場面を示し、心不全・腎臓病などで水分や塩分を制限されている方は主治医の指示を優先するよう注意を促している

汗が多い場面では、塩分補給だけに頼るのではなく、涼しい場所で休憩する、風通しのよい服装にする、暑い時間帯の作業を避けるといった対策も重要です。

スポーツ飲料と経口補水液は日常の飲み物ではありません

スポーツ飲料と経口補水液は、どちらも水分と電解質を含みますが、目的は同じではありません。

水・スポーツ飲料・経口補水液の使い分けを示す図解。水・無糖のお茶は普段の生活や軽い発汗に適し日常の水分補給の基本、スポーツ飲料は長時間の運動や大量発汗に適するが糖分を多く含む製品もある、経口補水液は脱水が疑われるときに適し日常的に飲むものではないことを示し、習慣的に飲む場合は持病に応じて医師へ相談するよう注意を促している

スポーツ飲料は、運動や大量発汗時の水分・電解質補給に利用できます。ただし、糖分を多く含む製品もあるため、日常的に水や無糖のお茶の代わりとして飲むのは勧められません。

経口補水液は、水分と電解質を体に吸収しやすい割合で含み、脱水状態での補水を目的とした飲料です。通常の水分補給として毎日飲むものではありません。食塩やカリウムも含むため、高血圧に加えて心不全や腎臓病などがある方は、自己判断で常用せず医師に相談してください。

糖尿病の方も、「スポーツ飲料より経口補水液なら安心」とは一概にいえません。製品ごとに糖分や電解質の量が異なるため、普段の水分補給は水や無糖のお茶を基本にし、必要な場面で使い分けましょう。

水分補給の量や飲み物の選び方については、「熱中症対策で『水分をとって』と言われるけれど、何をどれくらい飲めばいいの?」で詳しく解説しています。

熱中症対策の中心は塩分よりも暑さを避けることです

熱中症対策では、塩分補給だけでなく、エアコンを適切に使う、暑い時間帯の外出や運動を避ける、こまめに休憩する、のどが渇く前に水分をとるといった対策を組み合わせることが重要です。

高齢の方は暑さやのどの渇きを感じにくいため、室温を確認しながら、時間を決めて水分をとるとよいでしょう。

まとめ

高血圧の方は、夏でも食塩1日6g未満を目標に減塩を続けることが基本です。普段の生活や軽い発汗では、水や無糖のお茶による水分補給を中心にし、塩あめやスポーツ飲料を習慣的に追加する必要はありません。

一方、長時間の屋外作業や運動で大量に汗をかいた場合は、水分とともに電解質を補給します。熱中症対策では、涼しい環境をつくり、暑さを避け、こまめに休憩することも欠かせません。

夏になって血圧が下がりすぎる場合や、立ちくらみなどの症状がある場合は、薬を自己調整せず医療機関へ相談しましょう。

高血圧の基準値や治療の考え方全般については、「高血圧とは?基準値・症状・治療と受診の目安を循環器専門医が解説」もあわせてご覧ください。

参考資料


この記事の執筆・監修者

高崎市の乾小児科内科医院 院長 乾恵輔

乾 恵輔(いぬい けいすけ) 乾小児科内科医院 院長

【保有資格】

  • 日本循環器学会認定 循環器専門医
  • 日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医
  • 日本内科学会認定 総合内科専門医

院長よりメッセージ: 「熱中症が心配だから塩分を多めに」というご相談を夏場によく受けますが、高血圧の方は基本的に減塩を続けていただいて大丈夫です。大量に汗をかく場面など、判断に迷うときはお気軽にご相談ください。


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