息切れ・足のむくみは心不全のサイン?検査と受診の目安を解説
「以前は普通に歩けた坂道で息が切れる」「最近、両足がむくんで靴がきつい」。こうした変化の背景に、心不全が隠れていることがあります。
年齢や運動不足のせいだと思っていた症状が、心臓からのサインということもあります。以前と比べて体調や動ける範囲が変わっていないか、振り返ってみましょう。
この記事では、心不全を疑う症状、主な原因、診断のための検査、受診の目安を解説します。
目次(押すと目次が出ます)
心不全とは?
心不全は、心臓の働きが悪くなり、息切れやむくみ、疲れやすさなどが起こる病気です。
心臓は、全身に血液を送り出すポンプの役割をしています。この働きに問題が生じると、肺や体に水分がたまったり、体に必要な血液を十分に送り出せなくなったりします。
心不全は、心臓が縮む力が弱くなる場合だけでなく、心臓が硬くなり、血液を受け入れにくくなる場合にも起こります。
心不全でみられる主な症状

以前より息切れしやすい
階段や坂道、買い物など、普段の動作で息切れするようになります。「途中で休まないと歩けなくなった」「家事をすると息が上がる」といった変化として気づくこともあります。
心臓の働きが悪くなると、肺に血液が滞り、水分がたまって息切れにつながります。これを「肺うっ血」といいます。
以前は問題なくできていた動作がつらくなっていないかが、気づくためのポイントです。
両足がむくむ・短期間で体重が増える
心不全では、体に水分がたまり、足首やすね、足の甲などにむくみが出ることがあります。両足にみられることが多く、靴下の跡が深く残る、靴がきつくなるといった変化がきっかけになります。
食事の量が増えていないのに、数日〜1週間ほどで体重が増えることもあります。短期間の体重増加(数日〜1週間で2kg程度)は、体に水分がたまっているサインの可能性があります。
横になると苦しい・夜中に息苦しくて目が覚める
横になると息苦しく、体を起こすと楽になることがあります。また、眠っている途中で息苦しくなり、目が覚めることもあります。
肺にうっ血がある状態では、横になることで心臓に戻る血液が増え、息苦しさが強まることがあります。「枕を高くしないと眠れない」「座っている方が呼吸が楽」という変化にも注意が必要です。
疲れやすい・食欲が落ちる
体に必要な血液を十分に送り出せなくなると、疲れやすさやだるさが出ることがあります。胃や腸のうっ血などによって、おなかが張る、少し食べただけで満腹になる、食欲が落ちるといった症状が現れることもあります。
症状の組み合わせや現れ方には個人差があり、すべてがそろうわけではありません。
心不全の主な原因
心不全は、さまざまな心臓の病気や高血圧を背景に起こります。
高血圧が続くと、心臓は高い圧力に逆らって血液を送り出すため、負担がかかります。やがて心臓の筋肉が厚く、硬くなり、血液を受け入れにくくなることがあります。
心筋梗塞などの冠動脈の病気では、心臓の筋肉への血流が不足したり、筋肉が傷ついたりして、心臓の働きが低下します。
心臓弁膜症は、血液の逆流を防ぐ弁に異常が起こる病気です。弁が十分に開かない、きちんと閉じずに血液が逆流することで、心臓に負担がかかります。
このほか、心臓の筋肉に異常が起こる心筋症や、心房細動などの不整脈も原因になります。心房細動については、別記事「心房細動とは?症状・原因・検査・治療を循環器専門医が解説」で詳しく説明しています。
糖尿病、慢性腎臓病、肥満なども心不全のリスクを高めます。年齢とともに起こりやすくなりますが、若い方でも発症することがあります。
心不全はどのような検査でわかる?
息切れやむくみは、呼吸器の病気、腎臓の病気、貧血などでも起こります。そのため、診察と検査を組み合わせて、心不全かどうか、何が原因かを確認します。
診察では、症状がいつから出ているか、どんな動作で苦しくなるか、横になると悪化するか、体重が変化しているかなどを伺います。血圧や脈拍、心臓・肺の音、むくみの状態も確認します。
主な検査と、それぞれで調べる内容は次のとおりです。
| 検査 | 主に確認すること |
|---|---|
| 心電図 | 脈の乱れや、心筋梗塞などを疑う変化がないか |
| 胸部レントゲン | 心臓の大きさ、肺やその周囲に水分がたまっていないか |
| 血液検査 | 心臓の負担を示すBNP/NT-proBNP、腎臓の働き、貧血など |
| 心エコー(心臓超音波検査) | 心臓が縮む力や血液を受け入れる働き、筋肉の厚さ、弁の状態など |
健康診断の胸部レントゲンで「心臓が大きい」と言われた場合については、別記事「健康診断で「心臓が大きい」と言われたら|心肥大・心拡大の原因と必要な検査」で解説しています。
血液検査で心臓の負担を調べます
BNPやNT-proBNPは、心臓に負担がかかると血液中で増える物質で、心不全を調べる際の手がかりになります。
ただし、年齢、腎機能、不整脈などの影響も受けるため、数値だけで診断するのではなく、症状やほかの検査結果と合わせて判断します。
心エコーで心臓の働きや弁の状態を調べます
心エコーでは、心臓の動きだけでなく、血液の流れや弁の状態も調べます。心臓の筋肉が厚くなっていないか、弁から血液が逆流していないかなど、心不全の原因を探るうえでも大切な検査です。
これらの結果を合わせて診断し、必要に応じて、さらに詳しい検査を行います。
息切れ・むくみがあるときの受診の目安
普段の動作で息切れする・むくみが続く場合
以前より息切れしやすくなった、両足のむくみが続く、食事量が変わらないのに短期間で体重が増えた場合は、症状が軽くても循環器内科へご相談ください。
とくに、高血圧や心臓の病気がある方でこうした変化が出てきた場合は、年齢や体力の低下だけと考えず、原因を確認することが大切です。
横になれないほど苦しい・安静にしていても息苦しい場合
横になると苦しくて眠れない、夜中に息苦しくて目が覚める、休んでいても息苦しい場合は、当日中に医療機関へ相談してください。
急に強い息苦しさが出た、息苦しくて会話が難しい、意識がぼんやりしている場合は、119番で救急要請してください。
心不全と診断された方に向けた、日常生活やセルフケアのポイントは、別記事「心不全は繰り返す?悪化を防ぐ生活とセルフケアのポイント」で解説しています。
参考文献
- 日本循環器学会・日本心不全学会「2025年改訂版 心不全診療ガイドライン」
- 国立循環器病研究センター「心不全部:さらに詳しく」
- 国立循環器病研究センター「心不全」
- 日本心不全学会「血中BNPやNT-proBNPを用いた心不全診療に関するステートメント2023年改訂版」
- 総務省消防庁「救急車利用マニュアル」
この記事の執筆・監修者

乾 恵輔(いぬい けいすけ) 乾小児科内科医院 院長
【保有資格】
- 日本循環器学会認定 循環器専門医
- 日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医
- 日本内科学会認定 総合内科専門医
院長よりメッセージ: 息切れやむくみは「年のせい」と見過ごされやすい症状ですが、心臓からのサインのこともあります。心電図や心エコー、血液検査で原因を確かめられますので、以前と比べて気になる変化があれば、早めにご相談ください。
【循環器内科のご案内】
乾小児科内科医院では、循環器専門医が息切れやむくみについて診察し、心臓の状態を確認します。「心臓の症状かどうかわからない」という方もご相談ください。
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