ブログ

doctor's blog

尿酸値が高いと痛風になる?痛風・高尿酸血症の症状と治療を解説

2026/09/15
尿酸値が高いと痛風になる?痛風・高尿酸血症の症状と治療を解説するアイキャッチ画像。赤く腫れた足の親指の付け根と尿酸結晶のイラストを示す

「健診で尿酸値が高いといわれた」
「突然、足の親指の付け根が腫れて痛くなった」
「尿酸値が7を超えたら薬を飲んだ方がいい?」

このような相談は、外来でもよくあります。

痛風は、血液中の尿酸が多い状態が続き、関節などにたまった尿酸塩の結晶によって炎症が起こる病気です。

ただし、尿酸値が高いからといって、すぐに痛風になるわけではありません。また、尿酸値が7.0mg/dLを超えた人が全員、薬を飲むわけでもありません。

治療が必要かどうかは、痛風発作を起こしたことがあるか、尿酸値がどのくらい高いか、腎機能や尿路結石、ほかの生活習慣病があるかなどをみながら判断します。

この記事では、痛風・高尿酸血症とはどのような病気なのか、どのような症状が出るのか、いつ治療を考えるのか、発作時の対応や尿酸を下げる治療、生活習慣のポイントまでまとめて解説します。

この記事のポイント

・高尿酸血症と痛風は同じものではありません

・尿酸値が7.0mg/dLを超えたからといって、全員が薬を飲むわけではありません

・痛風は「痛みが引いた後」の尿酸値管理が大切です

目次(押すと目次が出ます)

痛風と高尿酸血症は同じものではありません

血液中の尿酸値が7.0mg/dLを超えた状態を「高尿酸血症」といいます。

尿酸は、体内のプリン体が分解されたときにできる物質で、主に腎臓から尿として排泄されます。

尿酸値は食事だけで決まるわけではありません。体内で尿酸が多く作られる場合もあれば、腎臓などから十分に排泄できない場合もあります。肥満、飲酒、脱水、腎機能の低下、一部の薬など、さまざまな要因が関係します。

高尿酸血症の状態が長く続くと、血液中に溶けきれなくなった尿酸が尿酸塩結晶となり、関節などにたまることがあります。この結晶をきっかけに急な関節炎が起こったものが、いわゆる痛風発作です。

高尿酸血症は「尿酸値が高い状態」、痛風は「尿酸塩結晶によって関節炎などを起こした状態」と考えると分かりやすいでしょう。

ただし、高尿酸血症があっても、一度も痛風発作を起こさない人もいます。

尿酸値が高いとなぜ痛風になるのかを示す図解。尿酸値が高い状態が続くと結晶がたまり、炎症が起こって痛風発作に至る4段階の流れを示す。全員が痛風発作を起こすわけではないことも注記

痛風発作はどんな症状?

痛風発作では、突然、一つの関節が強く痛み始めます。最もよく知られているのが、足の親指の付け根です。

典型的には、数時間から1日ほどで痛みが強くなり、関節が赤く腫れて熱をもちます。発作が強いと、靴下や布団が触れるだけでもつらく感じることがあります。足の親指の付け根以外に、足首や膝などに起こることもあります。

症状は時間とともに軽くなり、1〜2週間ほどで落ち着くこともあります。

ただし、痛みがなくなっても、関節などにたまった尿酸塩結晶までなくなったわけではありません。尿酸値が高い状態が続けば、再び発作を起こす可能性があります。

尿酸値が正常でも痛風のことがあります

「足が腫れて痛かったので血液検査をしたけれど、尿酸値は正常でした。痛風ではないのでしょうか?」これもよくある質問です。

実は、痛風発作中の尿酸値だけで痛風を否定することはできません。発作の最中には尿酸値が一時的に低下し、普段より低い値になることがあるからです。

そのため、痛風かどうかは、痛みが出た場所や症状の起こり方、過去に同じような発作があったか、普段の尿酸値などを確認し、必要に応じて血液検査や画像検査を行って判断します。

また、赤く腫れて強く痛む関節炎は、痛風以外の病気でも起こります。発熱を伴う、急速に腫れが広がるといった場合は、感染性関節炎など痛風以外の病気を除外する必要があるため、早めに受診してください。

尿酸値7.0mg/dLを超えたら薬が必要?

尿酸値が7.0mg/dLを超えたからといって、全員がすぐに薬を必要とするわけではありません。7.0mg/dLという数字は、「高尿酸血症」と診断する目安です。

実際に治療を始めるかどうかは、痛風発作を起こしたことがあるか、尿酸値がどのくらい高いか、腎機能が低下していないか、尿路結石がないか、高血圧や糖尿病などを合併していないか、といった点を総合して判断します。

尿酸値が高いとき薬が必要かどうかを判断するフローチャート。尿酸値7.0mg/dL超(高尿酸血症)のうち、痛風発作や痛風結節がある場合は尿酸を下げる治療を検討し、ない場合は尿酸値の高さ・腎機能・尿路結石の有無・生活習慣病などを総合的にみて判断することを示す

痛風発作を起こしたことがある場合

痛風と診断された方では、発作の回数、尿酸値、腎機能、尿路結石などをみながら尿酸値を下げる治療を検討します。特に、痛風発作を繰り返している場合や痛風結節がある場合には、薬物治療の適応になります。

「喉元過ぎれば熱さを忘れる」という言葉があるように痛風発作が治まり、痛みが落ち着くとついつい病院から足が遠のいてしまう方もいますが、大切なのは発作を止めるだけでなく、尿酸値を適切に管理して再発を防ぐことです。

痛風発作がない場合

尿酸値は高いものの、まだ一度も痛風発作を起こしていない状態を「無症候性高尿酸血症」と呼びます。

この場合には、尿酸値がかなり高いときや、腎機能低下、尿路結石、生活習慣病などを伴うときに、薬による治療を検討します。

目安として、合併症がある場合には尿酸値8mg/dL以上、合併症がない場合には9mg/dL以上が参考になりますが、数値だけで機械的に決めるわけではありません。年齢や腎機能、尿酸値の推移なども含めて判断します。

健診で尿酸値が高かった方については、健診で尿酸値が高いといわれた方へでも詳しく解説しています。

痛風発作が起きたときは、まず炎症を抑えます

痛風の治療は、今ある痛みや炎症を抑える治療と、尿酸値を下げて次の発作を防ぐ治療の2つに分けて考えると分かりやすくなります。

痛風の治療を発作中の治療と発作後の治療の2つに分けて示した図解。発作中はNSAIDs・コルヒチン・ステロイドで炎症と痛みを抑え、発作後は尿酸値を下げて結晶を減らし再発を予防することを示す

発作中は、まず強い炎症と痛みを抑えることが優先されます。

薬としては、症状や腎機能などに応じて、消炎鎮痛薬、コルヒチン、ステロイドなどを使います。どの薬が適しているかは、腎機能や胃腸の病気、ほかに服用している薬などによって変わります。

また、すでに尿酸を下げる薬を飲んでいる方は、痛風発作が起きても自己判断で中止せず、原則として継続します。尿酸値の急な変動が発作に影響する可能性があるためです。

一方、初めての痛風発作をきっかけに尿酸を下げる薬を新しく始める場合は、原則として炎症が十分に治まってから少量で開始します。

尿酸値を下げる治療は、次の発作を防ぐための治療です

発作が治まると、「もう痛くないから治った」と思ってしまいがちです。しかし、痛風治療で大切なのは、痛みを取ることだけではありません。

尿酸値を十分に下げることで、関節などにたまっている尿酸塩結晶が少しずつ減っていきます。その結果、痛風発作の再発を防ぎやすくなり、痛風結節の形成や進行を抑えることにつながります。

痛風のある方では、血清尿酸値6.0mg/dL以下を目標として治療していきます。尿酸値をどこまで下げれば尿酸結晶が減るのかについては、尿酸値はどこまで下げればよい?でも解説しています。

尿酸を下げる薬には大きく2種類あります

尿酸を下げる薬には、大きく分けて尿酸が作られるのを抑える薬と、尿酸を体外へ排泄しやすくする薬があります。

代表的な薬には、フェブキソスタット、アロプリノール、ドチヌラド(ユリス®)などがあります。ドチヌラドについてはユリス(ドチヌラド)の効果と副作用、2022年のガイドライン改訂については2022年ガイドライン追補版の変更点で詳しく解説しています。

どの薬を使うかは、尿酸値だけでなく、腎機能、肝機能、尿路結石の有無、合併症、ほかに飲んでいる薬などもみながら決めます。薬を開始した後も、尿酸値や腎機能などを確認しながら調整していきます。

尿酸値を下げるために大切な生活習慣

高尿酸血症というと、「プリン体を食べすぎたから」と思われがちですが、食事だけが原因ではありません。特定の食品だけを禁止するより、生活習慣全体を整えることが大切です。

尿酸値が高いときに見直したい4つの生活習慣を示す図解。適正体重を目指す、お酒を飲みすぎない、甘い飲み物のとりすぎに注意する、水分をこまめにとる、という4項目とプリン体だけを気にしすぎないことの大切さを示す

体重を適正に近づける

体重が多い方では、無理な減量ではなく、食事量や間食を見直しながら少しずつ適正体重に近づけていくことが大切です。肥満は高尿酸血症と深く関係しています。

お酒は種類にかかわらず飲みすぎない

「ビールはプリン体が多いから、焼酎なら大丈夫」と思われることがありますが、尿酸値に影響するのはプリン体だけではありません。アルコールそのものが尿酸値を上げる方向に働くため、お酒の種類にかかわらず飲みすぎには注意が必要です。

甘い飲み物をとりすぎない

清涼飲料水などに多く含まれる果糖のとりすぎも、尿酸値を上げる原因になります。水分補給をする場合には、水やお茶など糖分の少ない飲み物を中心にするとよいでしょう。

脱水を避ける

脱水も尿酸値を上げる要因になります。特に夏場、運動後、サウナ後、飲酒時などは水分不足に注意してください。夏に痛風発作が増える理由については夏に痛風発作が増える理由でも解説しています。

運動は、ウォーキングなど無理なく続けられるものがおすすめです。一方で、極端に激しい運動や急激な減量は、一時的に尿酸値を上げることがあります。レバーや一部の魚介類など、プリン体を多く含む食品を大量に食べることは避けた方がよいですが、プリン体の多い食品をすべて禁止する必要はありません。

高尿酸血症は、ほかの生活習慣病と一緒にみることが大切です

高尿酸血症の方には、高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満、慢性腎臓病などを合併していることがあります。

そのため、尿酸値だけを下げればよいというわけではありません。健診で尿酸値が高かったことをきっかけに、血圧、血糖値、コレステロール、腎機能なども一緒に確認しておくとよいでしょう。

また、利尿薬など一部の薬によって尿酸値が上昇することもあります。治療中の薬は自己判断で中止せず、医師に相談してください。

こんなときは一度相談してください

次のような場合には、一度医療機関で相談することをおすすめします。

  • 健診で尿酸値が高いといわれた
  • 足の親指や足首などが突然赤く腫れて痛くなった
  • 痛風発作を繰り返している
  • 尿酸値がかなり高い状態が続いている
  • 腎臓病や尿路結石、生活習慣病がある

「痛くないから放っておいて大丈夫なのか」「薬を始めるべきなのか」という判断は、尿酸値だけではできません。これまでの発作、尿酸値の推移、腎機能やほかの病気を含めて考えます。

まとめ|痛風は「痛みがなくなった後」の管理が大切です

痛風は、尿酸塩結晶によって突然強い関節炎を起こす病気です。血清尿酸値が7.0mg/dLを超えると高尿酸血症とされますが、治療の必要性は尿酸値だけで決まるわけではありません。

痛風発作の有無、尿酸値、腎機能、尿路結石、生活習慣病などをみながら治療方針を決めます。発作が起きたときには、まず炎症と痛みを抑えます。その後は尿酸値を適切に管理し、次の発作を防ぐことが大切です。

健診で尿酸値が高かった方、痛風と思われる関節痛を繰り返している方、尿酸を下げる治療について相談したい方は、お気軽にご相談ください。

参考資料

※この記事は2026年9月時点の情報をもとに作成しています。


この記事の執筆・監修者

高崎市の乾小児科内科医院 院長 乾恵輔

乾 恵輔(いぬい けいすけ) 乾小児科内科医院 院長

【保有資格】

  • 日本内科学会認定 総合内科専門医
  • 日本循環器学会認定 循環器専門医
  • 日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医
  • 日本痛風・尿酸核酸学会所属

院長よりメッセージ: 健診で尿酸値を指摘された段階から、発作の予防や合併症を含めて総合的に診療します。少しでも気になる症状がある方は、お早めにご相談ください。


【痛風外来のご案内】 

当院はクリニックで県内唯一の痛風・尿酸財団認定の痛風協力医療機関として痛風治療にあたっています。健診で尿酸値が高いと指摘された方、痛風と思われる関節の痛みを繰り返している方は、当院にご相談ください。発作の有無や腎機能、尿路結石の有無などを確認したうえで、治療方針をご提案します。

受診をご希望の方は、WEB事前受付をご利用いただくとスムーズです。当日、症状について確認したいことがある場合は、お電話でもお問い合わせいただけます。

WEBで初診予約
電話で相談する
痛風外来の詳しい診療内容を見るボタン

© Inui pediatrics and internal medicine clinic