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【循環器専門医が解説】コレステロールが高いと言われたら|LDLを下げる食事・運動・薬

2026/09/19
健康診断でLDLコレステロールが高いと指摘された患者に、医師が食事・運動・薬による改善方法を説明しているイラスト

最終更新日:2026年9月3日

健康診断で「コレステロールが高い」「LDLコレステロールが基準値を超えている」と指摘されても、体調に変化がないため、そのままにしている方は少なくありません。

しかし、LDLコレステロールが高い状態が長く続くと、血管の壁にコレステロールがたまり、動脈硬化が少しずつ進みます。自覚症状がほとんどないまま進行し、ある日突然、心筋梗塞や脳梗塞として現れることがあるため注意が必要です。

一方で、LDLコレステロールが140mg/dLを超えたからといって、全員がすぐに薬を飲むわけではありません。治療が必要か、どこまで下げるべきかは、年齢、血圧、糖尿病、腎臓病、喫煙歴、心筋梗塞や脳梗塞の既往などを含めて判断します。

この記事では、健康診断でコレステロールの異常を指摘されたときに確認したい数値と、食事・運動・薬による治療について分かりやすく解説します。

目次(タップすると開きます)

1. そもそもコレステロールとは?

コレステロールは、細胞膜やホルモン、脂肪の消化に必要な胆汁酸などの材料になる物質です。体にとって必要なものですが、血液中に多すぎると動脈硬化の原因になります。

血液中のコレステロールは、そのままでは水分に溶けにくいため、「リポ蛋白」という粒子に包まれて運ばれています。健康診断では、主に次の4項目を確認します。

項目どのような指標?
LDLコレステロール肝臓から全身へコレステロールを運びます。多すぎると血管壁にたまり、動脈硬化を進めます
HDLコレステロール余ったコレステロールを回収して肝臓へ戻す働きに関係します。低値は動脈硬化リスクの目安になります
中性脂肪(TG)体を動かすエネルギー源になる脂質です。食べすぎ、飲酒、肥満、糖尿病などで上昇します
non-HDLコレステロール総コレステロールからHDLを引いた値で、LDLやレムナントなど動脈硬化に関係するコレステロールをまとめて評価します

「総コレステロール」は、血液中のさまざまなリポ蛋白に含まれるコレステロールの合計です。中性脂肪をそのまま足した数値ではありません。

また、かつてはLDLとHDLの比率が注目されることもありましたが、現在の治療では、まずLDLコレステロールを適切に管理することが基本です。そのうえで、中性脂肪、HDL、non-HDLもあわせて評価します。

健診で見る4つの脂質(LDLコレステロール・HDLコレステロール・中性脂肪・non-HDLコレステロール)の役割を示す図解

2. 脂質異常症の診断基準

脂質異常症とは、LDLコレステロールや中性脂肪が高い、あるいはHDLコレステロールが低い状態です。

日本動脈硬化学会の「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」では、成人の診断基準を次のように定めています。

項目脂質異常症の診断基準
LDLコレステロール140mg/dL以上
境界域高LDLコレステロール120~139mg/dL
HDLコレステロール40mg/dL未満
中性脂肪・空腹時採血150mg/dL以上
中性脂肪・随時採血175mg/dL以上
non-HDLコレステロール170mg/dL以上
境界域高non-HDLコレステロール150~169mg/dL

空腹時採血とは、原則として10時間以上、カロリーのある飲食物をとらずに行う採血です。水や無糖のお茶は飲んでもかまいません。

ここで注意したいのは、この表があくまで「脂質異常症に該当するかを判断する基準」であり、すべての人に共通する治療目標ではないことです。

健診でコレステロールの異常を指摘されても、多くの場合は急いで受診しなければならない状態ではありません。ただし、LDLコレステロールが180mg/dL以上、中性脂肪が500mg/dL以上の場合や、糖尿病・腎臓病・心筋梗塞などの持病がある場合、家族に若くして心筋梗塞を発症した方がいる場合は、結果票を持って早めに医療機関へ相談してください。どの診療科を受診すればよいか迷う場合は、健康診断で引っかかったら何科?もご覧ください。

3. どれくらいから治療が必要?

脂質異常症の診断基準と治療目標が異なることを示す図。LDL140mg/dL以上は診断基準の目安であり、実際の治療目標は年齢・血圧・腎臓病・喫煙・心血管疾患の既往などによって異なることを示す

まだ心筋梗塞や脳梗塞を起こしていない人の予防を「一次予防」、すでに動脈硬化による病気を起こした人の再発予防を「二次予防」といいます。同じLDLコレステロール値でも、二次予防の人では、より積極的な治療が必要です。

一次予防では、糖尿病、慢性腎臓病、末梢動脈疾患がある人は高リスクに分類されます。これらがない場合も、年齢、性別、血圧、糖代謝、LDL、HDL、喫煙などをもとに、将来の動脈硬化性疾患の発症リスクを評価します。

LDLコレステロールの管理目標

このリスク区分はLDLの数値だけでは決められません。次の表は自己判断のためではなく、治療目標が人によって異なることを示す目安としてご覧ください。

日本のガイドラインによる、おおよそのLDLコレステロール管理目標は次のとおりです。

状況LDLコレステロールの管理目標
一次予防・低リスク160mg/dL未満
一次予防・中リスク140mg/dL未満
一次予防・高リスク120mg/dL未満
心筋梗塞・狭心症・一部の脳梗塞などの二次予防100mg/dL未満
二次予防の中でも特にリスクが高い場合70mg/dL未満を考慮

糖尿病に細小血管症、末梢動脈疾患、喫煙などが加わる場合は、一次予防でも100mg/dL未満が検討されます。急性冠症候群、家族性高コレステロール血症、糖尿病などを伴う二次予防では、70mg/dL未満を目指すことがあります。

これらは「その値を少し超えたら直ちに危険」という境界線ではなく、一人ひとりの状態に応じた到達努力目標です。

若い人は「今後何年続くか」も大切です

若い人は、10年以内に心筋梗塞や脳梗塞を起こす確率だけを見ると、低リスクに判定されやすい傾向があります。しかし、LDLが高い状態が20年、30年と続けば、その分だけ血管への影響も積み重なります。

そのため、若い人では目先の数値だけでなく、「高い状態が今後何年続くか」という生涯リスクも考えることが大切です。「まだ若いから大丈夫」と放置せず、まず原因を確認しましょう。

LDLコレステロールは高さだけでなく続いた期間も動脈硬化リスクに影響することを示す図。若い頃から年齢を重ねるまでの血管の変化を示すイラスト

4. コレステロールが高くなる原因

「脂っこいものを食べたからコレステロールが高くなった」と考えがちですが、食生活だけが原因とは限りません。

LDLコレステロールの値には、肝臓で作られる量、腸から吸収される量、血液から回収される働きなどが関係します。これらには個人差があり、同じような食生活でも、上がりやすい人と上がりにくい人がいます。

また、甲状腺機能低下症、糖尿病、ネフローゼ症候群、慢性腎臓病、肥満、飲酒などによって脂質異常症が起こることもあります。服用している薬が影響する場合もあります。以前は正常だったLDLが急に高くなった場合や、生活を見直しても改善しない場合には、こうした原因がないか確認します。

成人でLDLが180mg/dL以上なら家族性高コレステロール血症にも注意

未治療のLDLコレステロールが180mg/dL以上の場合は、生活習慣の改善と並行して薬物療法を検討するとともに、家族性高コレステロール血症(FH)の可能性を考えます。

家族性高コレステロール血症は、遺伝的な体質によって生まれた頃からLDLコレステロールが高く、若いうちから動脈硬化が進みやすい病気です。

特に、若い頃からLDLが高い、家族にもコレステロールが高い人がいる、家族が若くして心筋梗塞や狭心症を発症している、アキレス腱が厚い、皮膚に黄色い盛り上がりがある場合には注意が必要です。

食事や運動だけで十分に下がらないことが多いため、疑われる場合は早めに医療機関へ相談してください。なお、この180mg/dLという目安は成人の基準で、15歳未満の子どもは小児用の診断基準で判断します。詳しくは家族性高コレステロール血症(FH)とは?で解説しています。

また、家族に若年の心筋梗塞や脳梗塞が多い場合には、遺伝の影響を強く受けるLp(a)というリポ蛋白の一種を追加で調べることがあります。通常の健康診断には含まれないため、検査の必要性は家族歴などを踏まえて判断します。2026年の米国ACC/AHAガイドラインでは、成人期に少なくとも一度測定することが推奨されていますが、日本では全員に必須の検査というわけではありません。

5. 生活習慣を見直す

食事

血液中のコレステロールを改善するうえで、食事中のコレステロールだけを極端に避ける必要はありません。それよりも、肉の脂身、バター、生クリーム、洋菓子などに多く含まれる飽和脂肪酸をとりすぎていないかを見直すことが重要です。

たとえば、脂身の多い肉や加工肉を食べる回数を減らし、魚、大豆製品、脂身の少ない肉へ置き換えます。バターや生クリームを多く使った菓子類は、完全に禁止するのではなく、食べる頻度と量を調整すると続けやすくなります。

食物繊維を増やすことも有効です。野菜、海藻、きのこ、豆類に加え、麦ごはん、雑穀、玄米などの未精製穀類を取り入れます。青魚や大豆製品に含まれる不飽和脂肪酸も、脂質の改善に役立ちます。

日本動脈硬化学会では、魚、大豆、野菜、海藻、きのこ、未精製穀類などを取り入れ、肉の脂身、バター、砂糖や果糖を控える「The Japan Diet」を提案しています。ただし、和食でも塩分が多くなることがあるため、減塩は必要です。

卵や魚卵も完全に禁止する必要はありません。一つの食品だけを悪者にするのではなく、食べる量や頻度、食事全体のバランスを見直しましょう。

LDLコレステロールを下げる食事の工夫。脂身の多い肉・加工肉は魚や大豆製品・脂身の少ない肉へ、バターや生クリーム・洋菓子は量と頻度を控えめに、野菜が少ない食事には野菜・海藻・きのこを1品追加することを示した図

運動

運動は、中性脂肪を下げ、HDLコレステロールを改善するほか、血圧、血糖、体重の管理にも役立ちます。LDLを下げる効果は食事や薬に比べると大きくないことがありますが、動脈硬化予防全体を考えると重要です。

30分続けて行うのが難しければ、まずは10分ずつでもかまいません。ウォーキングなどの中強度以上の有酸素運動を、合計で1日30分以上、少なくとも週3日、可能であれば週150分程度行うことが目安です。

いきなり完璧を目指す必要はありません。通勤や買い物で歩く、エレベーターを階段に変える、座っている時間を減らすなど、現在より体を動かす時間を少し増やすところから始めてください。

心臓病がある方、血圧や血糖が著しく高い方、関節や腰に病気がある方は、運動を始める前に主治医へ相談しましょう。

中性脂肪が高い場合は、糖質と飲酒も見直します

LDLコレステロールと中性脂肪では、見直すポイントが少し異なります。

中性脂肪は、食べ過ぎ、肥満、飲酒のほか、甘い飲み物、お菓子、果糖を多く含む食品、主食のとりすぎなどで上昇しやすくなります。中性脂肪が高い場合は、脂質だけでなく、糖質の量や飲酒習慣も確認する必要があります。

中性脂肪が500mg/dL以上の場合は早めの評価が必要です。特に1000mg/dL以上の著しい高値では、急性膵炎の危険が高くなるため、食事だけで様子を見ず医療機関を受診してください。中性脂肪については健康診断で中性脂肪が高いと言われたらで詳しく解説しています。

禁煙

喫煙は血管を傷つけ、心筋梗塞や脳卒中のリスクを高めます。また、HDLコレステロールを低下させる原因にもなります。

コレステロールの数値だけを改善しても、喫煙を続けていれば血管への負担は残ります。脂質異常症の治療では、禁煙も薬や食事と同じように重要な治療の一つです。

6. 生活を見直しても下がらない場合は薬を検討します

一次予防でリスクがそれほど高くない場合は、まず3~6か月程度、食事や運動などの生活習慣を見直し、その効果を確認します。ただし、家族性高コレステロール血症が疑われる場合、糖尿病や慢性腎臓病がある場合、すでに心筋梗塞・狭心症や、動脈硬化を原因とする脳梗塞を起こしている場合などは、早い段階から薬物療法を検討します。

LDLコレステロールを下げる薬の第一選択は、一般にスタチンです。スタチンには、LDLを下げるだけでなく、心筋梗塞や脳梗塞を予防する効果が確認されています。

スタチンだけで目標に届かない場合や、十分な量を使用できない場合には、エゼチミブなど作用の異なる薬を追加します。リスクが非常に高い方や家族性高コレステロール血症では、PCSK9阻害薬などの注射薬を使用することもあります。

薬を使うことは、「食事療法に失敗した」という意味ではありません。コレステロールの上がりやすさには体質の影響が大きく、生活習慣だけでは十分に下がらない方もいます。無理な制限を続けるより、できる範囲で生活を整えながら、必要に応じて薬の力を借りる方が現実的です。

薬を開始した後も、効果や副作用を確認しながら量や種類を調整します。自己判断で中止せず、気になる症状がある場合は主治医へ相談してください。

詳しくは脂質異常症治療薬:スタチン系薬の効果と副作用もあわせてご覧ください。

7. まとめ

  • LDLが高い状態が長く続くと、動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞の原因になります
  • 治療の必要性と目標値は、年齢や合併症、喫煙歴、家族歴などによって異なります
  • 食事・運動・禁煙を基本に、必要な場合は薬を組み合わせます
  • LDLが180mg/dL以上の場合や家族歴がある場合は、早めに医療機関へ相談しましょう

「食事と運動を頑張りましょう」と言われても、仕事や家庭の事情があり、理想どおりにできないことは珍しくありません。

できないことを責めるのではなく、今の生活の中で変えられるところを探し、必要であれば薬の力も使う。それが、無理なく長く続けられる脂質異常症の治療だと考えています。

参考文献

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※本記事は一般的な医学情報の提供を目的としています。個別の診断や治療については、医療機関へご相談ください。


この記事の執筆・監修者

高崎市の乾小児科内科医院 院長 乾恵輔

乾 恵輔(いぬい けいすけ) 乾小児科内科医院 院長

【保有資格】

  • 日本循環器学会認定 循環器専門医
  • 日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医
  • 日本内科学会認定 総合内科専門医

院長よりメッセージ: コレステロールの異常は自覚症状がほとんどないため、後回しにされがちです。しかし数値だけで一律に判断せず、年齢や合併症、家族歴などを含めて一人ひとりに合った管理目標を一緒に考えていきます。気になる方はお気軽にご相談ください。


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