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健康診断で中性脂肪が高いと言われたら|放置してよい?受診の目安と改善方法を医師が解説

2026/09/17
健康診断の結果を見ながら、中性脂肪が高いと指摘された場合の対応を考える男性のイラスト

健康診断で「中性脂肪(TG)が高い」と指摘されても、症状がないため、そのままにしている方は少なくありません。

健診でよくみられる軽度の高値で、すぐに重い病気が起こるわけではありません。中性脂肪は直前の食事や前日の飲酒でも変動するため、まずは採血条件を確認し、生活習慣の見直しや再検査につなげることが大切です。

一方、高い状態が続く場合は、糖尿病や脂肪肝、甲状腺や腎臓の病気、服用中の薬などが影響していないかを確認する必要があります。特に500mg/dL以上の場合や、強い腹痛・嘔吐を伴う場合は、自己判断で様子を見ずに受診してください。

この記事では、中性脂肪の数値の見方、考えられる原因、改善方法、再検査と受診の目安について、糖尿病専門医・循環器専門医が解説します。

目次(押すと目次が出ます)

まず確認したい|中性脂肪の数値と対応の目安

日本動脈硬化学会では、空腹時150mg/dL以上、随時175mg/dL以上を高トリグリセライド血症としています。

健康診断の中性脂肪の数値と対応の目安を示した図。空腹時150未満・随時175未満は基準範囲内、空腹時150〜499・随時175〜499は生活改善と再検査、500〜999は早めに内科へ、1,000以上は速やかに受診

具体例で確認|この数値ならどうする?

健診結果の例対応
昼食後の採血で210mg/dL慌てる必要はありません。食事や飲酒の影響を確認し、必要に応じて空腹時に再検査します
空腹時230mg/dLが毎年続いている生活習慣を見直し、糖尿病や脂肪肝などがないか内科で確認します
620mg/dLだった食後かどうかにかかわらず、早めに医療機関を受診します
1,100mg/dLで強い上腹部痛がある急性膵炎の可能性があるため、すぐに救急外来へ相談します

数値だけでなく、空腹時か食後か、過去にも高かったか、ほかの検査値や症状に異常がないかを含めて判断します。

中性脂肪(TG)とは?

中性脂肪は、トリグリセライド(Triglyceride:TG)とも呼ばれる脂質の一種です。体を動かすためのエネルギー源であり、食事から摂ったエネルギーを蓄えておく役割があります。

中性脂肪そのものは体に必要ですが、食べ過ぎ、飲酒、運動不足、肥満などによって増え過ぎると、脂肪肝や動脈硬化と関連するほか、糖尿病などの病気が隠れていることがあります。

空腹時と食後では基準値が違います

空腹時とは、原則として10時間以上、カロリーのあるものを摂っていない状態です。水や無糖のお茶は飲んでもかまいません。空腹時であることを確認できない場合は、随時採血として判断します。

食後だったから高かっただけ?

中性脂肪は、直前の食事や前日の飲酒の影響を受けやすい検査です。しかし、「食後だったから異常ではない」とは言い切れません。食後の中性脂肪が高い状態も、将来の動脈硬化性疾患と関連します。

軽度の高値であれば、食事や飲酒などの条件を確認したうえで、必要に応じて空腹時に再検査します。

中性脂肪が高い状態を放置するとどうなる?

動脈硬化と関連する

中性脂肪が高い方では、HDLコレステロールが低くなったり、小型で動脈硬化を起こしやすいLDLが増えたりすることがあります。

動脈硬化は自覚症状がないまま進行し、心筋梗塞や脳梗塞を発症して初めて見つかることもあります。ただし、その危険性は中性脂肪だけで決まるものではありません。LDLコレステロール、血圧、血糖値、喫煙歴などを含めて総合的に評価することが大切です。

LDLコレステロールが高いと言われた場合の考え方は、「【循環器専門医が解説】コレステロールが高いと言われたら|LDLを下げる食事・運動・薬」で解説しています。

脂肪肝を合併していることがある

中性脂肪が高い方では、肝臓に脂肪がたまる脂肪肝を合併していることがあります。脂肪肝の多くは自覚症状がなく、ALTなどの肝機能が正常でも否定できません。

脂肪肝のうち、肝臓に炎症や線維化を伴うタイプでは、時間をかけて肝硬変へ進むことがあります。必要に応じて血液検査や腹部超音波検査で肝臓の状態を確認します。

著しく高い場合は急性膵炎の原因になる

中性脂肪が著しく高くなると、急性膵炎を起こすことがあります。特に1,000mg/dL以上では危険が高まります。

急性膵炎では、みぞおちを中心とした強い痛み、背中に広がる痛み、吐き気や嘔吐などがみられます。重症化すると命に関わるため、こうした症状がある場合は早急な対応が必要です。

中性脂肪が高くなる主な原因

中性脂肪が高くなる原因は、生活習慣だけではありません。複数の要因が重なっていることもあります。

食事・飲酒・運動など

  • 食べ過ぎ
  • 甘い飲み物やお菓子の摂り過ぎ
  • アルコールの飲み過ぎ
  • 運動不足
  • 体重増加や肥満

中性脂肪は、脂っこい食事だけでなく、糖質やアルコールの摂り過ぎでも上がりやすいことが特徴です。ジュースや菓子パン、麺類や丼物の大盛り、頻回の飲酒などが重なると高くなりやすくなります。

病気や体質

  • 糖尿病、特に血糖コントロールが悪い状態
  • 脂肪肝
  • 甲状腺機能低下症
  • 慢性腎臓病やネフローゼ症候群
  • 遺伝性の脂質異常症

生活習慣をあまり変えていないのに急に高くなった場合や、著しい高値、家族にも脂質異常症が多い場合は、背景にある病気や遺伝的な体質も確認します。

健診で血糖値やHbA1cも高いと言われた方は、「健康診断で血糖値・HbA1cが高いと言われたら?糖尿病専門医が解説【高崎市】」もあわせてご覧ください。

服用中の薬

ステロイド、ホルモン薬、一部の降圧薬や精神科の薬、免疫抑制薬、レチノイドなどが中性脂肪に影響することがあります。

薬を自己判断で中止せず、服用中の薬やサプリメントを医師に伝えてください。

中性脂肪を下げるために、まず見直したい3つ

生活習慣をすべて一度に変えようとすると、長続きしません。まずは、中性脂肪に影響しやすい次の3つから見直しましょう。

中性脂肪を下げるために見直す3つの習慣を示した図。甘い飲み物は無糖の飲み物へ、飲酒量は1週間の総量を減らす、食べ過ぎは大盛り・間食・夜食を見直す

1.甘い飲み物を減らす

ジュース、果汁100%飲料、スポーツドリンク、加糖コーヒー、乳酸菌飲料などには、多くの糖質が含まれています。水、無糖のお茶、無糖のコーヒーなどへの置き換えから始めましょう。

2.飲酒量を減らす

アルコールは中性脂肪を上昇させる代表的な原因です。焼酎やウイスキーなど、糖質の少ないお酒でもアルコール自体が影響します。

休肝日だけでなく、1回に飲む量と1週間の総量を減らすことが重要です。著しい高値では、禁酒が必要になることもあります。

3.食べ過ぎと体重増加を見直す

ご飯、パン、麺類、菓子類などを必要以上に摂ると、余ったエネルギーが中性脂肪に変わります。大盛りやおかわり、間食、夜遅い時間の食事を見直しましょう。

体重過多の方では、体重を3〜5%減らすだけでも、中性脂肪、血糖値、血圧などの改善が期待できます。急激な減量ではなく、無理なく続けられる方法を選ぶことが大切です。

食品は「足す」より「置き換える」

青魚や野菜を食べ足しても、食事全体の量が増えてしまえば十分な改善にはつながりません。まず過剰な糖質、アルコール、総摂取量を減らしたうえで、食品を置き換えましょう。

見直し方具体例
甘い飲み物を無糖にするジュースを水や無糖のお茶に替える
主食の量を適正にする大盛りやおかわりをやめる
間食を減らす菓子パン、ケーキ、アイスを毎日の習慣にしない
魚を取り入れる肉や加工肉の一部を青魚に置き換える
食物繊維を増やす野菜、海藻、きのこ、大豆製品を組み合わせる

500mg/dL以上では、一般的な食事改善とは別に、脂質の摂取量を大きく制限する必要があることがあります。自己流で対応せず、医師や管理栄養士に相談してください。

運動は「今より10分多く」から

厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、成人に対して次の身体活動が推奨されています。

  • 歩行、通勤、家事などを含め、1日60分以上体を動かす
  • 息が弾み汗をかく程度の運動を週60分以上行う
  • 筋力トレーニングを週2〜3日行う

最初からすべてを達成する必要はありません。まずは、普段より10分多く歩く、階段を使う、座っている時間をこまめに中断するなど、続けられることから始めましょう。

歩数や時間の目安、食後の運動については、「【糖尿病専門医が解説】糖尿病の運動療法|歩数・時間・筋力トレーニング・食後運動の目安」でも解説しています。

医療機関では何を調べる?

医療機関では、中性脂肪の数値だけでなく、次の点を確認します。

  • 採血が空腹時か食後か
  • 前日の食事や飲酒
  • 体重変化、食事・運動習慣
  • 服用中の薬やサプリメント
  • LDL・HDLコレステロール
  • 血糖値、HbA1c
  • AST、ALT、γ-GTPなどの肝機能
  • 腎機能
  • 必要に応じて甲状腺機能

脂肪肝が疑われる場合は腹部超音波検査、著しい高値や家族歴がある場合は遺伝性脂質異常症の可能性も検討します。

薬が必要になるのはどんなとき?

中性脂肪が高いからといって、全員が中性脂肪を下げる薬を飲むわけではありません。

150〜499mg/dLでは、まず食事、飲酒、運動、体重を見直します。同時に、LDLコレステロール、糖尿病、高血圧、喫煙歴、心筋梗塞や脳梗塞の既往などを確認し、将来の心血管リスクを総合的に判断します。LDLコレステロールや心血管リスクの管理を目的として、スタチンなどを使用することもあります。スタチンについては「【医師が解説】脂質異常症治療薬:スタチン系薬の効果と副作用」で解説しています。

著しい高値では、急性膵炎を防ぐことも重要です。原因となる病気の治療と生活改善に加え、必要に応じてフィブラート系薬やEPA・DHA製剤などを検討します。

薬の選択は、中性脂肪の数値、腎機能、肝機能、ほかの薬との組み合わせによって異なります。

内科を受診した方がよいケース

次のような場合は、健康診断の結果を持って内科を受診してください。

  • 500mg/dL以上ある
  • 空腹時150mg/dL以上、または随時175mg/dL以上の高値が繰り返し続く
  • 糖尿病、高血圧、肥満も指摘されている
  • 肝機能異常や脂肪肝がある
  • 生活習慣を見直しても改善しない
  • 家族に著しい脂質異常症や若年での心筋梗塞が多い
  • 服用中の薬が影響していないか気になる

受診先は、まず内科で問題ありません。今回の健康診断結果に加えて、過去の健診結果やお薬手帳があればお持ちください。

よくある質問

Q.食事だけで改善できますか?

軽度から中等度の高値であれば、食事、飲酒、運動、減量によって改善する方は少なくありません。一方、病気や薬が原因の場合は、その治療や調整も必要です。

Q.再検査はいつ受ければよいですか?

軽度の高値で緊急性がなければ、食事や飲酒などを見直し、1〜3か月程度を目安に再検査することがあります。再検査の時期は、数値や基礎疾患によって異なります。

Q.薬は一度始めると一生飲み続けますか?

必ずしも一生続けるとは限りません。体重、飲酒量、糖尿病などの改善によって、薬を減らしたり中止できたりする場合があります。一方、遺伝的な体質や心血管リスクが高い方では、長期的な治療が必要です。

Q.中性脂肪とコレステロールは違いますか?

どちらも脂質ですが、役割が異なります。中性脂肪は主に体を動かすためのエネルギーの蓄えで、コレステロールは細胞膜やホルモンなどの材料です。高すぎる場合のリスクや治療方法も異なるため、両方を一緒に評価します。

まとめ

中性脂肪が一度だけ軽く高かったからといって、すぐに薬が必要とは限りません。一方で、「症状がないから」と毎年放置するのはおすすめできません。

まずは採血が空腹時だったかを確認し、甘い飲み物、飲酒量、食べ過ぎ、体重増加を見直しましょう。高値が続く場合には、中性脂肪だけでなく、血糖値、コレステロール、肝機能、腎機能などを含めた評価が必要です。

参考文献


この記事の執筆・監修者

高崎市の乾小児科内科医院 院長 乾恵輔

乾 恵輔(いぬい けいすけ) 乾小児科内科医院 院長

【保有資格】

  • 日本循環器学会認定 循環器専門医
  • 日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医
  • 日本内科学会認定 総合内科専門医

院長よりメッセージ: 中性脂肪は食事やお酒の影響を受けやすく、一度高かっただけで慌てる必要はありません。ただ、毎年続いている場合は、血糖値や肝臓、コレステロールも含めて一度確認しておくと安心です。


【脂質異常症・生活習慣病外来のご案内】 

健康診断で中性脂肪の高値を指摘された方、毎年同じ指摘が続いている方は、当院の内科へご相談ください。糖尿病専門医・循環器専門医が、中性脂肪だけでなく血糖値やコレステロール、肝機能なども含めて総合的に評価します。

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