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「糖尿病はやせれば治る」は本当?減量で目指せる「寛解」とは

2026/09/15
糖尿病はやせれば治る?減量で目指せる寛解について解説する記事のアイキャッチ。体型が変化する男性のイラストと膵臓のイラストを示す

「糖尿病はやせれば治りますか?」

「薬を飲んで血糖値がよくなったので、もう通院しなくても大丈夫ですか?」

糖尿病の診療をしていると、こうした質問をよく受けます。

結論からいうと、体重が多めの2型糖尿病では、減量によって薬を使わなくても血糖値がよい状態を保てることがあります。これを糖尿病の「寛解(かんかい)」といいます。

ただし、寛解は完全に治って二度と血糖値が上がらないという意味ではありません。体重が戻るなどのきっかけで、再び血糖値が上がることもあります。

糖尿病にはいくつかの種類があります。この記事では、その中で最も多く、生活習慣や体質などが関係する「2型糖尿病」について解説します。

目次(押すと目次が出ます)

糖尿病の「寛解」とは

糖尿病の血糖値が改善した状態を、すべて寛解と呼ぶわけではありません。

HbA1cとは、過去1~2か月ほどの平均的な血糖状態を示す数値です。国際的な基準では、糖尿病の薬を使用していない状態で、HbA1c 6.5%未満が少なくとも3か月以上続いていることが、2型糖尿病の寛解の目安とされています。

薬を飲みながらHbA1cが6.5%未満になっていても、寛解ではありません。

薬によって血糖値が良好にコントロールされている状態です。血糖値がよくなっても、自己判断で薬を中止しないようにしてください。

糖尿病の寛解の定義を示す図解。糖尿病の薬を使わない・HbA1c6.5%未満・3か月以上続く、の3条件を満たすと寛解となり、寛解後も定期検査が必要であることを示す

なぜ、やせると糖尿病が改善するのか

血糖値を下げるインスリンというホルモンは、すい臓から分泌されます。2型糖尿病では、主に次の2つが組み合わさって血糖値が上がります。

  • インスリンが十分に分泌されない
  • インスリンが効きにくくなる

肥満、特に内臓脂肪の蓄積は、インスリンを効きにくくする大きな要因のひとつです。減量によって内臓脂肪や肝臓にたまった脂肪が減ると、インスリンが働きやすくなり、血糖値の改善が期待できます。

一方、日本人の糖尿病では、肥満が目立たなくてもインスリンを分泌する力が弱くなっている方が少なくありません。このような場合には、やせることが必ずしも治療の中心になるとは限りません。

「糖尿病になったら、とにかくやせればよい」というわけではなく、その人の体格や糖尿病の状態に合わせて治療を考えることが大切です。

どのくらいやせると効果が期待できる?

減量による効果は、減らした体重が多いほど大きくなる傾向があります。ただし、5%減量すれば必ず寛解する、10%減量すれば糖尿病が治る、という明確な境界線があるわけではありません。

減量の目安が現在の体重の5〜10%であることを示す図解。5%減量で血糖値・血圧・脂質の改善が期待でき、10%以上減量すると発症から早い糖尿病では寛解の可能性が高まることを示す。体重75kgの場合の具体例(5%=約4kg、10%=7.5kg)も示す

最初から標準体重を目指すのではなく、まず現在の体重から何%減らすかを考える方が現実的です。

英国で新たに2型糖尿病と診断された867人を追跡した研究では、診断後1年以内に体重を10%以上減らした人は、体重がほとんど変わらなかった人と比べて、5年後に寛解している割合が1.77倍でした。

ここでいう「1.77倍」は、10%減量した人の77%が寛解したという意味ではありません。減量幅が大きいほど寛解に近づきやすく、糖尿病と診断されてから早い時期の減量が重要であることを示す結果です。

寛解しやすいのはどのような人?

減量による寛解は、すべての糖尿病患者さんに同じように期待できるわけではありません。一般に、糖尿病と診断されてからの期間が短く、インスリンを分泌する力が比較的保たれており、体重が多めの人ほど寛解を目指しやすいと考えられています。

別の英国の研究では、糖尿病と診断されてから比較的早い人が、医療者の支援を受けて減量に取り組みました。その結果、2年後には36%が寛解していました。

一方、2年後に寛解していた人のうち、5年後も寛解を維持できていたのは26%でした。寛解を長く保つには、減らした体重を維持することが重要だと分かります。

寛解を長く保つには、減量後の体重維持が大切

糖尿病を改善したいからといって、極端な食事制限を自己流で始める必要はありません。無理なく続けられ、減らした体重を保ちやすい方法を選ぶことが大切です。

基本は、食事の量や内容を見直し、日常生活の中で体を動かす機会を増やすことです。糖尿病の状態や肥満の程度によっては、体重減少が期待できる糖尿病治療薬や、肥満症に対する治療を検討することもあります。

減量の目標は一律ではありません。年齢、現在の体重、筋肉量、治療中の病気などを踏まえて、一人ひとりに合った目標を決めます。

食事と運動については、次の記事でも詳しく解説しています。

寛解しても定期検査は必要です

体重が増えたり、年齢とともにインスリンを分泌する力が低下したりすると、寛解後でも血糖値が再び糖尿病の範囲に戻ることがあります。

また、過去に高血糖が続いていた方では、寛解後も目や腎臓、神経、心臓や血管の状態を確認していく必要があります。

「薬を飲まなくてよくなったから通院も終わり」ではなく、HbA1cや体重、合併症の検査を定期的に続けることが大切です。

まとめ

体重が多めの2型糖尿病では、減量によって血糖値が大きく改善し、薬を使用しなくてもHbA1c 6.5%未満を保てる「寛解」に至ることがあります。

まず5%程度の減量でも血糖値などの改善が期待でき、10%以上減量できると寛解の可能性がさらに高まります。特に、糖尿病と診断されてからあまり時間がたっていない方では、早めに体重管理へ取り組む意義があります。

血糖値が改善しても薬を自己判断で中止せず、寛解後も定期的な検査を続けましょう。

参考文献


この記事の執筆・監修者

高崎市の乾小児科内科医院 院長 乾恵輔

乾 恵輔(いぬい けいすけ) 乾小児科内科医院 院長

【保有資格】

  • 日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医
  • 日本循環器学会認定 循環器専門医
  • 日本内科学会認定 総合内科専門医

院長よりメッセージ: 「やせれば治る」と単純に考えず、ご自身の糖尿病のタイプや状態に合った治療方針を一緒に考えていきましょう。気になることがあれば、お気軽にご相談ください。


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