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ワクチンの種類と仕組みは?生ワクチン・不活化・mRNAの違いと作り方を解説

2026/10/06
ワクチンの種類と仕組みを、生ワクチン・不活化ワクチン・mRNAワクチンの違いでわかりやすく解説するアイキャッチ画像

「ワクチンを接種すると、どうして病気を予防できるの?」「何回も接種するのはなぜ?」。予防接種を受けるとき、こんな疑問を持ったことはありませんか。

ワクチンは、感染する前に病原体の特徴をからだに覚えさせ、発症や重症化に備えるものです。この記事では、免疫がつく仕組みと複数回接種する理由、ワクチンの種類による違いを解説します。ニワトリの卵を使う、インフルエンザワクチンの作り方も紹介します。

目次(押すと目次が出ます)

ワクチンはどうやって病気を予防する?

私たちのからだには、ウイルスや細菌などの「病原体」に対抗する、免疫という仕組みがあります。免疫には、出会った病原体の特徴を覚える働きがあり、同じ病原体が再び入ってきたときに素早く対応できます。

ワクチンは、この「免疫の記憶」を利用します。病原性を弱めた病原体や、感染力をなくした病原体、その一部などを使い、感染する前にからだに特徴を覚えさせます。

ワクチンで免疫が準備される仕組みのイラスト。ワクチンを接種すると、免疫細胞が病原体の特徴を覚え、本物の病原体が入ってきたときに素早く対応して、発症や重症化を防ぐ

こうしてあらかじめ備えることで、実際に病原体が入ってきたときに、抗体や免疫細胞が対応しやすくなります。

ワクチンの効果は、「感染しなくなること」だけではありません。病気を発症するリスクを下げたり、感染しても重症化しにくくしたりする効果もあります。どのような効果がどれくらい期待できるかは、ワクチンによって異なります。

なぜワクチンは複数回接種するの?

複数回接種する主な理由は、十分な免疫をつけることと、ついた免疫を維持することです。

1回の接種では免疫が十分につかないことがあるため、何回かに分けて接種するワクチンがあります。また、免疫が時間とともに弱くなる場合には、追加接種で免疫を補います。

例えば、麻しん・風しんを予防するMRワクチンの2回目には、より強い免疫をつけることに加えて、1回目で十分な免疫がつかなかった方に免疫をつける意味があります。

「何回も接種するから効果が弱い」というわけではありません。必要な回数と間隔で受けることで、そのワクチンの効果を引き出します。接種回数は年齢や過去の接種歴によっても異なるため、母子健康手帳や接種記録を確認しましょう。

ワクチンの主な種類と違い

ワクチンには、病原体そのものを使うもの、病原体の一部を使うもの、タンパク質を作るための情報を届けるものなどがあります。ここでは、使う成分や仕組みの違いに注目して紹介します。

種類使うもの・仕組み
生ワクチン病原性を弱めた、生きたウイルスや細菌を使う
不活化ワクチン感染力をなくした病原体や、その一部を使う
トキソイド細菌が出す毒素を無毒化して使う
組換えタンパクワクチン遺伝子組換え技術で作った病原体のタンパク質などを使う
mRNAワクチン病原体のタンパク質を作るための情報を届ける

生ワクチン:病原性を弱めた病原体を使う

生ワクチンは、生きたウイルスや細菌の病原性を弱めたものです。接種後、弱毒化された病原体が体内で増殖し、自然感染に近い形で免疫をつけます。

MR、水痘、BCGなどが、この種類にあたります。鼻に噴霧するインフルエンザワクチン「フルミスト」も生ワクチンです。詳しくは、フルミストの効果・対象年齢・注射との違いをご覧ください。

ワクチンによっては、接種からしばらくたって発熱や発疹などが出ることがあります。また、妊娠中や免疫機能が低下している方などには接種できないことがあるため、病気や治療内容に応じた確認が必要です。

不活化ワクチン:感染力をなくした病原体や、その一部を使う

不活化ワクチンは、感染力をなくしたウイルスや細菌、またはその一部を使います。生ワクチンと異なり、接種した病原体が体内で増殖することはありません。

注射のインフルエンザワクチン、日本脳炎、A型肝炎、不活化ポリオなどがあります。十分な免疫をつけ、維持するために、複数回の接種や追加接種が必要なものがあります。

肺炎球菌やヒブのように、細菌の表面にある糖の成分を利用するワクチンもあります。これらも、体内で病原体が増殖するタイプではありません。

トキソイド:細菌が出す毒素への免疫をつける

破傷風やジフテリアでは、細菌が出す毒素が病気を引き起こします。

トキソイドは、この毒素を無毒化し、免疫をつける働きを残したものです。接種によって、毒素の働きを抑える抗体を作ります。破傷風やジフテリアの成分は、五種混合や二種混合などの混合ワクチンにも含まれています。

組換えタンパクワクチン:病原体のタンパク質などを作って使う

組換えタンパクワクチンは、遺伝子組換え技術を使って作った、病原体のタンパク質などを利用します。病原体の特徴となる成分を、酵母などに作らせて使う方法です。

例えば、B型肝炎ワクチンには、酵母を使って作ったウイルスの表面のタンパク質が使われています。HPVワクチン、帯状疱疹を予防するシングリックス、一部の新型コロナワクチンにも、この技術が使われています。詳しくは、帯状疱疹ワクチン2種類の違いをご覧ください。

mRNAワクチン:タンパク質の「設計図」を届ける

mRNAワクチンは、病原体のタンパク質を作るための情報を届けます。mRNAは、タンパク質の「設計図」にあたるものと考えるとわかりやすいでしょう。

接種後、細胞がこの情報をもとに病原体のタンパク質の一部を作ります。免疫は、そのタンパク質を目印として覚え、病原体に備えます。

新型コロナのmRNAワクチンでは、ウイルスの表面にある「スパイクタンパク質」の情報を使います。ウイルスそのものを投与するワクチンではありません。詳しくは、2026年の新型コロナワクチンの種類をご覧ください。

インフルエンザワクチンはどう作られる?

注射のワクチンでは、ニワトリの卵を使う

日本で広く使われている注射のインフルエンザHAワクチンは、ニワトリの有精卵を使って作られます。

使うのは、発育途中の「発育鶏卵」です。ウイルスは生きた細胞の中で増えるため、卵の中の細胞を利用して、製造に必要なウイルスを増やします。

製造の流れは、おおまかに次のようになります。

  1. 発育鶏卵に製造用のウイルスを入れ、増やす。
  2. ウイルスを含む液を回収し、濃縮・精製する。
  3. ウイルスを処理して感染力をなくし、免疫をつけるために必要な成分を取り出す。
  4. 成分量などを調整して容器に充填し、品質を確認して出荷する。
注射のインフルエンザワクチンができるまでの4つの工程のイラスト。卵の中でウイルスを増やし、回収して精製し、感染力をなくして必要な成分を取り出し、品質を確認して出荷する

卵の確保から製造、品質の確認までには時間がかかります。そのため、急に需要が増えても、すぐに供給量を増やすことは難しいのです。

卵を使わない製造方法もある

海外では、培養した細胞でウイルスを増やす「細胞培養」や、遺伝子組換え技術で必要なタンパク質を作る方法によるインフルエンザワクチンも使われています。

これらは鶏卵の確保に依存せずに製造できる方法ですが、どの方法でも、製造設備や品質の確認が必要です。

なお、鼻に噴霧するフルミストは、弱毒化したウイルスを使う生ワクチンです。同じインフルエンザを予防するワクチンでも、注射の不活化ワクチンとは仕組みが異なります。詳しくは、インフルエンザ予防接種の時期と回数をご覧ください。

予防接種について迷ったらご相談ください

必要なワクチンは、年齢や持病、これまでの接種歴、妊娠の予定、渡航先などによって異なります。

当院では、お子さんから大人まで、予防接種のご相談に対応しています。「何を接種すればよいかわからない」「接種の途中で間が空いてしまった」という場合も、母子健康手帳や接種記録をお持ちのうえご相談ください。

参考文献・参考資料


この記事の執筆・監修者

高崎市の乾小児科内科医院 院長 乾恵輔

乾 恵輔(いぬい けいすけ) 乾小児科内科医院 院長

【保有資格】

  • 日本循環器学会認定 循環器専門医
  • 日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医
  • 日本内科学会認定 総合内科専門医

院長よりメッセージ: ワクチンは、仕組みを知ると「なぜこの回数なのか」「なぜこの間隔なのか」が見えてきます。副反応や持病との兼ね合いなど、気になることがあれば遠慮なくご質問ください。


【予防接種のご案内】 

当院では、お子さんの定期接種から、大人のインフルエンザ・新型コロナ・帯状疱疹・肺炎球菌などのワクチンまで、予防接種のご相談に対応しています。年齢や持病、これまでの接種歴を確認したうえで、必要なワクチンをご案内します。

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