血圧が下がらないのは睡眠時無呼吸が原因?高血圧との関係と検査の目安
最終更新日:2026年9月8日
高血圧の薬をきちんと飲み、食事にも気をつけているのに、なかなか血圧が下がらない。特に朝の血圧が高い——。その背景に、睡眠時無呼吸症候群が隠れていることがあります。
睡眠時無呼吸症候群は、眠っている間に呼吸が止まったり浅くなったりする病気です。いびきや日中の眠気だけでなく、夜間や早朝の血圧を上げる原因になることがあります。血圧の薬を調整するだけでなく、睡眠中の呼吸を確認することで、これまで見えていなかった原因が見つかるかもしれません。
このような高血圧では、睡眠時無呼吸症候群を疑います
次のような方は、一度医師に相談してみてください。
- 高血圧の薬を複数飲んでも、血圧が目標まで下がらない
- 診察室の血圧より、起床後に測った家庭血圧が高い
- 夜間も血圧が下がっていないと指摘された
- 高血圧に加えて肥満がある
- 家族から大きないびきや睡眠中の呼吸停止を指摘される

一般に、利尿薬を含む3種類以上の降圧薬を使用しても血圧が十分に下がらない場合は、「治療抵抗性高血圧」と呼ばれる状態が疑われます。このような方では、睡眠時無呼吸症候群がないか確認することが推奨されています。
一方で、いびきや日中の眠気が目立たない方もいます。「昼間は眠くないから大丈夫」とは限りません。血圧の経過や体格、持病なども合わせて判断します。
睡眠時無呼吸症候群を疑う症状や、なりやすい方については、「睡眠時無呼吸症候群を疑う症状は?なりやすい人・検査の目安を医師が解説」で詳しく説明しています。
睡眠時無呼吸症候群は、高血圧の原因になることがあります
高血圧の多くは、遺伝的な体質や加齢、塩分のとりすぎ、肥満、運動不足など、複数の要因が重なって起こります。一方で、別の病気が原因となって血圧が上がる「二次性高血圧」もあります。
睡眠時無呼吸症候群は、その代表的な原因の一つです。日本循環器学会のガイドラインでも、睡眠時無呼吸症候群は高血圧と合併しやすく、特に治療抵抗性高血圧を含む、コントロール不良の高血圧では重要な原因として挙げられています。
もちろん、血圧が高いからといって、すべての方に睡眠時無呼吸症候群があるわけではありません。しかし、高血圧の治療がうまくいかないときに見落としたくない病気です。
なぜ無呼吸で血圧が上がるのでしょうか
通常、眠っている間は体が休息モードになり、血圧は日中より下がります。
ところが、睡眠中に呼吸が止まって血液中の酸素が減ると、体は酸素不足を補おうとして交感神経を活発にします。脳も短い覚醒を繰り返すため、呼吸が再開するたびに心拍数と血圧が急に上がります。これが一晩に何度も繰り返されます。
そのため、睡眠時無呼吸症候群がある方では、次のような血圧の変化がみられることがあります。
- 本来は下がるはずの睡眠中の血圧が下がりにくい
- 夜間から早朝にかけて血圧が高くなる
- 降圧薬を複数使用しても目標まで下がりにくい
夜間の低酸素や血圧上昇が続くと、心臓や血管への負担が増します。睡眠時無呼吸症候群は、高血圧だけでなく、心房細動、心不全、冠動脈疾患、脳卒中などとも関係するため、循環器診療の面からも重要な病気です。

まずは朝と夜の家庭血圧を確認しましょう
夜間の血圧を正確に調べるには、睡眠中も自動的に測定する24時間血圧計などが必要です。朝の家庭血圧だけで、夜間の血圧を直接測ったことにはなりません。
ただし、起床後の家庭血圧は、高血圧の状態を把握するための重要な情報です。朝は、起床後1時間以内、排尿後、朝食や降圧薬の前に、座って安静にしてから測定します。夜も就寝前に測り、記録を受診時にお持ちください。
家庭血圧が高いからといって、睡眠時無呼吸症候群だけが原因とは限りません。薬の効き方、服薬状況、塩分摂取、腎臓やホルモンの病気なども確認しながら原因を考えます。
睡眠時無呼吸症候群の検査は自宅で始められます
睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合、まず診察で症状や持病、服用中の薬などを確認します。そのうえで、必要に応じて自宅で簡易検査を行います。
簡易検査では、小型の機器をつけて眠り、呼吸の状態や血液中の酸素濃度などを記録します。結果が明らかな場合は治療について相談し、さらに詳しい評価が必要な場合は精密検査へ進みます。当院では精密検査も自宅で行うことができ、入院での検査が適している場合には連携医療機関をご紹介します。
どの検査を受けるべきかを患者さん自身で決める必要はありません。診察と簡易検査の結果をもとにご案内します。
CPAPを始めると血圧も下がりますか?
中等症から重症の閉塞性睡眠時無呼吸症候群では、CPAP(シーパップ)が代表的な治療です。眠っている間、鼻につけたマスクから空気を送り、気道がふさがるのを防ぎます。
CPAPを適切に使用すると、無呼吸や低酸素が減り、日中の眠気や睡眠の質が改善することがあります。血圧についても、平均すると低下幅は数mmHg程度ですが、夜間高血圧や治療抵抗性高血圧、重症の睡眠時無呼吸症候群では、より大きな改善が得られることがあります。
ただし、効果には個人差があります。CPAPは高血圧の薬そのものではなく、始めれば必ず降圧薬が不要になるわけでもありません。また、短時間つけるだけでは十分な効果を得にくいため、できるだけ毎晩、長く使い続けることが大切です。
治療後も家庭血圧を記録し、血圧が下がってきた場合は、その値を確認しながら医師が降圧薬を調整します。自己判断で薬を減らしたり、中止したりしないでください。
CPAPの適応は、症状だけでなく検査結果をもとに判断します。保険診療における基準については、「睡眠時無呼吸症候群の治療(CPAP)基準が変わりました」もご覧ください。
CPAPだけでなく、生活習慣と高血圧の治療も続けます
睡眠時無呼吸症候群と高血圧を合併している場合、どちらか一方だけを治療すればよいわけではありません。
肥満がある方の減量、節酒、禁煙、減塩などは、睡眠時無呼吸症候群と高血圧の両方にとって重要です。必要な降圧薬を継続しながら、睡眠時無呼吸症候群の重症度に応じてCPAPやマウスピースなどの治療を組み合わせます。
血圧が十分に下がらないときは、薬の調整と並行して、血圧を上げる別の原因がないか見直すことが大切です。
高血圧そのものの基準値や治療の考え方全般については、「高血圧とは?基準値・症状・治療と受診の目安を循環器専門医が解説」もあわせてご覧ください。
参考資料
この記事の執筆・監修者

乾 恵輔(いぬい けいすけ) 乾小児科内科医院 院長
【保有資格】
- 日本循環器学会認定 循環器専門医
- 日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医
- 日本内科学会認定 総合内科専門医
院長よりメッセージ: 薬を増やしても血圧が下がりにくいときこそ、睡眠中の呼吸を確認してみる価値があります。血圧と睡眠の問題をあわせて診られるのが当院の強みですので、お気軽にご相談ください。
【高血圧・睡眠時無呼吸症候群(SAS)のご相談】
複数の薬を飲んでも血圧が下がりにくい方、朝の血圧が高い方、いびきや無呼吸を指摘されている方は、睡眠中の呼吸を一度調べてみることをおすすめします。乾小児科内科医院では、高血圧を含む循環器疾患の診療と、睡眠時無呼吸症候群の検査・治療を行っています。血圧と睡眠の問題を分けずに確認できますので、気になる方はご相談ください。
受診をご希望の方は、WEB事前受付をご利用いただくとスムーズです。当日、症状について確認したいことがある場合は、お電話でもお問い合わせいただけます。



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