血圧は1日の中でどう変わる?朝・夜の変動と注意したいパターンを循環器専門医が解説
「この前、血圧を測ったら150くらいありました。大丈夫でしょうか?」
診察室で、よくいただく質問です。
血圧が一度150mmHgだっただけで、高血圧と決まるわけではありません。血圧は運動、緊張、睡眠、食事、気温などの影響を受け、1日の中でも変化しているからです。
まずは1~2分座って休み、もう一度測ってみましょう。その後、朝と夜の家庭血圧を数日間記録します。家庭血圧の平均が135/85mmHg以上の状態が続く場合は、高血圧が疑われる目安になるため、記録を持って医療機関へ相談してください。
血圧には、朝だけ高い、睡眠中に下がらないなど、注意したいパターンもあります。この記事では、血圧が変動する理由、家庭で気づきやすい変化、正しい測り方について循環器専門医が解説します。

目次(押すと目次が出ます)
血圧はいつも同じではありません
血圧は、心臓から送り出された血液が血管の壁を押す力です。体を動かしたり緊張したりすると、筋肉や臓器へ血液を送るために血圧は上がります。反対に、休んでいるときや睡眠中には下がるのが一般的です。
血圧の変動は、大きく次の3つに分けて考えると分かりやすくなります。
| 変動の種類 | 主な内容 |
|---|---|
| 1日の中での変動 | 朝、昼、夜、睡眠中で変化する |
| 日による変動 | 睡眠、ストレス、運動、飲酒、体調などで変化する |
| 季節による変動 | 一般に冬は高く、夏は低くなる傾向がある |
1日の中では、活動する昼間に血圧が上がり、睡眠中には下がるのが標準的なパターンです。こうした約1日周期のリズムを「サーカディアンリズム(概日リズム)」といいます。
血圧だけでなく、心拍数、体温、ホルモン分泌、睡眠と覚醒なども、この体内時計の影響を受けています。
家庭で気づきやすいのは「朝の血圧が高い」パターン
起床前後に血圧が上昇すること自体は、体が活動を始めるための自然な反応です。ただし、朝の血圧が高い状態が続く場合は「早朝高血圧」と呼ばれ、注意が必要です。
早朝高血圧には、睡眠中から朝まで血圧が高いままのタイプと、起床前後に血圧が急上昇するタイプがあります。後者は「モーニングサージ」と呼ばれます。
一般的な家庭血圧で確認できるのは「朝の血圧が高い状態が続いているかどうか」です。睡眠中から起床後までの上昇幅をみるモーニングサージの正確な評価には、睡眠中を含めた血圧測定が必要です。
睡眠中の血圧には4つのタイプがあります

昼間と睡眠中の血圧を比べると、日内変動は次の4つに分類されます。
| タイプ | 睡眠中の血圧 |
|---|---|
| 標準型(dipper) | 昼間より10~20%低下する |
| 夜間の低下が少ない型(non-dipper) | 低下が0~10%にとどまる |
| 夜間の低下が大きい型(extreme-dipper) | 20%を超えて低下する |
| 夜間上昇型(riser) | 昼間より睡眠中のほうが高くなる |
特に、睡眠中に血圧が十分下がらない型や夜間上昇型では、標準型と比べて脳卒中や心血管疾患が多いことが報告されています。睡眠時無呼吸症候群、腎臓病、糖尿病による自律神経障害、心不全、睡眠不足などが背景に隠れている場合もあります。
夜間の血圧が大きく下がる型も、年齢や動脈硬化の程度、降圧薬の内容などによって評価が異なります。血圧は睡眠中に下がるほどよいわけではなく、その人の状態に合わせて判断します。
4つのタイプは通常の家庭血圧だけでは判定できません
これらは、睡眠中の血圧が昼間より何%下がったかによる分類です。そのため、一般的な家庭血圧計で朝と寝る前に測るだけでは、正確に判定できません。
必要な場合には、腕に血圧計を装着したまま日常生活を送り、昼間から睡眠中まで一定の間隔で測定する24時間自由行動下血圧測定(ABPM)などを行います。
ABPMはすべての方に行う検査ではありません。家庭血圧だけでは状態を説明しにくい場合、治療をしても血圧が安定しない場合、睡眠時無呼吸症候群や腎臓病などから夜間高血圧が疑われる場合に検討します。
血圧は季節によっても変化します
血圧は、春から夏にかけて低くなり、秋から冬にかけて高くなる傾向があります。
冬は寒さによって血管が収縮するほか、運動量の低下や塩分の多い食事なども血圧上昇に関係します。季節による差は平均すると数mmHg程度ですが、個人差が大きく、冬になると10mmHg以上上がる方もいます。冬の血圧対策や、薬を見直す目安については、別記事「寒くなると血圧が上がる?冬の高血圧対策と薬を見直す目安」で解説しています。
また、暖かい部屋から寒い脱衣所や浴室へ移動すると、血圧が急に上がります。そのまま熱い湯船につかると、今度は血圧が大きく下がることがあります。脱衣所や浴室をあらかじめ暖め、熱すぎるお湯や長湯を避けるなど、温度差を小さくすることが大切です。
反対に、夏は発汗や食欲低下による脱水で血圧が下がり、降圧薬が効きすぎたような状態になることがあります。立ちくらみやふらつきがある場合には、家庭血圧を記録して主治医へ相談してください。
ただし、熱中症対策として日常的に塩分を増やすと、血圧が上がる原因になります。通常の生活では減塩を続け、炎天下での作業や運動で大量に汗をかいた場合に限り、水分とともに失った塩分を適切に補います。
家庭血圧の正しい測り方

血圧の傾向を把握するためには、診察室での測定だけでなく、家庭血圧を記録することが重要です。診察室でだけ血圧が高くなる白衣高血圧のように、診察室の値だけでは分からないこともあります。
朝は、起床後1時間以内に排尿を済ませ、朝食や降圧薬の服用前に測ります。夜は、入浴、飲酒、食事の直後を避け、寝る前の落ち着いた時間に測りましょう。
測定するときは、背もたれのある椅子に座り、脚を組まずに両足を床につけます。1~2分安静にしてから、腕の力を抜き、カフを心臓と同じ高さにして測定します。
血圧計は、手首式よりも上腕にカフを巻くタイプが推奨されます。カフはしっかり巻きます。薄手のシャツはその上からでもかまいませんが、厚手の服は脱ぐ必要があります。上着を強くまくり上げると、まくり上げた上側が締め付けられてしまうため、おすすめできません。
朝と夜にそれぞれ原則2回測り、測定値はすべて記録します。1回目だけ高くても消さずに残してください。血圧は測るたびに多少変わるため、できるだけ同じ時間、同じ姿勢、同じ条件で続けることが大切です。
数値が少し違うたびに一喜一憂する必要はありません。診察では、1回の数値よりも数日間の平均値や変化の傾向を確認します。スマートフォンのアプリや血圧手帳を使うと記録を続けやすくなります。記録の意義や続けるコツは、家庭血圧はなぜ必要?正しい測り方・測る時間・記録のコツでも詳しく解説しています。
薬は家庭血圧の記録をもとに調整します
家庭血圧の記録をもとに、季節や時間帯に合わせて薬の種類、量、服用時間を調整することがあります。冬に血圧が全体的に上がる場合や、夏に血圧が下がってふらつく場合などは、治療内容を見直します。
ただし、家庭血圧を見て自分の判断で薬を増減したり、服用時間を変更したりしてはいけません。血圧だけでなく、年齢、腎機能、脱水の有無、ほかの薬との組み合わせなども確認したうえで調整します。減量や中止を検討できる場合については、血圧の薬は一度飲み始めたらやめられない?で解説しています。
また、降圧薬を一律に夜へ変更したほうがよいわけではありません。朝と夜の服用を比較した大規模試験では、心筋梗塞や脳卒中などの発症に明確な差は示されませんでした。服用時間は、薬の種類や血圧のパターン、生活に合わせて決めます。
まとめ
血圧は、1日の時間帯、体調、生活、季節によって変化します。一度だけ高い数値が出ても、それだけで高血圧とは判断できません。朝と夜の家庭血圧を正しい方法で数日間測り、平均が135/85mmHg以上の状態が続く場合は、記録を持って医療機関へ相談しましょう。
睡眠中に血圧が下がらないタイプや、睡眠中に上がるタイプは、通常の家庭血圧だけでは分かりません。必要に応じて睡眠中を含めた血圧を調べ、睡眠時無呼吸症候群や腎臓病などの背景も含めて評価します。
参考文献
- 日本高血圧学会高血圧管理・治療ガイドライン委員会編. 高血圧管理・治療ガイドライン2025. 日本高血圧学会, 2025.
- McEvoy JW, et al. 2024 ESC Guidelines for the management of elevated blood pressure and hypertension. Eur Heart J. 2024;45:3912-4018.
- 苅尾七臣. 仮面高血圧―病態と治療―. 日本内科学会雑誌. 2007;96:79-85.
- Mackenzie IS, et al. Cardiovascular outcomes in adults with hypertension with evening versus morning dosing of usual antihypertensives in the UK (TIME study). Lancet. 2022;400:1417-1425.
- Kollias A, et al. Seasonal blood pressure variation assessed by different measurement methods: systematic review and meta-analysis. J Hypertens. 2020;38:791-798.
- 日本高血圧学会. 減塩しながら酷暑を乗り切る!!熱中症を防ぐ6か条.
この記事の執筆・監修者

乾 恵輔(いぬい けいすけ) 乾小児科内科医院 院長
【保有資格】
- 日本循環器学会認定 循環器専門医
- 日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医
- 日本内科学会認定 総合内科専門医
院長よりメッセージ: 血圧は一度の測定では決められません。家庭血圧の記録をお持ちいただけると、朝だけ高いのか、季節によって変わるのかといった、その方の傾向がよく見えてきます。アプリでも血圧手帳でもかまいませんので、まずは数日分から始めてみてください。
【高血圧・循環器外来のご案内】
「家庭で血圧を測ると日によって数値がバラバラ」「朝だけ血圧が高い」「いつ測ればよいのか分からない」という方は、ご相談ください。
当院では循環器専門医が、家庭血圧の正しい測定方法や記録の見方から、血圧のパターンに合わせた治療まで丁寧にご説明します。いびきや日中の眠気を伴う場合には、睡眠時無呼吸症候群についてもあわせて評価します。
高崎駅西口から車で5分、徒歩9分です。正面と医院奥に計8台分の駐車場があります。
受診をご希望の方は、WEB事前受付をご利用いただくとスムーズです。当日、症状について確認したいことがある場合は、お電話でもお問い合わせいただけます。



© Inui pediatrics and internal medicine clinic

