寒くなると血圧が上がる?冬の高血圧対策と薬を見直す目安
「夏は落ち着いていたのに、最近は朝の血圧が高い」「夏に減らした薬を、元に戻した方がいいのかな」。寒くなってくると、こんな疑問を持つ方もいらっしゃると思います。
血圧は季節によって変わり、多くの方では夏より冬に高くなります。寒さに加えて、運動や食生活の変化も関係します。
冬の血圧対策では、部屋を暖めることや減塩とともに、朝と夜の家庭血圧を確認することが大切です。薬を戻すかどうかも、今の血圧と体調を見て判断します。この記事では、薬について相談したい目安と、冬に血圧が上がる理由、生活の中でできる対策をお伝えします。
目次(押すと目次が出ます)
冬に血圧が高くなったら、いつ相談すればいい?
治療中の方は、主治医と決めた目標を確認しましょう
高血圧で治療中の方は、まず、ご自身の家庭血圧の目標を確認しましょう。冬になって目標を上回る日が続くようなら、治療を見直すタイミングです。
日本高血圧学会の「高血圧管理・治療ガイドライン2025」では、家庭血圧の一般的な治療目標を「上の血圧で125mmHg未満、かつ下の血圧で75mmHg未満」としています。ただし、実際には持病や体調、ふらつきの有無なども見ながら、無理なく目指せるように調整します。
目標が分からない方は、次の診察で「家で測る血圧は、どのくらいを目指せばいいですか」と聞いてみてください。
一度高い値が出ただけで、すぐに薬を増やすとは限りません。一方、同じように測っても目標を上回る日が何日も続く場合は、記録をもとに相談しましょう。次回の受診まで間がある場合は、受診を早めた方がよいか、お電話でご相談ください。
まだ治療を受けていない方は、家庭血圧の平均が目安です
健診で血圧が高めと言われた方も、朝と夜の家庭血圧を測ってみましょう。家庭血圧の平均が「上の血圧で135mmHg以上、または下の血圧で85mmHg以上」であれば、受診する目安になります。
これは、高血圧かどうかを判断するための基準です。すでに治療中の方は、135/85mmHg未満でも、ご自身の治療目標を上回っていれば相談の対象になります。
| 対象 | 家庭血圧の目安 | どう考える? |
|---|---|---|
| まだ治療を 受けていない方 | 平均で 上の血圧135mmHg以上 または 下の血圧85mmHg以上 | 高血圧かどうか、受診して確認しましょう。 |
| 高血圧で 治療中の方 | 一般的な目標は上の血圧125mmHg未満 かつ 下の血圧75mmHg未満 | 主治医と決めた、ご自身の目標を確認しましょう。 |
※1回の値ではなく、数日間の傾向で判断します。治療目標は体調や持病などに応じて調整します。
受診したからといって、必ずその日から薬が始まるわけではありません。家庭血圧の傾向や健診結果、持病などを確認し、生活の見直しと薬の必要性を考えていきます。
相談するときは、できれば5~7日分の記録を
血圧は日によって上下するため、1回の数値より、数日間の傾向が参考になります。ガイドラインでは、家庭血圧の評価に原則7日間、少なくとも5日間の測定結果を用います。
相談するときは、できれば5~7日分の朝と夜の記録をお持ちください。朝だけ高いのか、夜も高いのか、夏と比べてどのくらい変わったのかが分かると、薬の調整を考えやすくなります。
普段より大幅に高い値が続く場合や、体調の変化がある場合は、記録がそろう前でも早めにご連絡ください。
夏に減らした薬は、冬になったら戻す?
夏に血圧が低くなり、主治医と相談して薬を減らした方では、寒くなってから再び調整が必要になることがあります。
ただし、「冬になったから戻す」と決まっているわけではありません。季節による血圧の変化には個人差があり、体重や食生活、家の暖かさも影響します。今の家庭血圧を確認し、生活の対策を続けながら、必要に応じて薬を調整します。
「去年はこの量だったから」と自己判断で元に戻したり、高かった日だけ追加で飲んだりするのは避けましょう。あらかじめ主治医から具体的な調整方法を伝えられている場合は、その指示に従ってください。
薬を減らしたり、やめたりできる場合の考え方については、別記事「血圧の薬は一度飲み始めたらやめられない?減量・中止を検討できる場合を医師が解説」で解説しています。
低い血圧や、ふらつきがある場合も相談してください
冬でも、血圧が下がりすぎることはあります。いつもより低い値が続く、立ち上がるとふらつく、薬を調整してからだるさが出た、といった場合も見直しが必要です。
症状が出た時間と、そのときの血圧を記録しておくと診察に役立ちます。薬の量は、高いときも低いときも、体調と測定結果を合わせて判断していきます。
夏の減塩や血圧管理、薬の調整については、別記事「高血圧の人は夏も減塩が必要?熱中症対策との両立を解説」で解説しています。
冬に血圧が上がるのはなぜ?
寒さで血管が縮むためです
寒い場所に出ると、体は熱を逃がさないように血管を縮めます。また、寒さの刺激によって、体を活動モードにする交感神経の働きも強まります。そのため、血圧が上がりやすくなるのです。
気をつけたいのは外の寒さだけではありません。朝の寝室や廊下、トイレなど、家の中の冷えも血圧に関係します。
運動不足や、食事・飲酒の変化も関係します
寒くなると、散歩や外出の機会が減りがちです。高崎では、からっ風が強い日に「今日は家で過ごそう」と思うこともありますね。
食事では、鍋の汁やおでん、温かい麺類などから、気づかないうちに塩分を多くとることがあります。年末年始の食べすぎや飲酒量の増加、体重の増加も、血圧が高くなる要因です。
最近の血圧が高いと感じたら、気温だけでなく、食事や体の動かし方が変わっていないかも振り返ってみましょう。
特に気をつけたいのは、朝と寒い場所への移動
朝は、体が眠っている状態から活動する状態へ切り替わる時間です。そこに寝室の冷えが重なると、血圧が上がりやすくなります。
起きてすぐに薄着で廊下へ出たり、冷え込む時間帯に散歩やごみ出しへ出かけたりしていませんか。暖かい部屋で上着や靴下を着けてから、ゆっくり動き始めましょう。

血圧の日内変動や季節変動については、別記事「血圧は1日の中でどう変わる?朝・夜の変動と注意したいパターンを循環器専門医が解説」で詳しく解説しています。
また、暖かいリビングから寒いトイレや脱衣所へ移るときも、血圧が変動します。普段いる部屋だけでなく、移動先の寒さにも目を向けてください。
入浴前には脱衣所や浴室を暖め、部屋との温度差を小さくする工夫が役立ちます。詳しくは、別記事「ヒートショックとは?冬の血圧変動と入浴事故を防ぐポイント」をご覧ください。
冬の血圧対策で、今日からできること
起きる前に、寝室や着替える場所を暖める
日本高血圧学会・日本循環器学会の冬の血圧に関する声明でも、起床前後に部屋を暖かく保つことが勧められています。国内の住宅調査では、室温が10℃低いと、朝の上の血圧が約8mmHg高いという関連が報告されています。
WHO(世界保健機関)の「住宅と健康に関するガイドライン」でも、冬の室温は少なくとも18℃を確保する考え方が示されています。高齢の方や心臓・呼吸器などに持病のある方では、さらに暖かい環境が必要な場合があります。
まずは室温計で、朝の寝室や着替える場所が冷え込んでいないか確認してみましょう。エアコンの設定温度と実際の室温は、必ずしも同じではありません。
暖房のタイマーを使って起床前に暖める、冷える窓に厚手のカーテンを使うなど、できる工夫を組み合わせてください。
鍋や汁物は、具を楽しんで汁を控えめに
日本高血圧学会は、高血圧の方に、食塩摂取量を1日6g未満にすることを勧めています。冬も減塩は大切です。
鍋をやめる必要はありません。野菜や豆腐、肉、魚などの具を楽しみ、汁を飲み干さない、つけだれを使いすぎない、といった工夫をしてみましょう。おでんの練り物や漬物など、塩分の多い食品が同じ食事に重なっていないかも確認してください。
汁物は具だくさんにして汁の量を減らす、しょうゆは少量をつける、酢や香味野菜で風味を足すといった方法も役立ちます。
年末年始も、食事を楽しみながら、つまみの塩分や飲酒量に気を配りましょう。体重もときどき確認すると、食べすぎに気づきやすくなります。
散歩は暖かい時間に。風の強い日は室内で
冬も、体を動かす習慣は続けたいものです。早朝の散歩が寒いなら、日中の暖かい時間に変えてみましょう。風の強い日は、室内で歩いたり、軽い体操をしたりする方法もあります。
まとまった運動が難しい方は、家事の合間に歩くなど、座りっぱなしの時間を減らすことから始めてください。運動はゆっくり始め、息を止めて強く力まず、無理なく続けられるものを選びましょう。
家庭血圧は、暖かい場所で朝と夜に測る
冬は、診察室の血圧が落ち着いていても、家では朝だけ高くなっていることがあります。朝と夜の記録を続けると、こうした変化に気づきやすくなります。
朝は起床後1時間以内に、トイレを済ませ、朝食や薬を飲む前に測ります。夜は就寝前に測り、どちらも椅子に座って1~2分落ち着いてから測定しましょう。日本高血圧学会は、朝晩それぞれ原則2回の測定を勧めています。
厚着のまま腕を締めつけたり、厚手の服の上からカフを巻いたりしないよう、暖かい部屋で測れる準備をしておくと安心です。高かった値も低かった値も記録し、ふらつきなどがあった日は、その様子も書いておきましょう。
詳しい方法は、別記事「家庭血圧はなぜ必要?正しい測り方・測る時間・記録のコツ」で解説しています。
参考文献
- 日本高血圧学会「高血圧管理・治療ガイドライン2025」
- Ohya Y, et al. The Japanese Society of Hypertension Guidelines for the management of elevated blood pressure and hypertension 2025 (JSH2025). Hypertens Res. 2026;49(1):9–235.
- 日本高血圧学会・日本循環器学会「緊急声明:冬こそ血圧朝活!―冷えとヒートショックから命を守るために―」(2025年12月8日)
- Umishio W, et al. Cross-Sectional Analysis of the Relationship Between Home Blood Pressure and Indoor Temperature in Winter: A Nationwide Smart Wellness Housing Survey in Japan. Hypertension. 2019;74(4):756–766.
- World Health Organization. WHO Housing and Health Guidelines. 2018.
- 日本高血圧学会「家庭で血圧を測定しましょう」
- 日本高血圧学会「さあ、減塩!」「ナトリウム(食塩)の減らし方と食塩の多い食品・料理」
※この記事は2026年10月時点の情報をもとに作成しています。
この記事の執筆・監修者

乾 恵輔(いぬい けいすけ) 乾小児科内科医院 院長
【保有資格】
- 日本循環器学会認定 循環器専門医
- 日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医
- 日本内科学会認定 総合内科専門医
院長よりメッセージ: 冬は、診察室では落ち着いていても、家で測ると朝の血圧が高くなっている方が少なくありません。部屋の暖かさや食事を少し見直すだけでも変わることがあります。家庭血圧の記録をお持ちいただければ、薬の調整が必要かどうか一緒に考えます。
【循環器内科のご案内】
冬の血圧管理では、家の暖かさや生活習慣と、家庭血圧の傾向を合わせて考えます。冬になって血圧が高くなった方や、夏に減らした薬の調整に迷っている方は、血圧手帳やアプリの記録、お薬手帳を持ってご相談ください。
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