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糖尿病とは?原因・症状・診断・治療を糖尿病専門医が解説

糖尿病とは?原因・症状・診断・治療を糖尿病専門医が解説するアイキャッチ画像。血糖測定器と、原因・症状・診断・治療の4つのアイコン、説明する医師のイラスト

「健康診断で血糖値やHbA1cが高いと言われた」

「糖尿病と診断されたけれど、どんな病気なのかよく分からない」

糖尿病というと、「甘いものを食べすぎたから」「太っているから」と考えられがちです。しかし、糖尿病にはいくつかの種類があり、すべてが生活習慣だけで起こるわけではありません。成人で最も多い2型糖尿病も、もともとの体質に、食事、運動量、体重、加齢など複数の要因が重なって発症します。

この記事では、糖尿病の全体像に触れながら、主に2型糖尿病の原因・症状・診断・治療について分かりやすく解説します。

目次(押すと目次が出ます)

糖尿病とは

糖尿病は血液中のブドウ糖が多い状態(高血糖)が慢性的に続く病気です。

糖尿病には1型糖尿病、2型糖尿病、ほかの病気や薬などが原因となる糖尿病、妊娠糖尿病など、いくつかの種類があります。「1型」「2型」という名前は、重症度や進行段階ではなく、糖尿病の種類を表しています。このうち、成人で最も多いのが2型糖尿病です。

2型糖尿病とは

食事から取り込まれた糖は、血液によって全身へ運ばれ、筋肉などの細胞でエネルギーとして使われます。このとき必要になるのが、すい臓から分泌される「インスリン」というホルモンです。

2型糖尿病では、主に次の2つが組み合わさって血糖値が上がります。

  • インスリン分泌の低下:必要な量のインスリンを十分に出せなくなる
  • インスリン抵抗性:インスリンが出ていても、筋肉や肝臓などで効きにくくなる
2型糖尿病で血糖値が上がる2つの仕組み。すい臓からインスリンが十分に出ない「インスリン分泌の低下」と、筋肉や肝臓でインスリンが効きにくい「インスリン抵抗性」が重なって血糖値が上がることを示した図

どちらが強いかは人によって異なります。肥満がありインスリンが効きにくくなっている方もいれば、太っていなくてもインスリンを出す力が低下して発症する方もいます。

1型糖尿病との違い

1型糖尿病と2型糖尿病は、どちらも血糖値が高くなる病気ですが、主な原因や経過が異なります。

1型糖尿病2型糖尿病
主な仕組みすい臓のβ細胞が壊れ、インスリンがほとんど出なくなるインスリンの分泌低下と効きにくさが組み合わさる
発症の仕方比較的急に発症するタイプが多いゆっくり進み、健診で見つかることが多い
発症年齢小児・若年に多いが、成人でも発症する中高年に多いが、若い世代にもみられる
主な治療インスリン治療が必要食事・運動・薬を状態に合わせて組み合わせる

年齢や体型だけで糖尿病の型を決めることはできません。経過やインスリン分泌能、必要に応じて自己抗体などを調べ、総合的に判断します。

2型糖尿病の原因

2型糖尿病は、遺伝的な体質と環境要因が重なって発症します。

家族に糖尿病の方がいると発症しやすくなりますが、「親が糖尿病なら必ず発症する」という意味ではありません。一方、家族歴がなくても、加齢、体重増加、運動不足、食生活の変化などが重なれば発症します。

また、2型糖尿病は肥満のある方だけの病気ではありません。日本人では、著しい肥満がなくても、インスリンを出す力の低下を背景に発症する方がいます。「太っていないから糖尿病ではない」とは限りません。

遺伝と発症リスクについては、糖尿病は遺伝する?親が糖尿病の人の発症リスクと今からできることで詳しく解説しています。

2型糖尿病は初期には症状がほとんどありません

2型糖尿病は、血糖値が少し高い段階では自覚症状がほとんどありません。そのため、健康診断や別の病気で行った血液検査をきっかけに見つかる方が多くいます。

血糖値がかなり高くなると、のどが渇く、水を多く飲む、尿の量や回数が増える、体重が減る、疲れやすいといった症状が現れます。ただし、症状がないことは、血糖値が正常であることを意味しません。

健診で異常を指摘された方は、健康診断で血糖値・HbA1cが高いと言われたら?もあわせてご覧ください。

糖尿病はどのように診断する?

糖尿病の診断には、血糖値とHbA1cを使います。HbA1cは、過去1〜2か月程度の平均的な血糖状態を反映する指標です。

糖尿病型の主な基準は次のとおりです。

検査糖尿病型の基準
空腹時血糖値126mg/dL以上
75gブドウ糖負荷試験2時間値200mg/dL以上
随時血糖値200mg/dL以上
HbA1c6.5%以上

これらは「糖尿病型」の基準であり、一つの検査が一度基準を超えただけでは、糖尿病と確定しない場合があります。別の日に再検査したり、血糖値とHbA1cを組み合わせたりして判断します。

一方、血糖値とHbA1cが同じ採血でどちらも糖尿病型を示した場合などは、1回の検査で診断できることがあります。診断は検査値だけでなく、症状、家族歴、体重の変化なども含めて行います。

「糖尿病」という名前ですが、診断の中心になるのは尿糖ではなく、血糖値とHbA1cです。尿糖が陰性でも糖尿病の場合があり、反対に尿糖が陽性でも、それだけで糖尿病とは診断できません。尿糖については、尿検査で糖が出たら糖尿病?1+や2+の意味は?で詳しく解説しています。

治療の目的は「数字を下げること」だけではありません

2型糖尿病の治療で血糖値やHbA1cを確認するのは、将来の合併症を防ぐためです。

血糖値が高い状態が長く続くと、神経、目、腎臓に障害が起こりやすくなります。また、糖尿病は心筋梗塞、脳梗塞、末梢動脈疾患などの動脈硬化性疾患とも深く関係しています。

したがって、血糖値だけでなく、血圧、コレステロール、体重、喫煙などもあわせて管理することが大切です。最終的な治療の目標は、合併症を防ぎ、糖尿病のない方と変わらない生活の質と寿命を目指すことです。

合併症については、糖尿病の3大合併症とは?網膜症・腎症・神経障害と予防のポイントで詳しく解説しています。

2型糖尿病の治療

治療は、食事療法、運動療法、薬物療法を、その方の状態に合わせて組み合わせます。年齢、体重、血糖値、インスリンを出す力、腎機能、心臓病の有無、低血糖の危険性などによって、適した治療は異なります。

食事療法

食事療法は「食べてはいけないものを増やすこと」ではありません。食事の量やバランス、糖質の取り方、食べる時間などを見直し、無理なく続けられる形を探します。

詳しくは、糖尿病の糖質制限はどこまで必要?無理なく続ける食事療法をご覧ください。

運動療法

ウォーキングなどの有酸素運動や筋力トレーニングは、筋肉で糖を使いやすくし、インスリンの効きを改善します。まとまった運動時間を確保できなくても、座っている時間を減らし、食後に少し歩くことから始められます。

具体的な運動量は、糖尿病の運動療法|歩数・時間・筋力トレーニング・食後運動の目安で紹介しています。

薬物療法

食事や運動だけでは十分に改善しない場合や、診断時から血糖値が高い場合には、薬物療法を行います。

糖尿病の薬には、インスリンを出しやすくする薬、インスリンを効きやすくする薬、尿へ糖を出す薬、食欲や胃の動きに作用する薬などがあります。心臓病や腎臓病、肥満の有無も考えながら薬を選びます。状態によっては、治療開始時からインスリンを使うこともあります。

薬の全体像は、糖尿病の薬には何がある?種類・効果・副作用と選び方にまとめています。

HbA1cはどこまで下げればよい?

成人では、合併症を防ぐための一般的な目標はHbA1c 7.0%未満です。ただし、これは全員に共通する絶対的な目標ではありません。血糖正常化を安全に目指せる場合は6.0%未満、治療強化が難しい場合は8.0%未満を目安とすることがあります。

HbA1c目標値の考え方。血糖正常化を目指す6.0%未満、合併症予防の一般的な目標である7.0%未満、治療強化が難しい場合の8.0%未満の3つを並べ、年齢や合併症、低血糖の危険性を考えて一人ひとり決めることを示した図

年齢、糖尿病になってからの期間、合併症、使用している薬、低血糖の危険性などを考慮して、一人ひとりに合った目標を決めます。数字だけを無理に下げるのではなく、低血糖を避けながら安全に続けることが重要です。

2型糖尿病は治る?

2型糖尿病は、基本的には長く付き合っていく病気です。一方、発症してから比較的早い時期に体重を減らすなどして血糖値が改善し、薬を使わずに糖尿病の基準を下回る状態が続く方もいます。この状態を「寛解」と呼びます。

寛解は「完全に治って、もう検査がいらない」という意味ではありません。再び血糖値が上がることがあるため、定期的な確認は必要です。

詳しくは、「糖尿病はやせれば治る」は本当?減量で目指せる「寛解」とはをご覧ください。

健診で指摘されたら、症状がなくても一度確認を

2型糖尿病は、症状がないまま進むことが多い病気です。健診で血糖値やHbA1cの異常を指摘されたら、結果をそのままにせず、まず現在の状態を確認しましょう。

健診結果に「要受診」「要精密検査」と書かれている場合や、のどの渇き、多飲、多尿、意図しない体重減少がある場合は、早めに受診してください。

受診したからといって、必ずすぐに薬が始まるわけではありません。検査値や生活状況を整理し、生活習慣の見直しでよいのか、薬が必要なのかを判断することが最初の一歩です。

まとめ

2型糖尿病の治療では、食事・運動・薬をその方の状態に合わせて組み合わせます。血糖値だけでなく、血圧、コレステロール、体重なども一緒に管理し、将来の合併症を防ぐことが大切です。

初期には症状がほとんどありませんが、適切な時期に見つけて治療を続ければ、合併症を防ぎながら生活していくことができます。食事・運動・薬のすべてを最初から完璧にする必要はありません。まずはご自身の状態を知り、続けられることから一緒に考えていきましょう。

参考文献


この記事の執筆・監修者

高崎市の乾小児科内科医院 院長 乾恵輔

乾 恵輔(いぬい けいすけ) 乾小児科内科医院 院長

【保有資格】

  • 日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医
  • 日本循環器学会認定 循環器専門医
  • 日本内科学会認定 総合内科専門医

院長よりメッセージ: 糖尿病と診断されると、多くの方が「一生薬を飲むのか」「何を食べればよいのか」と不安になります。まずはご自身の体で何が起きているかを知るところからで大丈夫です。治療の進め方は、生活に合わせて一緒に決めていきましょう。


【糖尿病内科のご案内】 

当院では、糖尿病専門医が血糖値やHbA1cの評価から、食事・運動の相談、薬による治療まで対応しています。HbA1cは院内で測定できるため、受診当日に結果をご説明できます。健診で血糖値やHbA1cを指摘された方、糖尿病と診断されて今後の治療について知りたい方は、お気軽にご相談ください。

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